Anthropic の Claude Code と OpenAI の Codex は、どちらもリポジトリを読み、コードを書き、コマンドを実行して、変更をまとめるところまで自分で進めるコーディングエージェントです。2026年9月22日に両社の公式ドキュメントを原文で読み直すと、動く場所(端末・IDE・デスクトップアプリ・クラウド・スマホ)も、主な機能(サブエージェント・MCP・フック・スキル)も、ほぼ出そろっています。
だから、いま比べて差が出るのは「何ができるか」より「どの条件で使えるか」です。無料で試せるか、Windows でサンドボックスが効くか、画面操作はどの OS とプランか、GitHub の PR レビューを個人プランで回せるか。そして根っこには、Claude Code は Claude のモデルで、Codex は OpenAI のモデルで動くという違いがあります。
どちらも「手元」と「クラウド」の両方で動く
Codex:macOS・Windows・Linux
Codex:VS Code 系・JetBrains・Xcode
Codex:ChatGPT デスクトップ
Codex:Codex cloud
Codex:ChatGPT アプリ
2026年9月22日時点。出典: Claude Code「Platforms and integrations」/Codex ドキュメント。
目次
1. 結論——差は「機能」より「使える条件」に出る
先に全体を1枚にまとめます。細かい条件と出典は2章以降で1つずつ確かめます。
| 比べる点 | Claude Code | Codex |
|---|---|---|
| 開発元と使うモデル | Anthropic/Claude のモデルだけ | OpenAI/OpenAI のモデルだけ |
| 動く場所 | 端末・IDE・デスクトップ・クラウド・スマホ | 端末・IDE・デスクトップ・クラウド・スマホ |
| 無料で使えるか | 使えない(Free プランは対象外 API キーの従量課金なら可) | 使える(Free と Go にも含まれる 上限は小さい) |
| 個人向け有料プラン | Pro $20/Max $100・$200 | Plus $20/Pro $100・$200・$500 |
| 上限の仕組み | 5時間ごとの枠+週の枠 超えたら使用量クレジット(標準 API 料金) | 5時間あたりの目安+週の枠 超えたら ChatGPT のクレジット |
| 手元での安全装置 | 権限モードが中心 OS レベルのサンドボックスは自分で有効にする(ネイティブ Windows は非対応) | OS レベルのサンドボックスが既定で有効(ネイティブ Windows も対応) |
| 指示ファイル | CLAUDE.md(無ければ AGENTS.md も読む) | AGENTS.md |
| 画面操作 | 研究プレビュー Pro・Max のみ CLI は macOS、デスクトップは macOS・Windows | ChatGPT デスクトップアプリ(macOS・Windows) 提供地域に制限あり |
| GitHub の PR 自動レビュー | 管理型の Code Review は Team・Enterprise のみ 個人は GitHub Actions で | Plus に自動コードレビューが含まれる |
| ソースコード | 非公開(Anthropic の商用利用規約) | CLI は Apache-2.0 で公開 |
表の下半分に並んだ差は、どれも「片方にしか無い機能」ではなく「同じ機能の、提供条件の違い」です。つまり選び方は、①すでに払っているサブスク、②使いたいモデル、③自分の環境(OS・プラン・地域)で条件に当たるかの順に見れば決まります。場面別の答えは8章にあります。
2. どこで動くか——端末・IDE・デスクトップ・クラウド・スマホ
「Claude Code は手元で対話しながら、Codex はクラウドに任せる」という分け方は、もう成り立ちません。どちらも手元でもクラウドでも動きます。違いは、それぞれの入口の細かい条件です。
| 入口 | Claude Code | Codex |
|---|---|---|
| 端末(CLI) | macOS 13 以降・Windows 10(1809)以降・Ubuntu 20.04 以降 Windows はネイティブでも WSL でも動く | macOS・Linux・Windows 向けのインストーラーのほか npm・Homebrew でも入る |
| IDE | VS Code と、Cursor など VS Code 系のエディタ JetBrains 系 IDE | VS Code・Cursor・Windsurf JetBrains と Xcode はそれぞれの側の統合機能から |
| デスクトップアプリ | Claude デスクトップアプリの Code タブ(macOS・Windows、Linux はベータ) | ChatGPT デスクトップアプリの Codex(旧 Codex アプリが2026年7月9日に統合) macOS・Windows、Linux はプレビュー |
| クラウド | claude.ai/code・スマホ・デスクトップ・claude --cloud からPro・Max・Team と一部の Enterprise 席 2026年9月24日に研究プレビューを終えた(クラウドセッションの解説) | web・スマホ・デスクトップから、公開済みの環境を選んで開始 新しい環境は GitHub リポジトリで準備する Code Review・Linear・GitHub の連携は旧Cloudの環境を使う APIキーでは利用不可 |
| スマホ | Claude アプリ(iOS・Android)の Code タブ クラウドのセッションや、手元のセッションを遠隔で操作 | ChatGPT アプリの Codex(旧表示は Remote) 接続した Mac・Windows PC の作業を遠隔操作するほか、公開済みのCloud環境でもタスクを開始・継続できる 提供状況は段階展開で異なる |
出典: Claude Code「Advanced setup」・VS Code・Use Claude Code in the cloud・mobile/Codex CLI・IDE extension・Codex cloud・Remote・What's new(いずれも2026年9月22日に確認)
スマホから操作することと、Cloudで実行することは別
- Remote接続:接続先PCがオンラインで、スリープせず、アプリが動いている必要があります。PCがスリープすると遠隔アクセスは止まります。
- Cloudタスク:公開済みのCloud環境で実行するため、手元PCがスリープしても作業を続けられます。PC内のファイル・実行中の処理・ブラウザのログイン状態は自動転送されません。
- 新Cloudの制限:標準のComputer/Browser useは未対応です。手元PCでの画面操作機能がCloudでもそのまま使えるとは考えないでください。
2026年10月8日に公式のRemote connectionsとCloud environmentsを再確認。設定・準備・停止条件はCodexのRemote・CloudとPCスリープの解説にまとめています。
クラウドで動かすときの違い
クラウドは、ノートPCを閉じても作業が続くのが両者共通の利点です。そのうえで、次の3点が違います。
Claude Code は複製と PR 作成に GitHub が必要です。GitLab などは手元のリポジトリを丸ごと送れば作業できますが、結果をそのリモートへは push できません。Codex の新しいCloud環境は GitHub リポジトリを選んで準備します。公式の現行の制限には、GitLab と自社ホストの GitHub Enterprise Server は未対応と明記されています。旧Cloudの説明と混ぜないでください。
Claude Code の既定の環境は「Trusted」で、パッケージのレジストリなど許可済みのドメインだけに出られます。Codex の新しいCloud環境では、インターネット接続の許可と接続先ドメインを環境ごとに設定します。旧Cloudは作業中の通信が既定で無効ですが、制限付き・無制限の許可も設定可能です。「セットアップ時しか通信できない」という意味ではありません。
Claude Code のクラウドはほかの Claude の利用と同じ枠を使い、VM の計算料金は別にかかりません。Codex のクラウドは既定のモデルを変更できません(2026年10月5日時点。どのモデルで動くかは、いまの Codex「Models」のページには書かれていない)。OpenAI は「手元の実行より多く枠を使うことがある」と書いています。
出典: Claude Code「Configure cloud environments」/Codex「Cloud environments」・Codex Cloud (Legacy)・Codex「Pricing」・Workspace model availability(Codexの環境・通信・連携を2026年10月8日に再確認)
Claude Code には、1つの会話から複数のクラウドセッションを配って進捗をまとめさせるプロジェクト機能もあります。Codex は、公開済みの環境からタスクごとに独立した作業領域を始めます。Code Review・Linear・GitHub の連携はCodex Cloud (Legacy)が引き続き担当します。新Cloudの Slack・Microsoft Teams からの委任は、Cloud delegation が有効な Enterprise ワークスペース向けです。
3. 料金と使用上限——無料枠・5時間の枠・週の枠・超過分
どちらも「チャットのサブスク」にコーディングエージェントが含まれる形です。Claude Code は Claude のプランに、Codex は ChatGPT のプランに付いてきます。
| 月額(米ドル) | Claude(Claude Code) | ChatGPT(Codex) |
|---|---|---|
| $0 | Free:Claude Code は含まれない | Free:Codex を使える(短い作業で試す位置づけ、デスクトップアプリで GPT-6 Luna を順次提供) |
| $8 | — | Go:軽いコーディング作業向け(Free と同じく GPT-6 Luna を順次提供) |
| $20 | Pro(年払いなら月$17相当) | Plus |
| $100 | Max(Pro の5倍の枠) | Pro 100(Plus の10倍の枠) |
| $200 | Ultra(週は Pro の10倍の枠、認証済みなら5時間の上限なし) 2026年10月31日に Max 20x から改名 | Pro 200(Plus の20倍の枠) 2026年9月29日に新規登録を再開 10月29日から、契約の時期にかかわらず同じ枠 |
| $500 | — | Pro 500(Plus の50倍の枠 Astra Ultrafast を含む) |
| 組織向け | Team/Enterprise | Business(年払いで1人$20、月払いで$25)/Enterprise/Edu |
| API キー | Claude Console の API キーで従量課金 クラウドのセッションの対象プランには含まれない | OpenAI の API キーで従量課金 クラウドの機能(GitHub のコードレビュー・Slack など)は対象外 |
出典: Claude 料金ページ・Max プランのヘルプ・Claude Code「Advanced setup」/Codex「Pricing」・OpenAI ヘルプ「About ChatGPT Pro tiers」・OpenAI の担当者(Tibo)の X 投稿・OpenAI「DevDay 2026 Recap」・OpenAI ヘルプ「Using Codex with your ChatGPT plan」(2026年9月22日に確認。OpenAI の3ページは9月26日に再確認し、Pro の料金段と倍率は10月5日に確認し直した)
価格の段は $20・$100・$200 が共通で、ChatGPT にはその上に $500 の Pro もあります。はっきり違うのは下の端です。OpenAI のヘルプは「Codex は Free と Go を含む ChatGPT の各プランに含まれる」と書いており、Claude Code の公式ドキュメントは「無料の claude.ai プランには Claude Code は含まれない」と書いています。お金をかけずに触ってみたいなら、入口は Codex にしかありません。
上限は「5時間の枠」と「週の枠」、超えた分の払い方が違う
どちらも作業の重さ(読んだ量・書いた量・使ったモデル)で枠が減り、5時間の枠と週の枠があり、超えたら追加で払って続けられます。違うのは超えた分の単位です。
チャット・デスクトップ・Claude Code の利用はすべて同じ枠を使う(Anthropic ヘルプ)
手元の実行・クラウド・ChatGPT Work は同じ枠を使う(Codex「Pricing」)
数字の出し方も違います。OpenAI は「5時間で何通」の目安をモデル別に公表していますが、同じモデル・同じプランでも上と下が10倍近く開くほど幅が広く、公式自身が「固定の上限ではない」と注記しています。Anthropic は「送れる数はメッセージの長さ・添付・会話の長さ・モデルで変わる」として件数を出していません。どちらも、自分の使い方で1〜2週間回してみないと実際の余裕は分かりません。
Claude Code 側で枠に当たったときの表示と対処は「You've hit your session limit」の記事に、どのセッションが枠を食っているかの調べ方は使用量をセッション別に見る方法にまとめています。Codex の枠は ChatGPT Work とも共有なので、Work を多く使う人はChatGPT Work の解説もあわせて見てください。
4. 作業の進め方——途中の指示・並列・サンドボックスと権限
途中で方針を変えられるか
変えられます。両方とも、作業中に追加の指示を送れます。Claude Code は端末で作業中に打った文を列に積んで区切りのよいところで渡し、Esc で止めて方向転換もできます。Codex CLI も実行中のターンに指示を差し込めます。
クラウドでも同じです。Claude Code のドキュメントは「セッションはノートPCを閉じても続き、どの端末からでも様子を見たり舵を取ったりできる」と書き、Codex のドキュメントは「同じチャットで続けて、文脈を足したり制約を変えたり、進捗をまとめさせたりできる」と書いています。どちらもクラウドの作業の途中で方針を変えられます(Claude Code「Interactive mode」・Codex「Long-running work」)。
並列に動かす手段
| 並列のかたち | Claude Code | Codex |
|---|---|---|
| 1つの会話の中で分担 | サブエージェント 複数のセッションが対等に連携する agent teams は実験的機能で、既定では無効 | サブエージェント(現行版では既定で有効) Ultra モードはサブエージェントを使って大きな作業を分ける |
| 手元で複数のセッション | デスクトップアプリの並列セッション(Git で分離)、worktree、agent view(研究プレビュー) | ChatGPT デスクトップアプリの並列チャット、Worktree モード |
| クラウドで同時に | claude --cloud を複数回実行すると、それぞれ独立したセッションになる | Codex cloud に複数のタスクを投げる |
出典: Claude Code「agent teams」・Desktop・cloud/Codex「Subagents」・Models・Worktrees
Claude Code 側の使い分けはサブエージェントと agent teams の違いと、agent view の記事で詳しく扱っています。Codex のサブエージェントは、頼んだときか AGENTS.md に分けるよう書いてあるときに起動します。両方で並列に作業させる方法は「Codex・Claude Codeのサブエージェントで並列作業させる方法」にまとめています。並列にするほど枠の減りも速くなる点は、両社とも同じです。
サンドボックスと権限——初期状態がいちばん違う
ここは両者の設計の差がはっきり出るところです。
毎回確認する Manual、編集を自動で通す acceptEdits、計画だけの plan、別のモデルが操作を審査する auto などから選びます。端末と VS Code では、v2.1.283 以降はどのプラン・接続先でも auto で始まります(それより前の版で auto から始まるのは Pro・Max・Team だけ。インストール直後の初回や、管理者が auto を無効にした組織、auto に対応していないモデルでは Manual)。OS レベルでファイルと通信を囲うサンドボックスは /sandbox で自分で有効にし、macOS・Linux・WSL2 で動きます。ネイティブ Windows は非対応です。
既定のモードで OS ネイティブのサンドボックスが自動で効きます。macOS は Seatbelt、Linux と WSL2 は bubblewrap、PowerShell 上のネイティブ Windows は専用の Windows sandbox。その上に、作業フォルダの外へ出るときに尋ねる「Ask for approval」、判断を自動レビューに回す「Approve for me」、制限を外す「Full access」を重ねます。
出典: Claude Code「Choose a permission mode」・Sandboxing/Codex「Sandbox」・Permissions・Windows sandbox
実務での意味はこうです。Windows をそのまま使い、OS の囲いの中で任せたいなら Codex が素直です。Claude Code もネイティブ Windows で動きますが、同じ囲いが欲しければ WSL2 の中で動かします。逆に、Claude Code の auto は「確認の手間を減らす仕組み」であって、ファイルや通信を OS で囲う仕組みではありません。重要なリポジトリでは /sandbox を併用するのが安全です。
すべての確認を外すモードは、隔離した環境だけで。Claude Code の bypassPermissions も Codex の Full access も、仕組みとしては「確認なしで何でも実行する」モードです。手元の PC で常用すると、読み込んだ文書に仕込まれた指示に従ってしまったときに、確認という最後の歯止めが働きません。Claude Code 側の詳しい注意点は権限バイパスモードの記事にあります。
5. 指示ファイルと拡張——CLAUDE.md と AGENTS.md・MCP
プロジェクトの決まりごと(ビルドのコマンド、テストの流し方、コードの書き方)をエージェントに渡すファイルは、Claude Code が CLAUDE.md、Codex が AGENTS.md です。AGENTS.md は Linux Foundation 傘下の Agentic AI Foundation が管理するオープンな形式で、Codex 以外のツールも読みます(agents.md)。
大事な変化が1つあります。Claude Code は v2.1.277 以降、作業フォルダとその上に CLAUDE.md、.claude/CLAUDE.md、CLAUDE.local.md のどれも無ければ、AGENTS.md をそのまま読みます。どれかがあると既定では CLAUDE.md 側だけが読まれるので、両方使うなら CLAUDE.md に1行書いて取り込みます(Claude Code「memory」)。
@AGENTS.md
## Claude Code だけの追記
- 調べものはサブエージェントに任せる
上は CLAUDE.md の例です。1行目で AGENTS.md を取り込み、その下には Claude Code にだけ効かせたいことを書きます。
Codex は ~/.codex/AGENTS.md(全リポジトリ共通)と、リポジトリのルートから作業フォルダまでの AGENTS.md を順に連結して読みます。合計が既定の32KiB に達するとそれ以上は足されないので、大きなリポジトリではフォルダごとに分けて置きます。project_doc_fallback_filenames を設定すれば、AGENTS.md が無いフォルダで別名のファイルを読ませることもできます(Codex「AGENTS.md」)。
「書いたのに守られない」ときに、どちらのツールで何を確かめればよいかはAIがルールを無視する原因と対応策にまとめています。
MCP・フック・スキル・プラグイン
外部のツールやデータにつなぐMCP、決まった場面でスクリプトを走らせるフック、手順を再利用するスキル、それらを束ねるプラグインは、両方にあります。ここで選び分ける必要はほぼありません。覚えておくとよいのは枠との関係です。OpenAI は料金ページで「MCP サーバーは1つごとに文脈を増やし、枠を多く使う。使わないときは無効に」と助言しています。Claude Code のドキュメントも、ツールの定義を必要になるまで読み込まない仕組みを既定にしたうえで、使っていないサーバーは /mcp で無効にするよう勧めています(Claude Code「Manage costs」)。
6. 画面操作——使える OS・プラン・地域の条件
画面の操作(Computer Use)は、Claude Code にも Codex にもあります。どちらも、コマンドや API では届かないネイティブアプリ・シミュレーター・GUI だけのツールを、画面を見ながらクリックと入力で動かします。差は提供条件です。
| 条件 | Claude Code | Codex |
|---|---|---|
| 提供段階 | 研究プレビュー | 提供は一部の地域に限られる |
| 使える場所 | CLI(macOS のみ)とデスクトップアプリ(macOS・Windows) Linux のデスクトップ版は未対応 | ChatGPT デスクトップアプリ(macOS・Windows)の Codex と ChatGPT Work |
| プラン | Pro・Max のみ Team・Enterprise では使えない | 料金ページの機能表では、Plus・Pro・Business・Enterprise・API キーのどの列も「一部地域で利用可」 |
| 始め方 | CLI は /mcp で computer-use を有効化デスクトップは設定のトグル | Computer Use プラグインを入れて有効化 |
| 動き方の注意 | macOS はアクセシビリティと画面収録の許可が必要 | macOS は同じ2つの許可が必要 Windows では作業中に前面を使う |
出典: Claude Code「computer use」・Desktop/Codex「Computer Use」・Pricing(機能表)
どちらも「まず精密な道具を使い、画面操作は最後の手段」という設計です。Claude Code は MCP、シェル、Chrome 連携の順に試してから画面操作に移り、Codex は手元で作っている Web アプリなら内蔵ブラウザを先に使うよう案内しています。会社の Team・Enterprise 契約で画面操作を使いたいなら、Claude Code では現状できない点は判断材料になります。
7. モデルと性能——ツールを選ぶことはモデルを選ぶこと
Claude Code は Claude のモデルだけで、Codex は OpenAI のモデルだけで動きます(Claude Code は Amazon Bedrock・Google Cloud・Microsoft Foundry 経由の Claude も、Codex は Amazon Bedrock・Google Cloud(Vertex AI)経由の OpenAI モデルも使えます)。つまり「どちらのツールか」は、ほぼ「どちらの会社のモデルか」と同じ問いです。
- 既定は Pro・Max・Team・Enterprise のどれでも Opus(いまは Opus 5.5)
- v2.1.280(9月22日)より前は、Pro が Sonnet、Max が Opus だった
- いちばん能力の高い Fable は、長く自律して動く重い作業向け。どのプランでも既定にならないので自分で選ぶ(
/model fableでいまは Fable 5.1) - Fable はプランによっては使用量クレジットでの課金になる
- 詳しくはClaude Opus 5.5 の解説
- 推奨は GPT-6 の Astra・Sol・Luna(いちばん重い作業は Astra、日常と複雑なコーディングは Sol、決まった作業の大量処理は Luna)
- 9月29日に GPT-6.1 Sol が出て、推奨の Sol はこちらに替わり、Codex CLI 0.159.1 から既定のモデルになった(Plus・Pro・Business・Enterprise・Edu が対象で Free と Go は対象外、ChatGPT のチャットでは使えない。GPT-6 Sol も選べる)
- GPT-5.6 の Sol・Terra・Luna も移行期間中は選べる
- Codex cloud では既定のモデルを変更できない(10月5日時点の管理者向けドキュメント。どのモデルで動くかは、いまの Models ページに記載がない)
- Free と Go はデスクトップアプリで GPT-6 Luna(順次提供)
- GPT-5.5 は2026年10月14日に、ChatGPT でサインインした Codex から退役(API は対象外)
- 詳しくはGPT-6 Astra の解説・GPT-6 Sol・Luna の解説
モデルの名前は数か月で入れ替わるので、この記事の判断は名前に依存させていません。上の2枚だけが日付つきの情報で、入れ替わったら差し替えます。各社の現行モデルは主要モデルの一覧でも追っています。
ベンチマークの比較表を載せない理由
この記事には SWE-bench Verified などのベンチマークの表を載せていません。当サイトはClaude Opus 5.5・GPT-6 Astraの記事と同じく、同じ発行元が同じ物差しで測った値しか並べない方針です。理由は3つあります。
各社が発表に選ぶテストの組み合わせは違います。別々の発表から数字を拾って1つの表に並べても、同じ条件で測った比較にはなりません。
発表される点数はモデルの成績で、Claude Code や Codex という道具の出来ではありません。同じモデルでも、道具の作り(指示の渡し方・道具の呼び方)で結果は変わります。
新しいモデルが出るたびに順位は入れ替わります。比較記事に数字を固定した時点から、その記事は古くなり始めます。
数値で確かめたい人は、各社のリリース記事で「同じテストに両方の値が載っているか」を見てください。それよりも確実なのは、9章の手順で自分のリポジトリで比べることです。
8. どっちを選ぶか——9つの場面で判断する
ここまでの条件を、よくある場面に当てはめます。当てはまるものが複数あるときは、上にあるものを優先してください。
Claude Pro には Claude Code、ChatGPT Plus には Codex が含まれます。追加の支払いなしで試せる方を先に1〜2週間使い、不満が具体的になってからもう片方を検討します。
ChatGPT の Free と Go にも Codex が含まれます。Claude Code は有料プランか、API キーの従量課金が必要です。
Claude のモデルで書かせたいなら Claude Code、OpenAI のモデルなら Codex。ツールの機能差より、モデルの相性のほうが結果に効きます。
Codex は PowerShell 上で Windows sandbox が効きます。Claude Code もネイティブで動きますが、OS レベルのサンドボックスには WSL2 が要ります。
Codex は Plus に GitHub の自動コードレビューが含まれます。Claude の管理型 Code Review は Team・Enterprise 向けです(2026年10月15日に一般提供)が、個人でも GitHub Actions に Pro・Max のトークンを渡せば @claude で動かせます。
端末から出ずに「書く→ビルド→画面で確かめる」までつなげたいなら Claude Code の CLI(Pro・Max、研究プレビュー)。アプリの画面で進めるなら、Claude のデスクトップアプリでも、ChatGPT デスクトップアプリの Codex でもできます(Codex は提供地域を確認)。
$100 帯は Claude の Max が Pro の5倍、ChatGPT の Pro 100 が Plus の10倍です。$200 帯は、Claude Ultra が週で Pro の10倍(認証済みなら5時間の上限なし)、ChatGPT Pro 200 が Plus の20倍です。それ以上が要るなら、ChatGPT には Pro 500(Plus の50倍)もあります。ChatGPT の倍率は、2026年10月29日に Pro 100・500 の枠が2倍になり Pro 200 が全員高い方の枠にそろった後の値(当サイトの計算)です。倍率はそれぞれの $20 のプランを1とした数字なので、両社の枠の量をそのまま比べることはできません。
Codex CLI は Apache-2.0 で公開されています(IDE 拡張と Codex cloud は非公開)。Claude Code は Anthropic の商用利用規約の下で提供され、ソースは公開されていません。
決まりごとは AGENTS.md に書き、Claude Code には CLAUDE.md の @AGENTS.md で取り込ませます(CLAUDE.md を置かなければ v2.1.277 以降はそのまま読む)。
出典: Claude Code「Code Review」・GitHub Actions・Claude Code の LICENSE.md/Codex「Pricing」・Codex「Open Source」・OpenAI ヘルプ「About ChatGPT Pro tiers」
9. 併用・乗り換えと、自分のリポジトリでの比べ方
両方を使う費用は、Claude Pro と ChatGPT Plus で月$40です。片方の枠が尽きたらもう片方で続ける、という使い方もできます。併用するなら、指示ファイルを AGENTS.md に一本化しておくと、決まりごとの二重管理を避けられます。
Claude Code から Codex へ移る場合は、Codex 側に取り込み機能があります。Codex CLI で /import を打って Claude Code を選ぶと、設定・プロジェクトのファイル・最近の会話(直近30日の最大50件)を取り込めます。ChatGPT デスクトップアプリは Claude Code・Claude Cowork・Cursor から取り込めます。元のツールの設定は変わりません(Codex「Import from another agent」)。
30分でできる比べ方
ベンチマークよりも当てになるのは、自分のリポジトリで同じ課題を解かせた結果です。次の手順なら、1回の試行を30分ほどで終えられます。
- 課題を3つ選ぶ:①小さなバグ修正、②既存の関数へのテスト追加、③2〜3ファイルにまたがる小さな機能追加。自分で答えが分かっているものにする。
- 条件をそろえる:同じコミットから別々のブランチ(または worktree)を切り、同じ AGENTS.md を読ませ、同じ文面で頼む。
- 見るのは4つ:テストが通ったか/差分が必要最小限か/途中で何回手を入れたか/使用量の画面で枠がどれだけ減ったか。
- 1回で決めない:同じ課題でも結果はぶれるので、気になった課題だけもう一度やり直して傾向を見る。
この比べ方で差が出なければ、ツールはどちらでも構いません。その場合は、料金・環境の条件(3〜6章)で決めてしまうのがいちばん速い判断です。
専用のセキュリティ検査については、Codex Securityの使い方・料金・結果の読み方も参照してください。
Codexに完成条件を保持させて調査・修正・検証を続けたい場合は、Codex /goalの使い方を参照してください。デスクトップとCLIの操作、停止条件、トークン予算と料金の違いを整理しています。
FAQ
Q1. Codex は無料で使えますか? Claude Code は?
Codex は使えます。ChatGPT の Free($0)と Go($8)にも含まれ、上限が小さいだけです。Claude Code は無料の Claude プランには含まれず、Pro 以上のプランか、Claude Console の API キーによる従量課金が必要です。根拠は3章にまとめています。
Q2. Claude Code はローカル専用ではないのですか?
違います。Anthropic が管理するクラウドの VM でもセッションを動かせます(Pro・Max・Team と一部の Enterprise 席。2026年9月24日に研究プレビューを終えた)。ノートPCを閉じても作業は続き、作業中にも指示を足せます。入口と条件は2章の表のとおりです。
Q3. 自分のコードは学習に使われますか?
個人向けプランでは、どちらも設定しだいです。Anthropic は Free・Pro・Max のデータについて「学習に使ってよいかを利用者が選べる。オンなら Claude Code での利用も含めて学習に使う」とし、Team・Enterprise・API などの商用契約では既定で学習に使わないとしています。OpenAI は「ChatGPT の学習データの設定が Codex で処理した内容にも適用される」とし、Business・Enterprise と API の入出力は既定で学習に使わないとしています(Claude Code「Data usage」・OpenAI ヘルプ)。なお、手元で動かす場合でも、モデルに渡した内容はネットワーク経由で各社に送られます。個人プランで学習を止める手順は「Claude Code の会話を学習に使わせない方法」にまとめています。
ChatGPT・Codex の設定は「ChatGPT・Codex の学習設定と機密情報のリスク」で整理しています。Codex の環境を学習に使う独立設定や、機密情報を入力してしまった場合の対応も扱っています。
Q4. 同じリポジトリで両方を使っても問題ありませんか?
問題ありません。気をつけるのは2点です。1つは指示ファイルで、AGENTS.md を正本にして Claude Code 側は @AGENTS.md で取り込むと食い違いが起きません。もう1つは同時編集で、2つのエージェントに同じ作業フォルダを同時に書かせると、互いの変更を上書きし合うおそれがあります。並行させるなら worktree で作業フォルダを分けてください。
Q5. Codex で「thread not found」と出ました。
会話の履歴そのものが消えたとは限りません。消す前に確かめる手順をCodex の「thread not found」対処法にまとめています。
出典
- Claude Code ドキュメント:Platforms and integrations/Advanced setup/Use Claude Code in the cloud/Cloud environments/Permission modes/Sandboxing/Memory(CLAUDE.md・AGENTS.md)/Computer use/Model configuration/Code Review/Data usage
- Anthropic:Claude 料金ページ/Max プラン/Pro・Max で Claude Code を使う/使用量クレジット
- Codex ドキュメント:Pricing/Codex CLI/IDE extension/Codex cloud/Sandbox/AGENTS.md/Computer Use/Models/Open Source/Import from another agent/What's new
- OpenAI:Using Codex with your ChatGPT plan/About ChatGPT Pro tiers/Deprecations
- ライセンス:openai/codex(Apache-2.0)/anthropics/claude-code の LICENSE.md/agents.md
いずれも2026年9月22日に公式ドキュメントの原文を取得して照合しました。モデルと既定値、クラウドの提供条件、Codex の料金ページは9月26日に取得し直して確かめています。ChatGPT Pro の料金段と Codex のクラウドのモデルは、10月5日に原文で確かめ直しました。料金・プラン・提供条件は変わることがあるので、契約の前に各社のページで確かめてください。
関連記事:Fable 5のコーディング性能ガイド。
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