Codexに何度も「続けて」と送っているなら、/goalで完成条件を持たせる方法があります。バグを再現し、修正し、テスト結果を見て次の手を選ぶような作業に向いています。単に長時間動かすための命令ではなく、何を達成したら終わるかを、同じチャットに保持する機能です。
使いどころ、デスクトップとCLIの操作、止まったときの確認順を整理します。目標のトークン予算を、契約プランの残量や請求額の上限と混同しないことも大切です。
最初に決めるのは、この3つ
どの不具合を直すか、何を作るか
変更範囲、守る動作、実行してよい操作
どのテストや実測で、完成と判断するか
仕様確認:2026年10月7日。OpenAIの公式ドキュメントに基づく解説です。本記事ではGoal modeを実行しておらず、継続時間・消費量・成果の改善を実測した記事ではありません。
1. /goalとは:普通の依頼・/plan・dotとの違い
/goalは、Codexのチャットに継続する目標を設定する機能です。途中でテストが失敗しても、元の完成条件を基準に次の作業を選べます。OpenAIは、次の手が調査結果によって変わる不具合調査、性能改善、移行、資料調査などを用途として挙げています。
目標を基準に、作業と検証を繰り返す
- 作業する:コードや資料を調べ、修正・測定する
- 確認する:目標を満たした証拠があるか判断する
- 分岐する:達成なら完了、未達なら次の作業、進められなければ理由を報告する
未達でも、目標が有効で予算内にあり、自動継続の条件を満たしている場合に続きます。
公式の説明では、目標は現在のチャットに保存される状態です。別チャットへ自動適用する全体メモリや、リポジトリ全体のルールではありません。目標があっても、必要なコード・テスト・資料をそのチャットから利用できることが前提になります。出典:OpenAI Cookbook「Using Goals in Codex」。
| 方法 | 向いている依頼 | 使い分け |
|---|---|---|
| 通常の依頼 | 1か所の修正、説明、短い確認 | 一度の依頼で結果を受け取りたいとき |
/plan | 何を作るか、どこまで直すかの整理 | 目標が曖昧な段階で、要件と検証条件を固めるとき |
/goal | 調査・修正・検証を繰り返して完成条件へ到達する仕事 | 終点は明確だが、そこへ至る手順がまだ分からないとき |
| dot | 継続的な支援や開発担当への委任・進行管理 | 複数の仕事をまとめて調整する役割も任せたいとき |
計画を作るだけでGoal modeの自動継続が始まるわけではありません。また、/goalを使えば別モデルによる独立レビューが必ず加わる、という仕様でもありません。dotとの違いはdotの使い方・料金・Codexへの委任、情報の渡し方はコンテキストエンジニアリングも参考になります。
2. デスクトップ・CLI・IDEで始める方法
同じ/goalでも、開始後の操作は画面によって異なります。公式の長期作業ガイドは、デスクトップ、CLI、IDE拡張での開始方法を案内しています。Webの欄はChatGPT Workへ成果・制約・評価条件を伝える説明なので、Webにも同じコマンドと操作があるとは扱いません。
デスクトップ
- 対象のプロジェクトとチャットを開く
- 入力欄で
/goalを使い、完成条件を伝える - 入力欄の上にある目標の進捗行を確認する
一時停止・再開・編集・解除は、その進捗行から操作します。
Codex CLI
- 対象の作業フォルダで対話セッションを開く
/goalに続けて目標を入力する- 同じセッションで状況確認や修正指示を送る
状態の確認や一時停止には、後述するCLIコマンドを使います。
IDE拡張
- 対象のワークスペースを開く
- 拡張のチャットで
/goalを使う - 同じチャットで追加情報を渡す
作業中はワークスペースを利用できる状態に保ちます。
CLIについて、OpenAI CookbookはCodex 0.128.0以降を対応版として挙げています。現在の設定リファレンスではfeatures.goalsは安定機能・既定で有効と記載されています。以前の実験的機能の有効化手順を、そのまま設定へ追加する必要があるとは考えないでください。見当たらない場合は、使っている画面と版、公式の現行案内を確認します。
出典:長い作業の進め方、デスクトップのスラッシュコマンド、設定リファレンス。本記事の日本語の操作説明は、機能の意味を説明するもので、各版の日本語ボタン表記を実機で確認した一覧ではありません。
3. 完成条件を決める:曖昧な目標を直す
「高品質にして」「終わるまで続けて」だけでは、何をもって完成とするか判断しにくくなります。完成条件に使うのは、確認できる結果です。画面の幅、保存後の動作、テストの結果、比較する資料などを指定します。
「このToDoアプリをいい感じに直して、完成するまで続けて」
見た目、対象機能、検査、停止条件が決まっていません。
「削除した1件を元の位置・完了状態で復元できるようにする。復元後の保存と二重復元防止を検査し、結果を提出する」
必要な機能と、成功を判断する証拠を対応させます。
CLIでは目標の文字列は空でない4,000文字以内です。長い仕様をすべて詰め込むより、仕様ファイルを指定し、目標には成果・重要な制約・検証条件を残します。ファイルを渡しても、自動的に別チャットの履歴まで引き継がれるわけではありません。出典:Codex CLIのスラッシュコマンド。
仕様が決まっていないなら、最初に「まだ実装せず、要件を整理して/goal案を作って」と頼む方法もあります。/planで検討してから、提示された目標を自分で読み、守る条件と変更範囲を確認して開始します。
4. バグ修正・画面改善・調査の依頼例
以下は本記事で作成した依頼例です。実行済みの成功例ではありません。テストやブラウザを利用できる環境か先に確認し、使えない検査は未実施として報告する条件を含めます。
バグ修正:再現した問題と回帰を分ける
/goal ToDoアプリの「削除を取り消す」を修正し、直前に削除した1件を元の位置・完了状態で復元できるようにしてください。
既存の追加・完了切替・削除・保存の動作を維持してください。
最初に問題を再現し、修正後は復元位置、完了状態、二重復元防止、連続削除、復元後の保存を検査してください。
変更するのは関連ファイルとテストだけです。新規依存の導入、外部公開、push、購入はしないでください。
検査できない場合は、その理由と必要な環境を報告してください。完了報告には変更ファイル、実行コマンドと結果、未実施の検査を含めてください。
「テストに合格する」だけでは、機能を消して通す変更も目標を満たしたように見えます。維持する動作と変更してよい範囲を併記すると、修正方法の判断基準になります。
画面改善:表示と操作の条件を指定する
/goal この画面を、幅390pxと1280pxで横にはみ出さず、長いタスク名でも完了・削除ボタンが使える状態にしてください。
既存のデータ構造と保存形式は変えないでください。
利用可能な実ブラウザで両方の幅を確認し、追加・完了切替・削除・再読込後の保存とキーボード操作を検査してください。
ブラウザ検査が使えない場合は、画像やコード確認を実操作の代わりに合格扱いせず、未実施として報告してください。
公開・push・購入・端末設定の変更はしないでください。
幅の数値はこの依頼の検査条件で、製品が保証する対応画面幅ではありません。実ブラウザで操作した結果と、コードや画像だけを見た結果も分けて受け取ります。
調査:不明な項目を埋めるより、根拠を残す
/goal 指定した2サービスのデータ保存・学習利用・削除条件を、公開された公式文書から比較してください。
各主張に出典URLと確認した本文の条件を対応させ、比較表と説明を作成してください。
調べても説明が見つからない項目は、調べた資料と不足する情報を示してください。推測で表を埋めないでください。
ログイン、設定変更、アプリ接続、アップロード、購入はしないでください。
終了時に、確認できた仕様、解釈、調査したが確認できなかった項目を分けて提出してください。
調査は「全項目の答えが見つかるまで無期限に続ける」と決めると終点を失います。情報が公開されていない場合も、調べた範囲と残る疑問を示す報告を成果として定義できます。
5. 一時停止・再開・編集・解除
デスクトップでは、入力欄の上にある目標の進捗行を使います。CLIでは次のコマンドが案内されています。CLIの表を、そのままデスクトップのボタン操作と読み替えないでください。
| CLIで入力するもの | 目的 | 確認すること |
|---|---|---|
/goal | 現在の目標を表示する | 今回の完成条件になっているか |
/goal edit | 目標を編集する | 新しい条件で再検査が必要か |
/goal pause | 有効な目標を一時停止する | 停止後の状態を確認する |
/goal resume | 一時停止した目標を再開する | 作業環境や制約が変わっていないか |
/goal clear | 現在の目標を解除する | 次の仕事へ古い完成条件を残さない |
進行中も同じチャットで追加情報や制約を伝えられます。「公開はまだしない」「この機能の変更は取りやめる」など、判断を変えた場合は明示します。目標を編集した後は、以前のテスト結果だけで新しい完成条件を満たしているかも確認してください。
コードや保存データの復元が必要なら、差分と保存状態を別に確認します。CLIの/stopはバックグラウンド端末を止めるコマンドで、/goal pauseの別名ではありません。
操作の根拠:CLIの目標操作、デスクトップの目標操作。
6. トークン予算・利用枠・料金の違い
継続する作業では、目標をどこで打ち切るかと、契約枠をどれだけ消費するかを分けて考えます。目標の予算が残っていても、アカウントの利用上限や実行環境の問題で続けられないことがあります。
| 項目 | 何を扱うものか | 同じものとして扱わないこと |
|---|---|---|
| 目標のトークン予算 | その目標の作業を続けるための予算と使用量の管理 | 契約の残量、請求額の厳密な上限 |
| 契約プランの利用枠・クレジット | WorkやCodex等で処理を利用するための共通枠と追加残高 | 一つの目標専用の予算 |
| コンテキストの容量 | モデルが処理する文脈の容量 | 継続作業全体のトークン総量や月額料金 |
/goalを使うと追加料金がかかる?
今回確認した公式料金資料には、/goalの開始1回ごとの独立した料金は見つかりませんでした。ただし、繰り返し行うモデル処理は通常のCodex利用として消費されます。Goal modeにしたから、テスト・修正・確認の往復が無料で無制限になるわけではありません。
OpenAIはWorkとCodexの利用枠が共通で、利用量はモデルや作業の内容などによって変わると説明しています。契約枠の後に追加クレジットで続ける場合と、APIキーで別請求を受ける場合も区別が必要です。出典:Work・Codexの料金と利用上限。プラン選びやリセットはChatGPT Proの料金・利用枠比較で扱っています。
予算の数値は、何を確認できる?
公式の開発者向けApp Server資料には、目標のtokenBudget、使用量のtokensUsed、時間の計測項目timeUsedSecondsが記載されています。内部の目標状態に予算と進捗を記録する仕組みは確認できますが、このRPCの項目名をそのまま利用者向けCLIフラグとして入力する説明ではありません。
- 一般利用者向けの予算指定構文と、各画面の入力方法
- キャッシュ済み入力や担当分担を含む、目標カウンターの詳しい算定式
- 予算の境界での超過量と、最終請求額との厳密な対応
そのため、未確認のコマンドを載せたり、「予算を設定すれば必ず何円以内」と保証したりはしません。
同資料では、新しい目標に置き換えると目標の使用量計測がリセットされると説明しています。これは契約プランの残量を回復させるという説明ではありません。時間の計測項目があることも、「必ず2時間で停止させられる」証拠にはなりません。出典:App Serverの目標管理。
7. 途中で止まったときの確認順
目標が有効でも、すべての停止を自動で乗り越えるわけではありません。まず現在の目標と最後の結果を確認し、次の順で切り分けます。
完了、一時停止、解除、予算到達のどれか。完了なら、完成条件を満たした証拠を確認します。
承認や必要な情報を待っていないか。追加メッセージが待機中なら、その処理が先になることがあります。
目標予算の到達と、契約の利用上限、選択モデルのエラーを別々に確認します。
必要なファイル、依存関係、テスト道具、接続があるか。ローカルPCの作業なら、そのPCの稼働状態も確認します。
Cookbookによると、自動継続はチャットが待機状態になり、目標が有効で予算内にあり、別の処理や利用者の入力が待っていない条件で行われます。計画だけの作業は継続を起動せず、中断では目標が一時停止します。また、継続ターンでツールを一度も呼ばなかった場合は、無意味な反復を避けるため次の自動継続が抑制されます。
予算に達した場合、公式の設計では本格的な作業を止め、進捗・障害・次の手を報告します。予算を使い切ったことと、目標を達成したことは別です。再開前に、まだ必要な作業と費用の見通しを確認してください。
/goalを始めても、権限や接続先は広がりません。公式資料は既存のsandboxと承認方針に従うと説明しています。ローカル作業が自動でクラウドへ移る機能でもありません。接続を失う予定がある場合は一時停止し、環境が利用できる状態で再開する案内があります。出典:長い作業の権限と継続条件。
「Selected model is at capacity」のようなモデル側のエラーが表示された場合は、その表示に応じた確認が必要です。Codexのat capacityエラーの調査と対処に、利用上限と分けて説明しています。
8. 完成報告で確認する証拠
「完成しました」という返答だけでは、求めた結果を検証したか分かりません。確認するのは、最初の目標と対応する証拠です。テストが通っていても、操作検査が未実施なら、その範囲まで合格したとは扱いません。
| 完成条件 | 受け取る証拠 | 不足している報告の例 |
|---|---|---|
| 不具合を直した | 再現条件、変更差分、修正後の同じ条件での結果 | 再現せずに、怪しいコードだけ変えた |
| 既存動作を維持した | 関連する回帰テストのコマンドと結果 | 新機能だけを確認し、既存の保存は見ていない |
| 画面と操作が使える | 指定幅での実操作、入力・再読込などの結果 | 画像だけで保存やボタン操作も合格とした |
| 根拠ある調査を終えた | 主張と原文の対応、条件、残る疑問 | リンク一覧だけで、何を確認したか分からない |
不足があれば、同じチャットで「再読込後の保存を検査して」「この主張の原文と条件を示して」と具体的に戻します。完成条件を増やす場合は、目標側も更新します。異なる担当による確認を求めるなら、その依頼を別途明示し、担当の報告だけを読むレビューと、実際に再実行する検査を分けてください。
通常のCodex開発でも要件整理・実装・検証は依頼できます。Goal modeの価値は、複数の作業にまたがる完成条件を保ち、次の手を選ぶ基準にできることです。製品や実行形態の違いはClaude CodeとCodexの比較で整理しています。
9. 使う前に確認すること
- 成果・制約・検証を、目標の文章に含める
- 実行するチャットに、必要なファイルと検査環境を用意する
- デスクトップは進捗行、CLIは目標操作コマンドで管理する
- 目標予算とプランの利用枠を分けて確認する
- 完了報告を、テスト・差分・実操作・出典と照合する
一度の修正や説明で十分なら、通常の依頼が適しています。次の手が調査結果によって変わり、同じ完成条件に向かって繰り返す作業には/goalを検討できます。長く動いたことではなく、確認できた成果を基準に使い分けます。
実行場所とPCの稼働条件は、PCを閉じる場合のRemote・Cloudの条件で確認できます。スマホの画面を閉じることと、接続先PCがスリープすることを区別して判断してください。
10. よくある質問
毎回「続けて」と送らなくてもよくなる?
目標が有効で、自動継続の条件を満たす場合は、ターンの後も次の作業へ進めます。承認待ち、予算到達、障害などで停止することはあります。人の判断が一切不要になる機能ではありません。
/goalはクラウド専用? PCを閉じても動く?
クラウド専用ではありません。デスクトップ、Codex CLI、IDE拡張で案内されています。継続に必要な環境は実行先次第で、目標を設定するだけで電源の切れたローカルPCで処理が続くとはいえません。
トークン予算を設定すれば、料金も必ず制限できる?
請求額の厳密な上限としては保証できません。目標の予算と契約枠・追加クレジット・API課金は別です。今回確認した公式資料では、目標カウンターと請求額の厳密な対応は説明を確認できませんでした。
dotを使う場合と同じ?
/goalは同じCodexチャットの目標と継続を管理します。dotは継続的な支援や別タスクへの委任・調整も扱います。小さな開発を進めるだけなら、Codexへの直接依頼でも対応できます。目的と、誰に進行管理を任せるかで選びます。