前章では、AIコーディングツールを3つのタイプに分け、その中でも実装を大きく任せられる Claude Code を本講座の主役に選びました。この章ではいよいよ手を動かします。インストール → 起動 → ログイン → 最初の指示 → 差分の承認という一連の流れを、つまずきやすいポイントごと丁寧にたどり、あなたのターミナルでClaude Codeが動き出すところまで案内します。
ゴールは「自分の環境でClaude Codeに最初の仕事をさせる」
Claude Codeとは(前章の復習)
あらためて一言でいうと、Claude Codeは Anthropic製の「CLIエージェント」です。ブラウザのチャットにコードをコピペするのではなく、あなたのターミナルの中で直接、プロジェクトのファイルを読み・書き換え・コマンドを実行し・テストを回す。日本語で「こうしてほしい」と伝えるだけで、AIが自分で計画を立て、複数のファイルにまたがって作業を進めてくれます。まさに、隣に座って一緒に手を動かす相棒です。
📖 まず読みたい2つの公式。 本章の手順は入門の道しるべです。正確なシステム要件・最新の導入方法・料金プランは、必ず一次情報で確認してください ― 公式ドキュメント code.claude.com/docs と 製品ページ anthropic.com/claude-code の2つをブックマークしておくと、この先ずっと役立ちます。
導入する ― インストール
Claude Codeは Node.js の環境にインストールして使います。難しい準備は要りません。まず前提となる2つを用意しましょう。
Claude Codeを動かす土台。まだなら公式 nodejs.org からLTS版を入れておく。導入済みかは node -v でバージョンが表示されればOK。
コマンドを打つ画面。macOSは「ターミナル」、Windowsは「PowerShell」やWSL、Linuxは標準の端末でOK。前章で触れた基本操作ができれば十分。
準備ができたら、ターミナルに次のコマンドを1行打ち込みます。npm(Node.jsに付属するパッケージ管理ツール)を使って、Claude Codeを端末全体で使えるように入れるだけです。
npm install -g @anthropic-ai/claude-code
-g は「グローバルに(=どのフォルダからでも呼べるように)入れる」という意味です。完了したら、次のコマンドで起動します。
claude
⚠️ claude: command not found と出たら。 インストールは成功したのに、コマンドとして認識されない ― これは初学者が最初にぶつかりやすい定番のつまずきです。多くはNode.js/npmのパス設定が原因で、対処法は決まっています。「command not found/インストールエラー」の記事に、OSごとの直し方をまとめてあります。
細かなシステム要件やOS別の推奨手順、代替のインストール方法は環境によって変わります。最新の正確な情報は、必ず公式ドキュメント code.claude.com/docs を確認してください。
初回起動とログイン
claude で初めて起動すると、Anthropicアカウントでのログイン(認証)を求められます。画面の案内にしたがって進めるだけで、多くの場合はブラウザが開き、そこでサインインすると認証が完了してターミナルに戻ってきます。
ターミナルで claude と入力。初回はログイン方法を選ぶ画面が出る。
案内にしたがいブラウザでAnthropicアカウントにサインイン。許可すると認証が通る。
ターミナルに戻ると入力待ちの画面に。ここが対話の入り口。次はいよいよ指示を出す。
ログインには、対象のプラン契約がある Claudeのサブスクリプションで入る方法と、APIキーで入る方法があります。どちらが使えるか・料金がどう発生するかはプランによって異なるため、ここでは断定しません。あなたの契約に合った方法は公式ドキュメントで確認してください。
🔑 ログインできない・認証エラーが出たら。 ブラウザが開かない、コードを貼っても弾かれる、途中で止まる ― 認証まわりも定番のつまずきポイントです。原因別の対処を「ログイン/認証エラー」の記事にまとめています。それでも解決しないときは、詰まりを体系的に扱う第5章「詰まりを抜ける」もあわせてどうぞ。
最初の指示を出す ― 基本ループ
認証が済んだら、いよいよ本番です。まず大事なのは、作業したいプロジェクトのフォルダの中でClaude Codeを起動すること。Claude Codeは「今いるフォルダ」を作業対象として認識するため、これを間違えると別の場所を触ってしまいます。
cd my-project
claude
あとは、やってほしいことを日本語でそのまま伝えるだけ。「READMEを読んで、このプロジェクトが何をするものか説明して」「トップページに問い合わせフォームを追加して」のように、普通の言葉で頼めます。ここからは、次の4ステップがずっと繰り返す基本ループになります。
やってほしいことを日本語で伝える。曖昧より具体的なほど、狙い通りに動く。
AIが関係ファイルを読み、何をどう変えるかの段取りを立てて動き出す。
どの行をどう書き換えるかが差分(diff)で表示される。緑が追加、赤が削除。
内容に納得したら承認して反映。違えば却下し、言葉で直しを伝えて再挑戦。
ポイントは LOOP 3 の「差分の確認」です。Claude Codeは、ファイルを書き換える前にまず「ここをこう変えます」という差分を見せ、あなたの承認を待ってから反映します。ここで中身を読み、意図と合っているかを判断するのが人間の役割。前章で触れたとおり、出てきたコードを読んで良し悪しを見極めるのがあなたの仕事です。
✅ 最初の一手は「小さく・確認できるもの」から。 いきなり大改造を頼まず、「このファイルの説明」「小さな関数を1つ追加」など結果を目で確かめられる小さな依頼で慣れましょう。うまくいったら少しずつ任せる範囲を広げる ― これが遠回りしないコツです。
頼み方そのもの(ざっくり任せる「バイブコーディング」と、仕様を固めてから作らせる「仕様駆動開発」の使い分け)は、第4章「上手に頼む」でじっくり深掘りします。まずはこの4ステップのループが回れば十分です。
権限モードの基礎 ― 安全に任せる
「AIが勝手にファイルを消したり、危険なコマンドを実行したりしないの?」 ― もっともな心配です。Claude Codeはそこをきちんと設計していて、ファイルの編集やコマンドの実行といった影響のある操作の前に、必ず確認を挟む仕組みになっています。これが権限モードです。
ふるまいは何段階かに分かれています。ここでは概念だけ、ざっくりつかんでおきましょう。
編集やコマンド実行のたびに確認を求める。一つずつ承認するので、いちばん安全。まずはこれで慣れる。
実際には変更せず、「何をするか」の計画だけを立てさせる。大きな作業の前に方針を固めたいときに便利。
毎回の確認を省き、一定範囲の操作を自動で進める。速いが、内容を見る回数が減るぶん慎重に。
確認をすべて飛ばして実行する強力なモード。初心者は避けるのが無難。使う場面と危険は下の注意を参照。
💡 「確認が面倒だから全部バイパス」は禁物。 確認をすべて飛ばすモードは強力ですが、その裏返しで望まない削除やコマンド実行を止められません。安全に速さがほしいなら、いきなりバイパスにするのではなく、まず信頼できる操作だけを許可する権限ルールを整えるのが正攻法です。作業を隔離して安全に走らせる「サンドボックス」という選択肢もあります。
ここでは「Claude Codeは勝手に暴走せず、確認を挟んでくれる」「そのふるまいはモードで調整できる」とだけ覚えれば十分です。より詳しくは、専用の記事とガイドで深掘りできます。
各モードの違いと切り替え方は権限モード徹底解説で。
許可・拒否のルールの書き方は権限ルールと設定で。
サンドボックスの考え方はサンドボックス入門で。
CLAUDE.md と設定の基礎
Claude Codeを使い込むと、「毎回同じ注意を伝えるのが面倒」と感じてきます。「インデントはスペース2つで」「このフォルダは触らないで」「返答は日本語で」 ― こうしたプロジェクト共通のルールを、その都度お願いするのは非効率です。
そこで登場するのが CLAUDE.md。プロジェクトのルートにこの名前のファイルを置いておくと、Claude Codeが起動時に自動で読み込み、書かれたルールを踏まえて作業してくれます。いわば、相棒に渡す「このプロジェクトの取扱説明書」です。
# このプロジェクトについて
- 言語: TypeScript / フレームワーク: Next.js
- 返答とコメントは日本語で書く
- インデントはスペース2つ
- src/legacy/ 以下は触らない
- コミット前に npm run lint を通す
ポイントは「短く・具体的に・本当に守ってほしいことだけ」書くこと。長すぎたり曖昧だったりすると、かえって守られにくくなります。まずは数行から始め、「毎回言っているな」と気づいたことを追記していくのがちょうどいい育て方です。
💡 CLAUDE.mdに書いたのに守ってくれない? よくあるのは、ルールが多すぎる・抽象的すぎる・矛盾している、といったケースです。原因と直し方は「CLAUDE.mdのルールが効かない時」の記事にまとめてあります。「効かせるコツ」を知ると、AIの精度がぐっと安定します。
設定はCLAUDE.mdだけではありません。先ほどの権限ルールや、モデルの選択、各種の挙動も設定ファイルで細かく調整できますが、それは追い追いで大丈夫。まずは「CLAUDE.mdにプロジェクトのルールを数行書く」だけで、体感が変わります。
- Claude CodeはAnthropic製のCLIエージェント。Node.js環境に
npm install -g @anthropic-ai/claude-codeで入れ、claudeで起動する。 - 初回はAnthropicアカウントでログイン(認証)。詰まったら command not found/認証エラーの各記事へ。
- 基本は頼む→計画→差分(diff)確認→承認のループ。差分を読んで良し悪しを判断するのが人間の仕事。
- 権限モードで暴走を防ぐ。初心者はバイパスを避け、確認しながら任せる範囲を広げる。
- CLAUDE.mdにプロジェクトのルールを数行書くと、AIが従いやすくなる。
これで、あなたのターミナルでClaude Codeが動き、最初の仕事を任せられるようになりました。次の第3章「ツールを比べて使い分ける」では、Cursor・GitHub Copilot・Codexといった仲間との違いを整理し、場面ごとの選び分けを身につけます。