「Claude Code は自然に並列でやってくれるのに、Codex は言わないとやらない」というイメージは、条件つきで正しいです。Codex のアプリ・CLI・IDE 拡張は、頼んだときか、AGENTS.md やスキルに「サブエージェントに分けて」と書いてあるときに並列の担当(サブエージェント)を起こします。Claude Code は、依頼の内容と担当の説明文から自分の判断でも任せます。

並列の担当を起こすきっかけ

Codex

頼まれたら並列にする

アプリ・CLI・IDE 拡張は、直接の依頼か、AGENTS.md・スキルの指示があるときにサブエージェントを起こす。機能そのものは最初から有効。

毎回言わずに済ませるには → AGENTS.md に委任の決まりを書く

Claude Code

自分の判断でも並列にする

依頼の内容・担当の説明文(description)・その時の状況を見て、自分で担当に任せる。調べ物の担当(Explore)も自動で使う。

確実に任せるには → 担当を @ で名指しする

判定ユーザーのイメージは条件つきで正しい。Codex も、ChatGPT Work(Web)で最上位の知能レベル Ultra を選んだときは、自分の判断で任せられる(公式の Subagents のページ)。

この記事では、OpenAI と Anthropic の公式ドキュメント(2026年10月26日確認)をもとに、2つのツールで並列に作業させる方法を、きっかけ・指示の出し方・設定・コマンド・費用の順に比べます。2つのツールは、どの章も Codex → Claude Code の順と色で並べます。最後に、このサイトが Claude Code で担当を並列に動かして運用してきた中で分かった注意をまとめました。

1. 並列にするきっかけ——何も言わないとどうなるか

サブエージェントは、メインの会話から仕事の一部を任される別の担当です。それぞれが自分の文脈(コンテキスト)で調べ物やテストを進め、結果の要約だけをメインに返します。並列に動かすと待ち時間が減り、メインの会話が途中のログで埋まりにくくなります。2つのツールとも、この考え方は同じです。

違うのは、誰がそれを始めるかです。4つの場面で比べます。

場面
Codex
Claude Code
何も頼まない
Codex起こさないアプリ・CLI・IDE。公式は「直接の依頼か、該当する指示があるときに起こす」
Claude Code自分で任せることがある依頼の内容・担当の説明文・状況で判断。調べ物の担当 Explore も自動で使う
「並列で」「担当を分けて」と頼む
Codex起こす例「1点につき1つの担当を起こして」
Claude Code起こす例「別々のサブエージェントで並列に調べて」
プロジェクトの指示ファイルに委任の決まりを書く
Codex起こすAGENTS.md・スキルの指示が委任を求めていれば従う(公式に明記)
Claude Code記載なしサブエージェントのページの書き方は「担当の説明文に use proactively を入れる」
担当を名指しする
Codex起こす自作の担当の名前を指示に書く
Claude Code必ずその担当が動く@ で選ぶと、その担当が確実に動く。名前を書くだけなら任せるかは Claude が決める

出典:OpenAI「Subagents」、Anthropic「Create custom subagents」。2026年10月26日確認。

Codex の公式の説明では、Codex のローカルの版(アプリ・CLI・IDE 拡張)は「直接頼まれたとき、または該当する AGENTS.md・スキルの指示が委任を求めているときに任せる」とされています。機能が切られているわけではなく、サブエージェントの仕組みは今の版では最初から有効です。起こすかどうかを、あなたの指示に委ねています。ChatGPT Work(Web)では、ほとんどの知能レベルで明示の依頼が要り、Ultra を選んだときだけ(Ultra は対象のアカウントと対応するモデルに限られる)、並列にすると速さや質が大きく上がる場面で自分から任せられます。

Claude Code の公式の説明は「依頼の中の作業の内容、担当の定義の description、今の状況をもとに、自動で任せる」です。もっと積極的に任せてほしい担当には、説明文に「use proactively」のような言葉を入れるよう勧めています。会話をそのまま引き継ぐ担当(fork)も、既定では Claude が自分の判断で起こします。

細かい補足:Codex の変更履歴には、Codex を自分の製品に組み込む側(アプリサーバーのクライアント)が、委任を「無効・明示の依頼だけ・自発的」から選べるようにした変更があります(Codex CLI 0.142.0、2026年6月22日)。アプリ・CLI・IDE の利用者向けの説明は、上の表のとおりです。

2. 仕組みを一目で比べる

担当の定義の書き方、同時に動かせる数、作業場所の分け方などを並べます。片方の公式にしか書かれていない所は「記載なし」としました。

項目
Codex
Claude Code
最初から入っている担当
Codexdefault(汎用)・worker(実装・修正)・explorer(読む中心の調査)
Claude CodeExplore(読み取り専用の調査)・Plan(計画の調査)・general-purpose(調査と変更)など
自作の担当の置き場所
Codex.codex/agents/(プロジェクト)・~/.codex/agents/(個人)1ファイルに1担当の TOML
Claude Code.claude/agents/(プロジェクト)・~/.claude/agents/(個人)1ファイルに1担当の Markdown(先頭に YAML)
定義に必須の項目
Codexname・description・developer_instructions
Claude Codename・description本文が担当への指示になる
担当のモデル
Codex指定が無ければ親のモデルと推論の強さを引き継ぐ。依頼の中・[agents] の既定・担当のファイルで変えられる
Claude Code呼び出しのときの指定 → 定義の model → 環境変数 CLAUDE_CODE_SUBAGENT_MODEL → メインのモデルの順
同時に動かせる数
Codexagents.max_concurrent_threads_per_session で上限を決める未設定なら Codex が決める(既定の値は公表されていない)
Claude Code既定は同時に20。CLAUDE_CODE_MAX_CONCURRENT_SUBAGENTS で変える1セッションで起こせる総数の上限は無い
担当が担当を起こす(入れ子)
Codex記載なし
Claude Code既定で3層まで。CLAUDE_CODE_MAX_SUBAGENT_SPAWN_DEPTH=1 で入れ子なし
担当の権限
Codex親のサンドボックスと承認の設定をそのまま引き継ぐ。担当のファイルで変えられないシェル(features.shell_tool)など一部の機能は担当のファイルで切れるが、読み取り専用のサンドボックスにはならない。「編集しないで」は指示で頼むだけ
Claude Code親の許可のモードを引き継ぐ(定義の permissionMode で変えられる場合もある)。tools で使える道具を絞れるWrite・Edit を外せば、編集の道具を持たない担当になる(Bash を残すとシェルのコマンドでの書き込みは道具の上では止まらない)
作業場所を分ける(worktree)
Codexチャットごとに分ける(アプリの Worktree・/worktree)担当ごとに分ける設定:記載なし
Claude Code担当ごとに isolation: worktree、セッションごとに claude --worktree
結果の受け取り
Codex頼んだ全員の結果がそろうのを待ち、1つの応答にまとめる
Claude Code既定ではバックグラウンドで動き、終わると通知が届いてから結果をまとめる
機能を切る
Codexconfig.toml の [agents] で enabled = false
Claude Code許可の設定 permissions.deny に Agent を入れる

出典:OpenAI「Subagents」「Configuration Reference」「Worktrees」、Anthropic「Create custom subagents」「Run parallel sessions with worktrees」。2026年10月26日確認。

大きな違いは2つです。1つは担当を「書けない担当」にできるかで、Codex は親の権限をそのまま使うので、担当への「編集しないで」はお願いにとどまります。Claude Code は編集の道具(Write・Edit)そのものを担当から外せます。シェルからの書き込みまで防ぐなら、Bash も外します。もう1つは担当ごとの作業場所で、Claude Code は担当ごとに git の worktree(同じリポジトリの別の作業コピー)を作れます。Codex の worktree はチャットの単位です。

Claude Code には、サブエージェントのほかにも並列のやり方があります(別々のセッションを1画面で動かす agent view、担当どうしが連絡し合う agent teams など)。違いは「Claude Code の Subagents と Agent Teams の違い」と「Claude Code の agent view」にまとめています。

3. 指示の出し方と、そのまま使える例文

Codex の公式は、よい指示には「どう分けるか」「全員を待ってから進むか」「何を返させるか」を書くよう勧めています。このサイトで担当を並列に動かしてきた経験から、あと2つを足すと事故が減ります。

  1. どう分けるか観点ごと(セキュリティ・テスト・保守性)、場所ごと(ディレクトリ・モジュール)など。担当どうしが同じものを見ない分け方にする
  2. 触ってよい範囲「読むだけ」か「このディレクトリだけ編集してよい」か。同じファイルを2人に触らせない
  3. 全員を待つか全員の結果がそろってからまとめるのか、途中で次へ進んでよいのか
  4. 何を返させるか形と量(「ファイル名つきで10行以内」など)。返事が長いとメインの文脈がすぐ埋まる
  5. やってはいけないことコミット・プッシュ・担当がさらに担当を起こすこと、など。担当は禁止を知らされないと、よかれと思ってやる

読むだけの調査・レビュー(まずはここから)

Codexブランチのレビューを3つの観点で並列に
このブランチを main と比べてレビューして。サブエージェントを3つ並列で起こして、
1つはセキュリティの問題、1つはテストの抜け、1つは保守性を見させて。
どの担当もファイルは編集しないこと。
3つ全部が終わるまで待ってから、観点ごとに、ファイル名と行の場所つきでまとめて。

公式の例文(英語)を日本語にして、「編集しない」を足したもの。Codex では「サブエージェントを起こして」「並列で」とはっきり書くのが要点です。

Claude Code3つのモジュールを並列に調べる
認証・データベース・API の3つのモジュールを、別々のサブエージェントで並列に調べて。
どの担当も読むだけで、ファイルは変えないこと。
それぞれ「入口のファイル・主な処理の流れ・気になった点」を10行以内で返させて、
全員の結果がそろってから1つにまとめて。

公式の例文「Research the authentication, database, and API modules in parallel using separate subagents」をもとに、範囲と返す形を足したもの。Claude Code は言わなくても任せることがありますが、数・範囲・返す形は言わないと決まりません。

ファイルを書き換える作業を分ける

書き込みの多い作業の並列は、両方の公式が慎重に扱っています。担当ごとに編集してよい場所を分け、Claude Code では作業コピーも分けます。

Codex調べる担当と直す担当を分ける
設定画面の保存が失敗する原因を調べて直して。
browser_debugger にブラウザで再現させて手順を記録させ、
code_mapper に原因のコードの場所を調べさせて(この2つは編集しない)。
原因が分かったら、ui_fixer に最小の修正をさせて。関係のないファイルは触らないこと。

公式の例(自作の担当 browser_debugger・code_mapper・ui_fixer を使う形)を日本語にし、編集の範囲を足したもの。この3つの担当は先に定義しておく必要があり、定義の例は公式の Subagents の「Frontend integration debugging」にあります。定義ファイルの書き方は 4章。

Claude Code大きな変更を作業コピーごとに分ける
/batch src/ の JavaScript を TypeScript に移して

/batch は、変更を5〜30の独立した単位に分けた計画を出し、承認すると単位ごとに別の worktree で担当を動かします(Claude Code の組み込みのスキル。git のリポジトリか、worktree を作るフック WorktreeCreate が要ります)。

毎回言わずに済ませる

Codex で「言わないと並列にしない」が面倒なら、プロジェクトの AGENTS.md に委任の決まりを書きます。公式は、該当する AGENTS.md やスキルの指示があれば委任すると書いています。どの言い方なら確実に起こすかまでは書かれていないので、書いたら一度、普段の依頼で担当が起きるかを見てください。

## サブエージェントの使い方
- 3つ以上のディレクトリにまたがる調査は、ディレクトリごとにサブエージェントを起こして並列で調べる
- サブエージェントにはファイルを編集させない。編集はメインのスレッドで行う
- 全員の結果がそろってから、要点だけをまとめて報告する

Claude Code で特定の担当をもっと使ってほしいときは、その担当の description に、いつ使うかと「use proactively」を書きます(定義の例は次の章)。逆に、任せすぎて困るときは、permissions.deny に Agent を入れると担当を起こさなくなります。

4. 設定と担当の定義ファイル

Codex config.toml と .codex/agents/

全体の設定は config.toml(個人は ~/.codex/config.toml、プロジェクトは .codex/config.toml)の [agents] に書きます。

# .codex/config.toml
[agents]
max_concurrent_threads_per_session = 4     # 同時に開ける担当のスレッドの上限(メインは数えない)
default_subagent_model = "gpt-6-luna"      # 担当の既定のモデル
default_subagent_reasoning_effort = "high" # 担当の既定の推論の強さ
設定意味
agents.enabled担当を起こす道具を使うか。既定は true。false で切れる
agents.max_concurrent_threads_per_session同時に開ける担当のスレッドの上限。未設定なら Codex が決める。古い名前 agents.max_threads も使える
agents.default_subagent_model担当の既定のモデル。依頼の中で指定したモデルが優先
agents.default_subagent_reasoning_effort担当の既定の推論の強さ。依頼の中の指定が優先
features.multi_agent担当を起こす・指示を送る・待つ・閉じる道具(spawn_agent・wait_agent など)。安定版で、既定でオン

出典:OpenAI「Configuration Reference」。2026年10月26日確認。検索でよく見る「multi agent v2」は、この仕組みの今の版のことで、変更履歴では Codex CLI 0.145.0(2026年7月21日)で安定版になりました(Changelog)。今の版では multi_agent = true を自分で書かなくても有効です。

自作の担当は、.codex/agents/ に1担当1ファイルの TOML で置きます。ファイル名ではなく name が担当の名前になります。

# .codex/agents/reviewer.toml
name = "reviewer"
description = "正しさ・セキュリティ・テストの抜けを見るレビューの担当"
model = "gpt-6.1-sol"
model_reasoning_effort = "medium"
developer_instructions = """
ファイルは編集しない。
正しさ・セキュリティ・挙動の後退・テストの抜けを優先して指摘する。
見た目だけの指摘は、実際の不具合を隠しているときだけにする。
"""

公式の例(英語)を日本語にしたもの。モデル名は公式の例で、使えるモデルはアカウントやワークスペースで違います。重い判断の担当に gpt-6.1-sol、範囲のはっきりした軽い担当に gpt-6-luna が公式の目安です。sandbox_mode・approval_policy・mcp_servers などは、担当のファイルに書いても親の設定が優先されます。

Claude Code .claude/agents/ と settings.json

担当は .claude/agents/ に Markdown で置きます。Claude に「こういう担当を作って」と頼んで書かせることもできます。

---
name: test-runner
description: Runs the test suite and reports only failing tests with their errors. Use proactively after code changes.
tools: Read, Grep, Glob, Bash
model: haiku
---

テストを実行し、失敗したテストの名前とエラーの要点だけを返す。
コードは直さない。成功したテストの一覧は返さない。

tools に Write・Edit を入れていないので、公式の説明では、この担当はファイルの編集も書き込みもできません。ただしテストを動かすために Bash を残しているので、シェルのコマンドで書き込む余地はあります。本文の「コードは直さない」はその念押しです。model は sonnet・opus・haiku・fable・モデルの ID・inherit(メインと同じ)。担当ごとのモデルの選び方は「Claude Code のサブエージェントを別モデルで動かす方法」にまとめています。

同時の数や入れ子の深さは、環境変数で決めます。settings.json の env に書けます。

{
  "env": {
    "CLAUDE_CODE_MAX_CONCURRENT_SUBAGENTS": "5",
    "CLAUDE_CODE_MAX_SUBAGENT_SPAWN_DEPTH": "1"
  }
}
設定意味
CLAUDE_CODE_MAX_CONCURRENT_SUBAGENTS同時に動く担当の上限。既定は20。上限に達すると、それ以上は起こせない
CLAUDE_CODE_MAX_SUBAGENT_SPAWN_DEPTH担当が担当を起こせる深さ。既定は3層。1 で入れ子なし
CLAUDE_CODE_SUBAGENT_MODELモデルの指定が無い担当の既定のモデル
CLAUDE_CODE_FORK_SUBAGENT0 で、会話を引き継ぐ担当(fork)を Claude が自分で起こすのを止める
CLAUDE_CODE_EXPERIMENTAL_AGENT_TEAMS1 で agent teams を有効にする(実験的・既定は無効)

出典:Anthropic「Create custom subagents」「Orchestrate teams of Claude Code sessions」。2026年10月26日確認。

5. コマンドの一覧

動いている担当を見る、作業コピーを分ける、会話を枝分かれさせる、といった操作のコマンドです。同じ名前でも中身が違うものがあるので注意してください。

やりたいこと
Codex
Claude Code
動いている担当を見る・切り替える
Codex/subagents(CLI)アプリはメインの会話から担当のスレッドを開く。IDE は入力欄の上のパネル
Claude Code/tasks終わった担当も少しの間は残る。入力欄の下のパネルで ↑↓ と Enter
担当の定義を作る
Codex.codex/agents/ に TOML を書く
Claude CodeClaude に頼むか、.claude/agents/ に書く/agents は今はその案内を出すだけ
担当を確実に指名する
Codex指示の中で担当の名前を書く
Claude Code@ で担当を選ぶセッション全体をその担当で動かすなら claude --agent 名前
会話を引き継いだ担当に横の作業を任せる
Codex記載なし/side は横で質問するための一時的な会話
Claude Code/subtask 作業今の会話を引き継いだ担当が裏で動き、結果がこの会話に戻る
会話を複製して別に進める
Codex/fork・codex fork
Claude Code/fork(別のバックグラウンドのセッションに複製)
作業コピー(worktree)で始める
Codex/worktree・codex exec --worktree "指示"アプリは入力欄の下で Worktree を選ぶ
Claude Codeclaude --worktree 名前(-w)
複数のセッションを1画面で見る
Codex/agents・codex agents(コマンドセンター)
Claude Codeclaude agents(agent view。研究プレビュー)
同じ課題を複数の案で解かせる
Codexcodex cloud exec --env 環境のID --attempts 3 "指示"クラウドで1〜4回試させる(既定は1)
Claude Code記載なし同じ起点から複数の案を試すなら、fork を並べる使い方が公式に書かれている

出典:OpenAI「Command line options・Slash commands」「Subagents」、Anthropic「Commands」「Run agents in parallel」「Create custom subagents」(fork で複数の案を試す使い方)。2026年10月26日確認。

名前が似ていて紛らわしいのは /agents です。Codex の /agents は、サーバー上のチャットの一覧(コマンドセンター)です。Claude Code の /agents は担当の定義の置き場所の案内で、セッションの一覧は claude agents(シェルから起動)です。

6. 並列に向く作業・向かない作業

2つの公式は、ほぼ同じことを書いています。読むだけの作業から始め、書き込みの多い作業は慎重に、です。

向く作業

  • コードベースの調査(場所ごとに分けられる)
  • 観点を分けたレビュー(セキュリティ・テスト・保守性)
  • テストの実行とログの解析(長い出力を担当の中で読ませ、要点だけ返させる)
  • 資料の要約・不具合の切り分け(互いに待たなくてよい)
  • 別々のファイルを担当ごとに書き換える(範囲を分け、Claude Code なら worktree も分ける)

向かない作業

  • 同じファイルを複数で書き換える(上書き・衝突が起きる)
  • 順番に依存する作業(前の結果を見ないと次が決まらない)
  • 何度もやりとりして詰める作業(Claude Code の公式は、メインの会話でやるよう勧める)
  • すぐ終わる小さな修正(担当は文脈を集め直すので、かえって遅くなることがある)

出典:OpenAI「Subagents」(Why subagent workflows help)、Anthropic「Create custom subagents」(Choose between subagents and main conversation)・「agent teams」(Avoid file conflicts)。2026年10月26日確認。

7. 費用(使用量の枠)への影響

並列にすると速くなる代わりに、使用量は増えます。担当はそれぞれが自分でモデルに問い合わせ、道具を使うからです。

1人で進める
メイン
担当3人に分ける
メイン担当1担当2担当33人の要約をメインが読む

それぞれの箱が、モデルへの問い合わせの使用量。担当の中で読んだファイルやログはメインに入らないので、メインの文脈は軽くなるが、合計の使用量は増える(図は仕組みの説明で、量の比ではない)。

項目
Codex
Claude Code
公式の説明
Codex担当ごとにモデルと道具を使うので、同じ作業を1人でするより多くのトークンを使う
Claude Code担当の問い合わせも、メインの会話と同じ使用量の枠に数える。複数のセッションや担当を同時に動かすと、使用量は掛け算で増える
特に増えやすい使い方
CodexUltra で同時の数を多くすると、使用量がすぐ増えるという警告が出る(Codex CLI 0.144.0、2026年7月9日の変更)
Claude Codeagent teams は、担当が plan mode のとき通常のセッションの約7倍のトークンを使う(公式の費用のページ)
減らし方
Codex軽い担当には速くて安いモデル(公式の例は gpt-6-luna)。推論の強さを下げる
Claude Code軽い担当は model: haiku。担当の数を絞り、返す量を短くさせる

出典:OpenAI「Subagents」「Changelog」、Anthropic「Manage costs effectively」「Create custom subagents」。2026年10月26日確認。

もう1つ見落としやすいのは、担当の返事もメインの文脈に入ることです。Claude Code の公式は、詳しい結果を返す担当をたくさん動かすと、メインの文脈を大きく使うと注意しています。返す形を「10行以内」などと決めておくのは、費用のためでもあります。Claude Code のトークンの節約全般は「Claude Code のトークン節約術」にまとめています。

8. 運用して分かった注意(このサイトの例)

このサイト(AI Arte)は、記事の翻訳や点検を Claude Code の担当に並列で任せて運用しています。この記事の調査と下書きも、メインのセッションが配った担当の1人が書いています。その中で実際に起きたことを、避け方と一緒に並べます。どれも Claude Code での記録で、Codex で同じことを確かめたものではありません。ただ、同じファイルの衝突や担当外の報告のずれは、仕組みが似ている Codex でも同じように気をつける所です。

  1. 2026年7月同時に動かす数は、自分の枠に合わせて決める
    起きたこと
    6体以上を同時に動かすと、レート制限で担当が落ちた
    避け方
    同時は最大5体にし、それ以上の仕事は5体ずつの組に分けて順に回す。Claude Code の既定の上限(20)より手前に、自分の枠に合う上限を置く
  2. 2026年9月22日担当に、さらに担当を起こさせない
    起きたこと
    10言語の仕事を渡した担当が、自分で翻訳の担当を5体起こした。親の5体と合わせて同時に10体になり、利用上限に達して全員が途中で止まった
    避け方
    指示の「やってはいけないこと」に「担当を起こさない。分担は親が配る」と書く。Claude Code は既定で担当が担当を起こせる(3層まで)ので、CLAUDE_CODE_MAX_SUBAGENT_SPAWN_DEPTH=1 で入れ子を止める手もある
  3. 2026年8月22日同じファイルを2人に触らせない
    起きたこと
    講座の章の末尾に親が足した文を、別の担当が「指示に無い」として消し、また足す、を繰り返した
    避け方
    担当ごとに触ってよいファイルを分ける。親が後で一括で足すものは、担当の指示にも書いておくか、全員が終わってから足す
  4. 2026年9月22日一時ファイルの置き場所も分ける
    起きたこと
    ある担当が作業用のフォルダの直下に置いた一時のスクリプトが、別の担当の同じ名前のファイルに上書きされていた。同じ会話から起こした担当は、同じ作業用のフォルダを見る
    避け方
    指示で、担当ごとの専用のサブフォルダを決めて渡す
  5. 2026年9月5日担当が動いている間に、まとめてコミットしない
    起きたこと
    5体が動いている最中に、別件を git add -A(全部の変更)でコミットし、担当が終えていた100ファイルを関係のないコミットに巻き込んだ
    避け方
    コミットはファイルを指定して行う。担当にも、全部の変更をまとめる操作や、変更を戻す操作を禁止と書く
  6. 2026年8月22日担当の報告のうち、担当の外のことは測り直す
    起きたこと
    2体が「24件が点検に落ちる」「28件」と報告したが、実際に測ると16件だった。自分が触っていないファイルの状態を推測で書いていた
    避け方
    件数や対象は、親が自分で点検を回して確かめる。担当の範囲の中の指摘は精度が高いので、そこは信じてよい

記録は、このサイトの運用の記録(2026年7月〜9月)から。数字は記録に残っているものだけを載せています。

これらの注意をまとめると、配る指示書は次の形になります。担当は会話の続きを知らないので、指示書だけで仕事が完結するように書きます。

【仕事】記事273の調査と ja の下書きを作る
【やってはいけないこと】
- git の操作(add・commit・checkout・restore・stash・push)
- 担当を起こさない(分担は親が配る)
- 他の記事を編集しない
- 一時ファイルは 作業用フォルダ/a273/ に置く
【調べること】公式のドキュメントの原文で(URL と確認日を記録)
【返すもの】作ったファイル・題・確かめられなかったこと

この記事を書いた担当が受け取った指示書の骨組み(要約)に、上の注意のうち2つ(担当を起こさない・一時ファイルの置き場所)を足したもの。Codex でも Claude Code でも、担当に渡す文はこの形で使えます。

まとめ

  • 「Codex は言わないと並列にしない」は条件つきで正しい。Codex のアプリ・CLI・IDE は、直接頼んだときか、AGENTS.md・スキルに委任の指示があるときにサブエージェントを起こす。ChatGPT Work の Ultra は自分の判断でも任せる
  • Claude Code は、依頼の内容と担当の説明文から自分で任せる。確実に動かすなら @ で名指し、増やしたい担当は説明文に「use proactively」
  • 指示には「分け方・触ってよい範囲・全員を待つか・返す形・やってはいけないこと」を書く
  • 設定は、Codex が config.toml の [agents] と .codex/agents/*.toml、Claude Code が .claude/agents/*.md と環境変数
  • 見るコマンドは Codex が /subagents、Claude Code が /tasks。/agents は同じ名前で中身が違う
  • 並列は使用量を増やす。読むだけの作業から始め、同じファイルを複数で書き換えない

2つのツールの全体の違い(料金・上限・動く場所)は「Claude Code vs Codex どっちを選ぶ?」、担当を読み取り専用に近づける設定は「Codex・Claude Code を読み取り専用で使う方法」にあります。

FAQ

Q. Codex のサブエージェントは、同時に何体まで動かせますか?

A. config.toml の agents.max_concurrent_threads_per_session で上限を決めます(メインのスレッドは数えません)。書かなければ Codex が決め、その既定の値は公表されていません。公式の設定例では 6 や 8 を使っています。Claude Code の既定は同時に20で、CLAUDE_CODE_MAX_CONCURRENT_SUBAGENTS で変えられます。どちらも、増やすほど使用量の枠は早く減ります。

Q. サブエージェントにだけ安いモデルを使えますか?

A. 使えます。Codex は [agents] の default_subagent_model か、担当のファイルの model・model_reasoning_effort で指定します。指定が無ければ親のモデルを引き継ぎます。Claude Code は担当の定義の model(haiku など)か、環境変数 CLAUDE_CODE_SUBAGENT_MODEL で指定します。

Q. 「multi_agent = true」は設定に書く必要がありますか?

A. 今の Codex では要りません。設定リファレンスでは features.multi_agent は安定版で、既定でオンです。agents.enabled も既定で true です。変更履歴では、multi-agent V2 は自分で有効にする(opt-in)仕組みとして入り、Codex CLI 0.145.0(2026年7月21日)で安定版になりました。それより前の解説の「有効にする」手順は、今は書かなくても同じ状態です。止めたいときは [agents] に enabled = false と書きます。

Q. Claude Code が勝手に担当を起こすのを止めたいときは?

A. 担当を一切使わせないなら、許可の設定の permissions.deny に Agent を入れます。会話を引き継ぐ担当(fork)だけを止めるなら Agent(fork)、または環境変数 CLAUDE_CODE_FORK_SUBAGENT=0 です。agent teams を有効にしていると、名前を付けた担当がチームの一員として起動することがあるので、使わないなら無効のままにします。