Google Cloud の契約と請求のまま Claude を使う道は、2つあります。1つは、Google が Agent Platform(旧 Vertex AI)の一部として運営するGoogle 運営版です。もう1つはAnthropic 運営版で、Anthropic が運営する Claude の API を Google Cloud のプロジェクトから使います。2026年10月22日に一般提供が始まりました(Anthropic の発表)。どちらも料金は Google Cloud の請求書に載りますが、使える機能・地域・利用上限の管理者・Claude Code の対応が違います。

結論:どちらを選ぶか

Google 運営版

Agent Platform(旧 Vertex AI)の Model Garden から有効にする

  • Claude Code を Google Cloud で使う
  • データを Google だけに扱わせたい、EU の中だけで推論したい
  • 割り当て(quota)を Google Cloud のコンソールで管理したい

Anthropic 運営版

Google Cloud Marketplace から申し込む

  • Files API・Agent Skills・Managed Agents・web fetch・MCP コネクタなどを使う
  • Opus 5.5 の fast mode を使う
  • 新機能を早く使いたい(Claude の API と同じ日の提供が方針)

Claude Code だけが目的なら Google 運営版です。Claude Code のドキュメントには、Anthropic 運営版で Claude Code を使う設定は書かれていません。

この記事では、Anthropic と Google Cloud の公式ドキュメント(2026年10月26日確認)をもとに、2つの版の違い、料金、地域、始め方、Claude Code の設定、割り当てと 429 エラーの対処を説明します。2つの版を扱う章では、Google 運営版→Anthropic 運営版 の順に、同じ色で並べます。

1. 2つの版の違い

名前はどちらも「Claude Models on Google Cloud」で、括弧の中が「Google managed」か「Anthropic managed」かで分かれます。Google は Vertex AI を「Gemini Enterprise Agent Platform」と呼ぶようになり、ドキュメントの題も Agent Platform になりました。一方、Claude Code のログイン画面は今も「Google Vertex AI」と表示します。

項目Google 運営版Anthropic 運営版
運営する会社Google(Agent Platform の一部)Anthropic
データを扱う会社Google CloudAnthropicGoogle の範囲は認証・API の経路・監査ログ・請求で、推論とデータの保管は Anthropic の基盤
API の形Agent Platform の予測エンドポイントモデル名は URL に入れるClaude の API と同じベース URL と認証だけが違う
請求Google Cloud(Agent Platform の利用として)Google Cloud MarketplaceClaude Consumption Units(1 CCU=0.01米ドル)で計量
利用上限の管理Google Cloud(割り当て)Anthropic
IAM ロールroles/aiplatform.user などroles/claude.user・roles/claude.admin・roles/claude.viewer
管理画面Google Cloud コンソール(Model Garden)Claude Console(Google Cloud コンソールから開く)
SDK のクライアントAnthropicVertexAnthropicGoogleCloud(ベータ)
新しいモデル・機能Agent Platform と Model Garden の予定に合わせて提供Claude の API と同じ日に提供する方針

出典:Anthropic「Claude Models on Google Cloud」の比較表、Google Cloud「Use Claude models on Google Cloud (Anthropic managed)」・「Anthropic Claude models」。2026年10月26日確認。

共通する点もあります。どちらも Google Cloud の認証情報(アプリケーションのデフォルト認証情報〔ADC〕を含む)で呼び、料金は Google Cloud の請求書に載ります。Claude 4.6 以降のモデル ID は、どちらも Claude の API と同じです(例:claude-opus-5-5)。それより前のモデルは、Google 運営版だけ日付の前を @ にします(例:claude-haiku-4-5@20251001)。

Anthropic 運営版では、Google Cloud のプロジェクトごとに新しい Anthropic の組織が作られます。すでに Claude の API で使っている組織や Claude Enterprise とは別のもので、既存の組織を移すことはできません。API キー・ワークスペース・Console の設定は引き継がれず、ファイルやバッチなどの資源も元の組織に残ります。

2. 選び方:5つの質問

上から順に当てはまるものを探します。どれにも当てはまらないときは、費用の見積もりやすさで決めます。単価表と割り当ての既定値が公開されている Google 運営版は、使う前に予算と上限を見積もれます。Anthropic 運営版は、単価を Marketplace の掲載ページで、上限を Anthropic の担当者に確かめられるなら、機能の多さと新機能の早さが利点になります。

  • Claude Code を Google Cloud の請求で使いたい→Google 運営版
  • データを Google だけに扱わせたい、または VPC Service Controls・地域でのデータ保管・FedRAMP High などの認証が必要→Google 運営版
  • 推論を EU の中だけで行いたい→Google 運営版(eu マルチリージョン)
  • Files API・Agent Skills・Managed Agents・web fetch・MCP コネクタ・code execution・Message Batches API を使う→Anthropic 運営版
  • Opus 5.5 の fast mode を使う→Anthropic 運営版

2つ目の質問は、Google Cloud のドキュメントが Google 運営版を選ぶ場面として挙げているもの(Use Claude models on Google Cloud (Anthropic managed))。

両方を使い分けることもできます。たとえば開発者の Claude Code は Google 運営版、自社のアプリから呼ぶ Managed Agents は Anthropic 運営版、という分け方です。どちらも同じ Google Cloud の請求書に載りますが、管理画面と利用上限の管理は別々になります。

3. 使える機能の違い

違いが大きいのは、Anthropic が運営するサーバー側の機能です。Google 運営版は Messages API が中心で、ファイルの保管やエージェントの実行環境などは使えません。

機能Google 運営版Anthropic 運営版
Messages API・ストリーミング使える使える
prompt caching使える使える
思考(thinking)・構造化出力使える使える
web search使える使える
computer use(API のツール)使える使えるAnthropic のドキュメントの機能一覧には無く、Google Cloud の比較表と Anthropic の発表に載っている
web fetch・code execution・advisor使えない使える
Files API使えない使える
Agent Skills・MCP コネクタ使えない使える
Claude Managed Agents使えない使えるMCP トンネルは使えない
Message Batches API使えない代わりに Agent Platform のバッチ予測使える
fast mode(Opus 5.5)記載なし使える機能の一覧に無い使える

出典:Anthropic「Claude Models on Google Cloud (Anthropic managed)」の Feature support、「Claude Models on Google Cloud (Google managed)」、「Fast mode」。Google 運営版の fast mode は、Anthropic のドキュメントの使える機能の一覧に無く、使えるとも使えないとも書かれていない(Claude Code の機能表では Agent Platform で使えない)。2026年10月26日確認。

Managed Agents の仕組みは「Claude Managed Agents とは」、fast mode の速さと料金は「Claude Opus 5.5 の発表のまとめ」で説明しています。

4. 料金:Claude の API と同じか

Google 運営版の料金

Google 運営版の global エンドポイントは、Opus 5.5・Sonnet 5.5・Haiku 5.5 の入力・出力・キャッシュの単価が、Anthropic の Claude の API と同じ値です。us・eu のマルチリージョンは、global より10%高くなります(リージョンのエンドポイントも10%高いが、使えるのは Sonnet 4.6 以前のモデル。5章)。

出典:Anthropic「Pricing」、Google Cloud「Agent Platform pricing」の Anthropic's Claude models、Anthropic「Claude Models on Google Cloud (Google managed)」(マルチリージョンとリージョンは global より10%高い。Sonnet 4.5・Haiku 4.5・Opus 4.5 以降のモデルが対象)。2026年10月26日確認。Anthropic 運営版は、トークンあたりの単価が公式ドキュメントに無いので図に入れていません(下の節)。

モデル入力出力キャッシュの読み出しキャッシュの書き込み(5分/1時間)
Opus 5.5$4$20$0.20$5/$8
Sonnet 5.5$2$10$0.10$2.50/$4
Haiku 5.5入力10万トークン以下$0.10$0.50$0.01$0.125/$0.20
Haiku 5.5入力10万トークン超$0.50$2.50$0.05$0.625/$1

100万トークンあたりの米ドル。Anthropic の Claude の API と、Google 運営版の global の単価(両社の料金ページ、2026年10月26日確認)。us・eu マルチリージョンはこの1.1倍。キャッシュの読み出しは、Opus 5.5・Sonnet 5.5 が入力の0.05倍、Haiku 5.5 が0.1倍(Anthropic の料金ページの注)。モデルの一覧と単価の推移は「Claude のモデル別料金比較」にまとめています。

容量を固定料金で予約する Provisioned Throughput は、global とマルチリージョンでは使えず、リージョンのエンドポイントが必要です(Google Cloud のドキュメント)。リージョンで使えるのは Sonnet 4.6 以前のモデルなので、Opus 5.5・Sonnet 5.5・Haiku 5.5 は従量課金で使います。

Anthropic 運営版の料金

Anthropic 運営版は、Anthropic が使った量を Claude Consumption Units(CCU、1 CCU=0.01米ドル)で測って Google Cloud に報告し、Google Cloud の請求書に載ります。Anthropic から別の請求書は来ません。トークンあたりの単価表は、Anthropic と Google Cloud のどちらの公式ドキュメントにも書かれていません(2026年10月26日確認)。単価は申し込みの前に Google Cloud Marketplace の掲載ページで確かめ、使い始めたら少ない量で試して、Claude Console の Usage と Google Cloud の請求のレポートで実際の金額を確かめるのが確実です。

公式に書かれているのは次の3点です。

  • Opus 5.5 の fast mode は、100万トークンあたり入力 $8・出力 $40(Anthropic の Fast mode のページと発表)。
  • 要求に inference_geo: "us" を付けて推論を米国内に限ると、すべての区分の料金が1.1倍になる(Anthropic「Data residency」)。
  • Google Cloud の利用コミットメントがあれば、ほかの Marketplace の購入と同じく消化に数える。割引の契約があるなら、使い始める前に Anthropic か Google Cloud の担当者へ連絡する(割引はさかのぼって適用されない)。

バッチの料金

バッチの仕組みが2つの版で違います。Google 運営版は Agent Platform のバッチ予測(BigQuery か Cloud Storage の JSONL を入力にする)を使い、単価は Google Cloud の料金ページのバッチの列で確かめます。Anthropic 運営版は Claude の API と同じ Message Batches API を使えますが、バッチの単価も公式ドキュメントには書かれていません。Claude の API(直接)のバッチの割引は「モデル別料金比較」で説明しています。

5. 地域とデータの保管

Google Cloud の Claude は、呼ぶときの location(地域)で、推論をどこで行うかが決まります。Google 運営版は3種類から選べ、Anthropic 運営版は global だけです。

global

Google 運営版 Anthropic 運営版

空いている地域で推論する。単価は Claude の API と同じ。Anthropic 運営版は要求ごとに inference_geo: "us" で米国内に限れる(1.1倍)。

us・eu マルチリージョン

Google 運営版

米国内か EU の中だけで推論する。Claude 4.7 以降のモデルで使える。単価は1.1倍。

リージョン

Google 運営版

指定した1つの地域だけで推論する。使えるのは Sonnet 4.6 以前のモデルで、新しいモデルは global かマルチリージョン。

出典:Anthropic「Claude Models on Google Cloud (Google managed)」「(Anthropic managed)」、Google Cloud「Agent Platform partner models」。2026年10月26日確認。

データの保管の場所も違います。Google 運営版は、選んだリージョンかマルチリージョンにデータを保管します。ただし Google Cloud のパートナーモデルのページは、処理の地域は保管の地域と違うことがある、とも書いています。一方、Anthropic のドキュメントは、マルチリージョンの推論は us・eu の中に限られると書いており、2つの関係は説明されていません。処理の場所に厳しい要件があるなら、契約の前に Google Cloud に確かめます。組織のポリシー constraints/gcp.restrictEndpointUsage で global エンドポイントの利用を禁止し、マルチリージョンだけを使わせることもできます。

Anthropic 運営版は、ワークスペースの保管の地域が "us" で、変えられません(Anthropic「Data residency」)。

東京(asia-northeast1)など日本のリージョンは、2026年10月26日の時点で、どちらの版の公式ドキュメントにも Claude の提供先として出てきません。国内での処理や保管が条件なら、契約の前に Google Cloud か Anthropic の担当者に確かめます。

6. 始め方

どちらも、Google Cloud のプロジェクトと、請求を有効にした請求先アカウントが前提です。ここでは、それぞれの版で使えるようにするまでの手順を公式ドキュメントから並べ、最後の認証と呼び出しは共通の手順としてまとめます。

Google 運営版の始め方

  1. Agent Platform の API を有効にする
    gcloud config set project YOUR-PROJECT-ID
    gcloud services enable aiplatform.googleapis.com
    プロジェクトごとに1回行います。
  2. Model Garden で使う Claude のモデルを有効にする有効にする人には Consumer Procurement Entitlement Manager(roles/consumerprocurement.entitlementManager)のロールが要ります。組織のポリシーで cloudcommerceconsumerprocurement.googleapis.com が許可されている必要もあります。Claude Code のドキュメントは、アクセスの承認に24〜48時間かかることがあると書いています(Google Cloud のドキュメントには所要時間の記載はありません)。
  3. 呼ぶ人にロールを付けるaiplatform.endpoints.predict の権限を含むロール(roles/aiplatform.user)を付けます。

出典:Anthropic「Claude Models on Google Cloud (Google managed)」、Google Cloud「Agent Platform partner models」。2026年10月26日確認。

始めるときにつまずきやすい点(Google 運営版)
  • Model Garden でモデルを有効にできない:有効にする人に Consumer Procurement Entitlement Manager のロールがあるか、組織のポリシーで cloudcommerceconsumerprocurement.googleapis.com が許可されているかを確かめる。
  • 呼ぶと 404(model not found):そのモデルを有効にしたか、選んだ地域にそのモデルがあるか(新しいモデルは global かマルチリージョンだけ)を確かめる。
  • 呼ぶと 403:呼ぶ人に roles/aiplatform.user があるかを確かめる。

Anthropic 運営版の始め方

  1. Marketplace で申し込むGoogle Cloud Marketplace で「Claude Models on Google Cloud (Anthropic managed)」を開き、Subscribe を押します。請求先アカウントで Marketplace の購入権限が要ります。
  2. 2つのサービスを有効にする
    gcloud services enable claude.googleapis.com \
      anthropic-managed-claude.cloudpartnerservices.goog \
      --project=YOUR-PROJECT-ID
    プロジェクトごとに1回行います。
  3. 組織を有効にするClaude のページで Activate を押し、連絡用のメールに届くリンクから組織名・事業の形態・国・用途を入れ、Anthropic の Commercial Terms of Service と Usage Policy に同意します。この操作には roles/claude.admin が要ります。
  4. ワークスペース ID を控えるClaude Console(Google Cloud コンソールから開く)の Settings > Workspaces で、wrkspc_ で始まる ID を控えます。呼ぶときに必要です。
  5. 呼ぶ人にロールを付けるroles/claude.user を付けます。ロールはプロジェクト単位なので、チームごとに分けたいならプロジェクトを分けます(プロジェクトごとに別の Anthropic の組織になります)。

出典:Anthropic「Claude Models on Google Cloud (Anthropic managed)」の Set up your account(2026年10月26日確認)。メールアドレスで Anthropic の組織にサインインすることはできず、Console は Google Cloud コンソールから開きます。

共通:認証して呼ぶ

どちらの版も、呼ぶ端末で gcloud auth application-default login を実行して ADC を作れば、SDK がその認証情報を使います(サーバーではサービスアカウントの認証情報を使います)。あとは7章の SDK のクライアントで呼びます。

始めるときにつまずきやすい点(Anthropic 運営版)
  • サービスが見つからない:Marketplace で申し込んだのと同じアカウントで gcloud を実行する。
  • 最初の呼び出しで権限のエラー:claude.googleapis.com が有効か、呼ぶ人に roles/claude.user があるかを確かめる。
  • ボタンが「Finish Setup」のまま:管理者が組織の情報の入力を終えていない。
  • Console の Usage に出ない:反映に数分かかる。

7. SDK での呼び方

Anthropic の公式 SDK は両方の版に対応しています。入れるパッケージとクライアントの名前が違うだけで、messages.create の書き方は Claude の API と同じです。

Google 運営版(Python)

# pip install -U "anthropic[vertex]"
from anthropic import AnthropicVertex

client = AnthropicVertex(project_id="YOUR-PROJECT-ID", region="global")  # "us"・"eu" も可
message = client.messages.create(
    model="claude-opus-5-5",
    max_tokens=1024,
    messages=[{"role": "user", "content": "Hello, Claude"}],
)

TypeScript は @anthropic-ai/vertex-sdk の AnthropicVertex を使います。SDK を使わずに HTTP で呼ぶなら、URL は https://aiplatform.googleapis.com/v1/projects/YOUR-PROJECT-ID/locations/global/publishers/anthropic/models/claude-opus-5-5:rawPredict の形で、モデル名を本文に入れず、本文に "anthropic_version"(vertex-2023-10-16 か 2026-10-21)を入れます。ストリーミングは :streamRawPredict です。新しい API バージョン 2026-10-21 で変わる点は「temperature is deprecated for this model の原因と直し方」で説明しています。

Anthropic 運営版(Python)

# pip install -U "anthropic[google_cloud]"
# 環境変数:ANTHROPIC_GOOGLE_CLOUD_PROJECT と
#           ANTHROPIC_GOOGLE_CLOUD_WORKSPACE_ID(必須)
from anthropic import AnthropicGoogleCloud

client = AnthropicGoogleCloud()
message = client.messages.create(
    model="claude-opus-5-5",
    max_tokens=1024,
    messages=[{"role": "user", "content": "Hello, Claude"}],
)

TypeScript は @anthropic-ai/google-cloud-sdk の AnthropicGoogleCloud です(どちらもベータ)。HTTP で見ると、本文と応答の形は Claude の API と同じで、違うのは次の点です。

  • ベース URL:ワークスペース ID を含む https://claude.googleapis.com/v1/projects/{プロジェクト}/locations/global/workspaces/{ワークスペース}/invoke(anthropic-workspace-id のヘッダーは送らない)。
  • 認証:Authorization: Bearer で Google のアクセストークンを送る(x-api-key は送らない)。
  • API キー:作れない。環境変数の ANTHROPIC_API_KEY・ANTHROPIC_BASE_URL は無視される。

出典:Anthropic「Claude Models on Google Cloud (Anthropic managed)」「(Google managed)」。2026年10月26日確認。

8. Claude Code を Google Cloud で使う

Claude Code が Google Cloud で対応しているのは Google 運営版です。Claude Code の機能表は、Agent Platform を「Google が運営し、CLAUDE_CODE_USE_VERTEX を設定するもの」と定義しています。Anthropic 運営版で Claude Code を使う方法は、Claude Code のドキュメントに書かれていません(2026年10月26日確認)。

設定の方法は2つ

  1. ウィザードで設定するclaude を起動し、ログインの画面で「3rd-party platform」→「Google Vertex AI」を選びます(ログイン済みなら /login)。認証の方法・プロジェクト・地域を聞かれ、使えるモデルを確かめて固定できます。結果はユーザー設定(~/.claude/settings.json)の env に保存され、あとから /setup-vertex で開き直せます。
  2. 環境変数で設定するCI やチームへの一括の配布に向く方法です。Model Garden でモデルを有効にしたうえで、次を設定します。
    export CLAUDE_CODE_USE_VERTEX=1
    export CLOUD_ML_REGION=global
    export ANTHROPIC_VERTEX_PROJECT_ID=YOUR-PROJECT-ID
    
    # モデルを固定する
    # 主モデル:費用を抑えるなら Sonnet。Opus にするなら claude-opus-5-5
    export ANTHROPIC_MODEL=claude-sonnet-5-5
    export ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL=claude-opus-5-5
    export ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL=claude-sonnet-5-5
    export ANTHROPIC_DEFAULT_HAIKU_MODEL=claude-haiku-5-5
    モデルを固定する理由は、下の注意で説明します。

どちらの方法でも、設定のあとに /status を実行し、「API provider」が Google Vertex AI になり、GCP のプロジェクト・地域・モデルの行が出れば設定できています。

出典:Claude Code「Claude Code on Google Cloud's Agent Platform」「Environment variables」。2026年10月26日確認。

モデルを固定しないときの2つの注意

  • 料金:Agent Platform では、固定しないときの主モデルは Opus 5.5 です。Claude Code のドキュメントは「固定しないと Opus の料金で課金される」と警告しています。
  • 別名のずれ:別名の sonnet は Sonnet 4.5、haiku は Haiku 4.5 を指し、Claude の API で使うときの別名とは違います。新しいモデルが出たときに利用者ごとに使うモデルがずれないよう、複数人に配るなら上の4つの変数で固定します。

別名の仕組みは「Claude Code の opusplan」でも触れています。

CLOUD_ML_REGION の地域で使えないモデルがあるときは、そのモデルだけ VERTEX_REGION_CLAUDE_HAIKU_4_5=us-east5 のように地域を上書きできます(例は、Haiku 4.5 だけを us-east5 のリージョンで呼ぶ設定)。CLOUD_ML_REGION には global、us・eu、us-east5 のような地域名を入れます。Claude Agent SDK も同じ環境変数で Google 運営版を使います(「Claude Agent SDK の使い方」)。

認証の自動更新・キャッシュ・1M コンテキストの設定
  • ADC の期限が切れたときに自動で取り直すには、設定に "gcpAuthRefresh": "gcloud auth application-default login" を書く(認証のコマンドが3分以内に終わらないと失敗扱いになる)。
  • prompt caching は自動で効く。止めるなら DISABLE_PROMPT_CACHING=1、1時間のキャッシュにするなら ENABLE_PROMPT_CACHING_1H=1(書き込みの単価が上がる)。
  • Sonnet 5 以降・Opus 4.7 以降のモデルなどは既定で 1M トークンのコンテキスト。200K にするなら CLAUDE_CODE_DISABLE_1M_CONTEXT=1。
  • 費用を分けて把握するため、Claude Code 専用のプロジェクトを作ることを Claude Code のドキュメントは勧めている。

Agent Platform での Claude Code の機能の対応

分類機能
使えないClaude のサブスクリプションが要る機能(クラウドセッション・Slack・/schedule・Ultrareview・Code Review・Remote Control・Chrome 拡張・computer use・Artifacts・音声入力)、fast mode、Advisor、Channels、分析のダッシュボード、サーバーで管理する設定、/logout
一部だけweb search(Opus 4・Sonnet 4・Haiku 4.5 以降)、auto mode(Sonnet 5 以降・Opus 4.7 以降・Haiku 5.5・Claude Fable)、ゼロデータ保持(Google Cloud との契約しだい)
使えるGitHub Actions・GitLab CI/CD、MCP のツール検索(Opus 4.5・Sonnet 4.5・Haiku 4.5 以降)

表の computer use は Claude Code の機能(サブスクリプションが要る)のことで、3章の API の computer use ツールとは別物です。出典:Claude Code「Feature availability」(/logout と MCP のツール検索は「Claude Code on Google Cloud's Agent Platform」)。2026年10月26日確認。claude.ai のコネクタも読み込まれません(「Claude Code で claude.ai のコネクタが無効になる」)。

Claude Code でよく出るエラーと直し方(Google 運営版)
  • Could not load the default credentials:gcloud auth application-default login を実行するか、GOOGLE_APPLICATION_CREDENTIALS に鍵ファイルのパスを入れる。
  • model not found(404):Model Garden でそのモデルを有効にしたか、選んだ地域にそのモデルがあるか(新しいモデルは global かマルチリージョンだけ)を確かめる。
  • 429:リージョンを指定しているなら、主モデルと小さいモデルがその地域で使えるかを確かめ、CLOUD_ML_REGION=global を検討する。

9. 割り当て(quota)と 429 エラー

Google 運営版:割り当ては系統ごと

2026年5月26日より後に出たモデル(Opus 5.5・Sonnet 5.5・Haiku 5.5 など)は、系統で共有する割り当てを使います(それより前のモデルの割り当ては、同じ Google Cloud のページでモデルごとに確かめます)。たとえば Opus のどのバージョンを呼んでも、global なら同じ anthropic-claude-opus の枠を使い、新しいバージョンが出ても割り当ての申請をやり直す必要はありません。global と各マルチリージョンは別の枠です。

モデルglobal(1分あたり)us・eu マルチリージョン(それぞれ・1分あたり)
Opus 5.5リクエスト 2,000/入力 2,000万トークン/出力 200万トークンリクエスト 1,000/入力 1,000万トークン/出力 100万トークン
Sonnet 5.5リクエスト 2,500/入力 2,500万トークン/出力 250万トークンリクエスト 1,250/入力 1,250万トークン/出力 125万トークン
Haiku 5.5リクエスト 3,000/入力 3,000万トークン/出力 300万トークンリクエスト 1,500/入力 1,500万トークン/出力 150万トークン

出典:Google Cloud「Quotas for Anthropic Claude models」の既定の割り当て(2026年10月26日確認)。入力はキャッシュに無い分とキャッシュの書き込みの合計。上限はアカウントによって変わり、制限されることもあると Google は書いている。

割り当ては、Google Cloud コンソールの「割り当てとシステム上限(Quotas & System Limits)」のページで確かめ、引き上げを申請します。base_model(例:anthropic-claude-opus)で絞り込むと見つけやすくなります。このページのトークン数は見積もりと返金の仕組みのため正確でないことがあり、正確な数は token counting API か Metrics Explorer の token_count で見ます。

割り当てを超えると、429 エラーと次のメッセージが返ります。

Resource exhausted, please try again later.

従量課金のときのメッセージ(Google Cloud「Error code 429」)。Provisioned Throughput を使っているときは「Too many requests. Exceeded the Provisioned Throughput.」になります。

  1. 推論の地域に要件が無ければ global を使うマルチリージョンより枠が大きく、空いている地域で処理されます。Claude Code なら CLOUD_ML_REGION=global。EU の中だけで推論するなどの要件があるなら、この手は使わず、3の引き上げを先に申請します。
  2. 待って再試行する上限を切った指数バックオフで再試行し、急に量を増やさないようにします。
  3. 割り当ての引き上げを申請する上の「割り当てとシステム上限」のページから申請します。

出典:Google Cloud「Error code 429」、Claude Code「Claude Code on Google Cloud's Agent Platform」のトラブルシューティング。

Anthropic 運営版:上限は Anthropic が管理

利用上限は Anthropic が管理し、既定の数値は公式ドキュメントに書かれていません。引き上げは Anthropic の担当者か営業に相談します。Anthropic のドキュメントは、本番の通信を移す前に上限を確かめるよう勧めています。エラーは Claude の API と同じ形で、上限を超えると 429 の rate_limit_error、混雑すると 529 の overloaded_error が返ります。IAM の権限が足りないときは Google Cloud が 403 を返します。

  1. 待って再試行する指数バックオフで再試行し、急に量を増やさないようにします(Google 運営版と同じ)。
  2. 本番の前に上限を確かめる移す前に、必要な量を Anthropic の担当者に伝えて上限を確かめます。
  3. 上限の引き上げを相談するAnthropic の担当者か営業に相談します。Google Cloud の割り当てのページでは引き上げられません。

出典:Anthropic「Claude Models on Google Cloud (Anthropic managed)」の Rate limits、「Errors」。2026年10月26日確認。

まとめ

  • Google Cloud の Claude は、Google 運営版(Agent Platform・旧 Vertex AI)と Anthropic 運営版の2つ。どちらも Google Cloud の請求書に載る。
  • Claude Code を使うなら Google 運営版。CLAUDE_CODE_USE_VERTEX=1 などを設定し、複数人に配るならモデルを4つの変数で固定する。
  • Files API・Agent Skills・Managed Agents・web fetch・MCP コネクタなどや、Opus 5.5 の fast mode を使うなら Anthropic 運営版。
  • Google 運営版の global は、Opus 5.5・Sonnet 5.5・Haiku 5.5 で Claude の API と同じ単価。us・eu マルチリージョンは1.1倍。Anthropic 運営版は CCU で計量し、トークンあたりの単価表は公式ドキュメントに無い。
  • Google 運営版の割り当ては系統ごとの共有枠で、超えると 429「Resource exhausted, please try again later.」。global の利用・再試行・引き上げの申請で対処する。Anthropic 運営版の上限は Anthropic が管理する。
  • Anthropic 運営版はプロジェクトごとに新しい Anthropic の組織になり、既存の組織は移せない。
  • 東京など日本のリージョンは、どちらの版の公式ドキュメントにも提供先として出てこない。

FAQ

Q. Vertex AI の Claude は、Claude の API より高いですか?

Google 運営版の global エンドポイントなら、Opus 5.5・Sonnet 5.5・Haiku 5.5 の入力・出力・キャッシュは同じ単価です。us・eu のマルチリージョンは10%高くなります(Anthropic と Google Cloud の料金ページ、2026年10月26日確認)。Anthropic 運営版は、トークンあたりの単価が公式ドキュメントに無いので、Google Cloud Marketplace の掲載ページで確かめます。

Q. Claude の API キーは使えますか?

どちらの版も、Claude Console で作る API キーではなく、Google Cloud の認証(ADC やサービスアカウント)で呼びます。Anthropic 運営版は API キーを作れず、ANTHROPIC_API_KEY を設定しても無視されます。

Q. Claude Code を Anthropic 運営版で使えますか?

Claude Code のドキュメントには、Anthropic 運営版で使う設定は書かれていません(2026年10月26日確認)。Claude Code の Google Cloud 向けの設定(CLAUDE_CODE_USE_VERTEX)は Google 運営版のものです。

Q. 今の Anthropic の組織を Google Cloud の請求に切り替えられますか?

できません。Anthropic 運営版はプロジェクトごとに新しい組織を作り、既存の組織は変換できません。API キー・ワークスペース・Console の設定は引き継がれないので、新しい組織で作り直します。