2026年5月12日、OpenAI の API から DALL·E 2 / DALL·E 3 が提供終了になった(OpenAI の Deprecations ページ)。後継の GPT Image 2(4月21日公開)も、9月8日には ChatGPT Images 2.5 に更新されている。Google は Gemini API の Imagen 4 を8月17日で終え、画像生成の主役を Nano Banana 2(Gemini 3.1 Flash Image)に移した。Midjourney は7月24日に V8.2 を既定モデルにし、Black Forest Labs は FLUX.2、Ideogram は重みまで公開した 4.0、Recraft は V4.1 を出している。

つまり 2026年9月時点、画像生成AIは1モデルが他を圧倒する時代ではなくなった。Midjourney 一強だった2024年とも、SDXL がフリー王者だった2023年とも違う。「何を作るか」で選ぶ時代に完全に移行している。

私の率直な評価を先に書く: もし1本だけ契約するなら Midjourney V8.2($10/月)。アートとブランドビジュアル、両方の総合力で抜けている。商用案件で文字を入れるなら Ideogram 4.0 か ChatGPT の画像生成(GPT Image 2.5)、写真を作るなら Nano Banana 2 か FLUX.2、商用安全性が最優先なら Adobe Firefly。本記事では2026年9月時点の主要8ツールを並べ、強み・料金・用途別の使い分けを各社の公式価格で整理する(価格は2026年9月22日に確認)。

IMAGE AI · 2026年9月時点

8ツール、5つの強み軸——もう「最強1本」は存在しない

— 写実 / テキスト / アート / 商用安全 / コスパ、それぞれの王が分かれた

写実 PHOTO
Nano Banana 2
FLUX.2
テキスト TEXT
Ideogram 4.0
GPT Image 2.5
アート ART
Midjourney V8.2
商用安全 SAFE
Adobe Firefly
学習元を公表
デザイン DESIGN
Recraft V4.1
ベクター対応

2024年: Midjourney 一強 → 2026年: 用途別5系統に分裂。
1本を選ぶより、用途で2〜3本を組み合わせるのが正解になった。

1. 2026年5月、DALL·E が引退した——画像生成AIの世代交代

2026年5月12日、OpenAI は DALL·E 2 と DALL·E 3 を API から提供終了にした(2025年11月14日に開発者へ予告済み)。移行先として示されたのは gpt-image-2 などの GPT Image 系で、GPT Image 2 は4月21日に公開、ChatGPT では「ChatGPT Images 2.0」として提供された。さらに9月8日には ChatGPT Images 2.5 が出て、API にも GPT-Image-2.5 Flare / Sunburst の2モデルが加わった(OpenAI の発表)。2022年の DALL·E 2 から数えて約4年、「画像生成AI」という言葉を世に広めた立役者の世代交代だ。

Google 側でも交代が起きた。Gemini API の Imagen 4(Fast / 標準 / Ultra)は2026年8月17日に提供を終え、移行先に Gemini 3.1 Flash Image、通称 Nano Banana 2 が指定された(Gemini API の Deprecations ページ)。Nano Banana 2 と上位の Nano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image)は5月28日に一般提供(GA)になっている。Midjourney は3月17日の V8 alpha から V8.1 を経て、7月24日に V8.2 を既定モデルにした。

ほかの陣営も動いた。Black Forest Labs は2025年11月に FLUX.2 を出し、API は FLUX.2 [pro] が1枚 $0.03 から。Ideogram は6月3日に 4.0 を公開し、モデルの重みまでダウンロードできるようにした。Recraft は5月14日に V4.1、Adobe は Firefly Image Model 5 を3月までに一般提供にしている。

つまり「Midjourney と DALL·E と Stable Diffusion」と並べていた2024年的な3択は、もう成り立たない。2026年は、用途で5つの陣営に分かれたのだ。

2. 主要8ツールの全体像——一覧表

まず全体像を表で見る。2026年9月時点の主要8ツールを、最新版・料金・強さの軸で並べた。

ツール最新版(2026年9月時点)料金(最安)強さの中心
MidjourneyV8.2(2026年7月から既定)$10/月(Basic・Fast 200分)アート・スタイライゼーション
OpenAI(ChatGPT / GPT Image)GPT Image 2.5(2026年9月)ChatGPT は無料版でも利用可(回数に上限)/API はトークン課金指示どおりの編集・レイアウト・文字
FLUX.2(Black Forest Labs)FLUX.2(2025年11月〜)$0.03/枚〜([pro]・API)写実コスパ・オープン版あり
Google Nano Banana 2Gemini 3.1 Flash Image(2026年5月GA)$0.067/枚(1K・Gemini API)写実・対話での編集
RecraftV4.1(2026年5月)$0.035/枚(ラスター・API)ベクター・デザインシステム
Ideogram4.0(2026年6月・重み公開)$15/月(Plus・年払い)画像内テキスト描画
Adobe FireflyFirefly Image Model 5$9.99/月(Standard)商用安全・Adobe統合
Stable Diffusion3.5(2024年10月から据え置き)無料(自前GPU・年商100万ドル未満)オープン・カスタマイズ

※ 版と料金は2026年9月22日に各社の公式ページで確認: Midjourney/OpenAI API・ChatGPT/Black Forest Labs/Gemini API/Recraft/Ideogram/Adobe Firefly/Stability AI

表だけでは決められない。「自分が何を作りたいか」を言葉にしないと、どれが正解か見えない。次章で強さの軸ごとに整理する。

3. 強さで分類——どこを取りに行くか

前章の表を 「何が得意か」で5つの陣営に並べ直す。これが2026年の実戦地図だ。

5陣営 × 8ツール

強さで選ぶマトリックス

① 写実性 PHOTOREALISM
Nano Banana 2 / FLUX.2
商品写真、人物、風景、料理。Nano Banana 2 は Gemini アプリの無料版でも使え、会話で直しながら詰められる。FLUX.2 は [dev] の重みが公開されていて手元でも動かせる。
② 画像内テキスト TYPOGRAPHY
Ideogram 4.0 / GPT Image 2.5
ロゴ、ポスター、SNSサムネ、インフォグラフィック。Ideogram 4.0 は多言語の文字描画と配置の指定を、GPT Image 2.5 は複雑なレイアウトと精密な部分編集を掲げる。
③ アート性 STYLIZATION
Midjourney V8.2 / Stable Diffusion
イラスト、コンセプトアート、雰囲気重視。Midjourney は表現の幅と一貫性、SD はファインチューニングで自由度。
④ 商用安全 COMMERCIAL-SAFE
Adobe Firefly Image Model 5
Adobe は Firefly のモデルを Adobe Stock などのライセンス済みコンテンツとパブリックドメインで学習したと公表。広告・出版・企業案件で選ばれやすい。
⑤ ベクター・デザインシステム
Recraft V4.1
SVG出力、ブランドスタイル一貫性、アイコン量産。ベクター生成は API で1枚 $0.08(V4.1 Vector)。

1ツールで全部やろうとしない。用途で2〜3本契約するのが2026年の正解。
月額にすると合計 $20〜40/月、案件1本で十分回収できる金額帯。

もう少し詳しく: 写実の Nano Banana 2 と FLUX.2

Google Nano Banana 2(Gemini 3.1 Flash Image)は、Gemini API で 1K 画像1枚 $0.067、2K で $0.101、4K で $0.151(Gemini API の料金ページ)。上位の Nano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image)は 1K/2K で $0.134。Gemini アプリでは無料版でも Nano Banana 2 で画像を作れる(Nano Banana Pro での作り直しは Google AI Plus 以上)。第三者の Artificial Analysis が人の比較投票で集計する Text to Image Arena でも、Google 勢の最上位は Nano Banana 2 だ(全体の首位は OpenAI の GPT Image 2.5 系、2026年9月22日閲覧)。なお Midjourney は公開APIが無く、V8 系はこの集計に入っていない。

対して FLUX.2(Black Forest Labs)は API が FLUX.2 [pro] で 1枚 $0.03 から、最上位の [max] で $0.07 から、軽量の [klein] なら $0.014 から(BFL の料金ページ)。月額契約は不要、API 従量課金のみのため「月100枚以下なら FLUX.2 が圧倒的に安い」というケースも多い。さらに FLUX.2 [dev] は重みが公開されていて、自前の GPU でも動かせる。BFL は7月23日に動画を中心にした FLUX 3 も発表したが、その画像生成は公開 API の価格表にまだ載っていない(2026年9月22日確認)。

テキスト描画は Ideogram と GPT Image の2強

2024年まで「画像内に文字を入れる」は AI画像生成の最大の弱点だった。いまでも Midjourney の公式ドキュメントは、文字は「標準的なラテン文字で、短い語句ほどうまくいく」と書いている。

ここを押し広げたのが Ideogram だ。6月3日の 4.0 では多言語の文字描画、ロゴや見出しの位置を枠で指定するレイアウト制御、2K 出力を掲げ、重みも公開した(Ideogram の発表)。OpenAI も9月の GPT Image 2.5 で、透明背景を含む複雑なレイアウトと、指定した箇所だけを直す精密な編集を前面に出している。SNSサムネ・広告バナー・インフォグラフィックはこの2強の独壇場になっている。

4. 料金体系の整理——月額 vs 従量課金

強さの次に大事なのが料金構造。月額固定型と1枚いくらの従量型に大きく分かれる。使い方次第で月のコストが10倍違うケースもある。

課金タイプ代表ツール向いている人
月額固定(無制限系)Midjourney Standard $30(Relax で画像無制限)、Adobe Firefly Standard $9.99(標準画像の生成は無制限)毎日生成する人、量を気にせず試行錯誤したい人
月額固定(クレジット制)Midjourney Basic $10(Fast 200分)、Ideogram Plus $20(年払いなら $15・月1,000クレジット)月100〜200枚程度のライトユーザー
従量課金(API)FLUX.2 [pro] $0.03〜、Nano Banana 2 $0.067(1K)、Recraft V4.1 $0.035、Ideogram 4.0 $0.03〜0.10、GPT Image 2.5 はトークン課金アプリ組み込み、不定期だが大量生成
無料(自前GPU・無料版)Stable Diffusion 3.5、ChatGPT と Gemini アプリの無料版(回数に上限)ローカル動かす技術がある、機密データを外に出せない、まず試したい

具体的に試算する。月100枚生成する個人ユーザーのケース:

  • Midjourney Basic: $10/月(Fast 200分=SD で約250回・候補1,000枚、おつりが来る)
  • FLUX.2 [pro]: $0.03 × 100 = $3/月〜
  • Nano Banana 2(1K): $0.067 × 100 = $6.70/月
  • Adobe Firefly Standard: $9.99/月(2,000クレジット+標準画像の生成は無制限)

月100枚なら API 従量の方が安い。逆に Midjourney Basic の $10 は、FLUX.2 [pro](最安 $0.03)なら約333枚分、Nano Banana 2(1K・$0.067)なら約149枚分にあたる。Midjourney は1回で4枚の候補が出るので、たくさん作って選ぶ使い方なら月額の方が安くなる。「無制限プランは月何枚以上で得か」を電卓叩いて決めるのが2026年のリテラシーだ。

補足: ChatGPT は無料版でも画像を作れる(回数と速度に上限、ChatGPT の料金ページ)。有料プランにすると上限が広がる。すでに ChatGPT に課金しているなら、追加コストゼロで GPT Image 2.5 系を使える。Gemini アプリも無料版で Nano Banana 2 を使える。これは隠れたコスパ最強かもしれない。

5. 用途別おすすめ——「これを選べ」決断ガイド

強さも料金もわかった。では「自分の用途ならどれ?」。よくある6パターンで即答する。

用途 × 推奨ツール × 6

「これを選べ」決断ガイド

① ブログ・SNS 用イラスト
→ Midjourney V8.2 Basic ($10/月)
Fast 200分(SD で約250回)で十分。アート性とブランド統一感が出しやすい。サムネ用テキストを入れたい場合は ChatGPT の画像生成を併用。
② ロゴ・ポスター・バナー
→ Ideogram 4.0 ($15/月・年払い) または GPT Image 2.5
文字の正確さが決定打。日本語などの非ラテン文字は、両方で自分の文言を数パターン試してから決める。
③ ECショップ商品写真
→ Nano Banana 2 または FLUX.2
写実性重視。商品の質感まで再現。月数百枚なら FLUX.2 [pro]($0.03〜)が安い。会話で直しながら詰めたいなら Nano Banana 2。
④ 広告・出版・企業案件
→ Adobe Firefly Image Model 5 ($9.99/月〜)
学習データは「Adobe Stock などのライセンス済みコンテンツとパブリックドメイン」と Adobe が公表。Photoshop/Illustrator 連携も大きい。ただし Firefly 内で選べる他社モデル(Nano Banana など)はこの説明の対象外。
⑤ アイコン・SVG・量産デザイン
→ Recraft V4.1 ($0.035〜0.08/枚)
ベクター出力できる数少ないAIモデル。アプリのアイコンセット、ブランドガイドライン準拠の素材を量産する用途で代替が効きにくい。
⑥ 機密データ・社内案件
→ Stable Diffusion 3.5(自前GPU)
外部 API に画像を出せない場合の定番。年商100万ドル未満なら商用でも無料(Stability AI Community License)。RTX 4090 級の GPU があれば手元で回せる。LoRA でブランド学習も可能。

個人的なベストプラクティス: Midjourney Basic($10)+ ChatGPT の画像生成の2本立て。ChatGPT は無料版から始め、回数が足りなくなったら有料プランに上げればよい。
これで日常の8割のニーズはカバーできる。商用案件で文字や写真が必要なときだけ単発で API を叩く。

6. 共通の落とし穴——商用利用・著作権・テキスト描画

強さや料金で選んだ後、運用してから「あれ?」となりがちな3つの落とし穴を共有しておく。

落とし穴①: 商用利用の条件はツールごとに違う

「AI画像 = 自由に商用OK」は誤解だ。条件はツールとプランで分かれている。Midjourney は全有料プランで商用利用できるが、年商100万ドル超の企業は Pro か Mega が必須で、生成物は既定で公開される(非公開の Stealth は Pro 以上)。Adobe Firefly は「ベータ表記の無い機能なら商用利用可」とFAQに明記している。Stable Diffusion 3.5 は年商100万ドル超の組織が商用利用するなら Enterprise ライセンスが必要。Recraft は料金ページで、無料プランの画像は Recraft が所有して公開され、所有権と商用利用権は有料プランで得られると説明している。契約前に「商用利用条項」を必ず読むのが鉄則だ。

落とし穴②: 著作権リスクの濃淡

Midjourney は 2025年6月に Disney と Universal などから著作権侵害で提訴され、2026年9月時点で係争中だ(米カリフォルニア州中部地区連邦地裁、訴訟記録)。判決はまだ出ていない。企業案件で使うなら、学習データの出所を「ライセンス済みコンテンツとパブリックドメイン」と公表している Adobe Firefly が選ばれやすい、という事実は知っておくべき。広告代理店や出版社が Firefly を選ぶ理由はここにある。

落とし穴③: テキスト描画は「英数字」と「日本語」で差が出る

各社の文字描画の改善は 英数字が先行 しており、日本語・中国語・アラビア語など複雑な文字では差が出やすい。Midjourney は公式に「ラテン文字向き」と書き、Ideogram 4.0 は多言語対応を掲げ、OpenAI は GPT Image 2.5 でレイアウトの精度を掲げる。日本語入りの素材は、候補のツールで実際の文言を数パターン試してから決めるのが確実だ。多言語ロゴ・ポスター制作はここで選択肢が絞られる。

まとめ

本記事のポイントを整理する。

  • 2026年5月、DALL·E が API から引退し、OpenAI の画像生成は GPT Image 系へ(9月に Images 2.5)。Google も Imagen 4 を終えて Nano Banana 2 に移り、Midjourney は V8.2 が既定に
  • 主要8ツールは 5つの強さの陣営に分裂——写実 / テキスト / アート / 商用安全 / デザインシステム
  • 料金は 月額固定 vs 従量課金で、月数百枚を境に有利不利が入れ替わる
  • 個人なら Midjourney Basic($10)+ ChatGPT の画像生成(無料版から)の2本立てで日常の8割をカバー
  • 商用案件では Adobe Fireflyが「ライセンス済みデータで学習」と公表している安心感で強い

2026年の画像生成AIは、「どれが最強か」ではなく「自分の用途に何がフィットするか」を問う時代になった。1本で全部やろうとせず、用途で2〜3本を組み合わせる——これが、5陣営に分かれた今のベストアンサーだ。

FAQ

Q1. まず何から試せばいい?

既に ChatGPT を使っているなら、無料版でもそのまま画像を作れる(GPT Image 2.5 系・回数に上限)。していないなら Midjourney Basic($10/月)から。両方とも初月で「画像生成AIの感覚」が掴める。

Q2. 完全無料で使える選択肢はある?

Stable Diffusion 3.5 をローカルで動かせば無料(年商100万ドル未満なら商用も可)。ただし RTX 3060 以上の GPU と Python 環境が必要。手軽さなら ChatGPT と Gemini アプリの無料版でも画像を作れる(回数に上限)。クラウド経由なら 無料AIツールガイドを参照。

Q3. 商用利用で安全なのは?

Adobe Firefly が現状もっとも安全。学習データは「Adobe Stock などのライセンス済みコンテンツとパブリックドメイン」と公表している。広告・出版・企業案件で AI画像を使うならまず Firefly を検討。Midjourney は商用OKだが Disney・Universal などとの著作権訴訟が係争中で、企業判断次第。

Q4. プロンプトのコツは?

ツール別に流派がある。Midjourney は 「主題, スタイル, 雰囲気, 構図」をカンマで並べるのが定番。GPT Image / Nano Banana は自然文で長く具体的に書く方がよく効き、出てきた画像に「ここだけ直して」と会話で指示できる。Stable Diffusion は negative prompt(除外したい要素)の使い分けが鍵。プロンプトのコツ全般も参考に。

Q5. 動画生成AIとの違いは?

本記事で扱ったのは静止画が中心のツール。動画生成は Google Veo 3.1 / Kling 3.0 / Runway Gen-4.5 / Midjourney の動画(V1) などが別トラックで進化中で、Black Forest Labs も7月に動画を中心にした FLUX 3 を発表した。Adobe Firefly はこうした他社の動画モデルもアプリ内で選べる珍しい例。動画は静止画よりさらにモデル進化が早い領域なので、半年スパンで状況が変わる。

関連記事:ゲーム開発で使える生成AIツール。