DeepSeek V4.1 Flash 1017(正式名 DeepSeek-V4.1-Flash-1017)は、DeepSeek が2026年10月17日に公開した、9月の V4.1 Flash の改訂版です。API の名前 deepseek-flash はそのままで、中身だけがこの版に替わりました。DeepSeek は「性能が上がり、作業が早く終わり、出力が短くなった」と発表しています。この記事では、DeepSeek の発表・モデルカード・料金ページと、第三者の評価・各国の対応を原文で確かめ(2026年10月19日確認)、性能・料金・安全性を分けて整理します。公開から2日なので、第三者の数字はまだ少なく、DeepSeek 自身の数字と第三者の数字をはっきり分けて書きます。
性能
Haiku 5.5 と同じ帯
第三者の総合点(Artificial Analysis)は45。前の版の39から上がったが、Claude Sonnet 5.5(56)・Opus 5.5(58)には届かない。
料金
単価は同じ、1回の作業は約半分
100万トークンあたり入力 $0.30・出力 $1.20(ピーク時)は据え置き。出力が減り、1回の作業の費用は $0.49 から $0.26 に下がった(第三者の測定)。
安全性
この版の評価はまだ無い
DeepSeek も第三者も安全性の評価を出していない。データの保存先は中国で、米国は10月19日に連邦の文民機関での利用を禁じたと報じられた。
目次
1. 何が変わったか——名前は同じで中身が替わった
DeepSeek の更新履歴によると、V4.1 Flash は2026年10月17日に DeepSeek-V4.1-Flash-1017 へ更新され、公式のウェブとアプリのモデルも同じ版に替わりました。API の呼び方と料金は変わらず、deepseek-flash を指定すれば新しい版が使われます。Hugging Face のモデルカードは、この版を V4.1 Flash の「minor update(小さな更新)」と呼んでいます。
deepseek-flash のまま中身が替わった。前の版の振る舞いを前提にしたプログラムは、設定を変えなくても結果が変わりうる。古い名前 deepseek-v4-flash も受け付けるが、中身はこの版で、Flash の料金で請求される。出典:Change Log・DeepSeek-V4.1-Flash-1017・Models & Pricing(DeepSeek API Docs)、DeepSeek-V4.1-Flash-1017(Hugging Face)。2026年10月19日確認。
2. 仕様——文脈・思考・サイズ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 文脈の長さ・最大出力 | 1M トークン・384K トークン。 |
| 入力 | 文章と画像。 |
| 思考モード | 既定でオン。強さは low・high・max の3段で、既定は high。 |
| 使える API の形式 | OpenAI 形式・Anthropic 形式・Responses API。JSON 出力とツール呼び出しに対応。 |
| パラメータ数 | 9月の V4.1 Flash の公式値は、本体 552B・1トークンで働くのは入力の処理で 8B・出力の生成で 16B。別に 196B の記憶の仕組み(Engram)がある。 |
| 重み | MIT ライセンスで公開。ファイルの合計は約510GB。 |
出典:Models & Pricing・Thinking Mode(DeepSeek API Docs)、DeepSeek-V4.1-Flash・DeepSeek-V4.1-Flash-1017(Hugging Face)。2026年10月19日確認。1017 のモデルカードはパラメータ数を書いておらず、Hugging Face が重みのファイルから自動で数えた値は約763B。差の内訳は公表されていない。
API で使うときに引っかかりやすい決まりが2つあります。1つは、ツールを使う会話では、モデルの思考の内容(reasoning_content)を次の要求で全部返す必要があることです。返さないと 400 エラーになります。もう1つは、思考モードでは temperature などの指定が効かないことです。エラーにはならず、無視されます。思考の強さに medium や xhigh を指定すると、それぞれ high に読み替えられます。
出典:Thinking Mode(DeepSeek API Docs、2026年10月19日確認)。
3. 性能(1)DeepSeek が発表した数字
モデルカードの比較表をそのまま載せます。すべて DeepSeek 自身が測った数字です。
| 評価 | 1017 | 前の版(9月) | Kimi K3 | GLM-5.3 | GPT-5.6 Sol | Claude Opus 5 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| HLE(ツールなし) | 42.6 | 36.8 | 43.5 | 42.0※ | 44.5 | 56.3 |
| Terminal-Bench 4.0 | 42.3 | 31.2 | 12.6 | 37.9 | 39.9 | 51.8 |
| DeepSWE v1.1 | 77.0 | 74.2 | 67.5 | 66.9 | 73.0 | 74.0 |
| ProgramBench | 29.1 | 20.3 | 17.5 | 19.0 | 23.0 | 37.0 |
| NL2Repo-Bench | 68.2 | 65.4 | 58.0 | 58.0 | 56.8 | 75.3 |
| Automation-Bench v1.0.6 | 60.5 | 54.8 | 46.7 | 48.8 | 45.8 | 50.3 |
| Agents' Last Exam | 35.4 | 31.8 | 27.6 | 28.5 | 26.7 | 28.6 |
| Apex Bench v1.1 | 72.1 | 64.6 | 47.8 | 56.6 | 54.3 | 65.8 |
| Chartography(ツールあり) | 83.0 | 78.9 | 68.1 | — | 79.9 | 84.0 |
| BabyVision(ツールあり) | 92.5 | 89.6 | 85.7 | — | 88.9 | 94.1 |
| ZeroBench-main(ツールあり) | 51.0 | 49.0 | 41.0 | — | 53.0 | 52.0 |
出典:DeepSeek-V4.1-Flash-1017(Hugging Face のモデルカード)・Change Log(2026年10月19日確認)。※は HLE の文章だけの部分の点。Terminal-Bench 4.0 は Claude Code、DeepSWE v1.1 は Mini-SWE-V2 という実行の仕組みで測ったと注記がある。
この表を読むときの注意が4つあります。
- 比べた相手が一世代前表に入っているのは Claude Opus 5・GPT-5.6 Sol で、今の Claude Opus 5.5 や GPT-6 系は入っていません。Opus 5 と比べても、DeepSWE では上回る一方、HLE・Terminal-Bench 4.0・ProgramBench・NL2Repo-Bench では届いていません。
- 条件が同じかが書かれていない思考の強さ(low・high・max)の設定が書かれていません。前の版と同じ条件で測った比較かどうかも書かれていません。
- 前の版で出していた数字が消えた9月の版では GPQA Diamond・Codeforces・数学・サイバーセキュリティの評価も出していましたが、1017 では出していません。
- 自社の数字は高めに出やすい米国の NIST の評価機関 CAISI は、2026年4月に V4 Pro を評価し、DeepSeek 自身の評価のほうが CAISI の評価より点が高いと報告しています(6章)。1017 の数字も、第三者の測定がそろうまでは割り引いて読むのが安全です。
4. 性能(2)第三者の評価
第三者の総合的な点としては、Artificial Analysis の Intelligence Index が出ています。複数のテストの結果を1つにまとめた点で、思考の強さの設定ごとに別の行として載っています(下の括弧の中が設定)。2026年10月19日の一覧の値を、近い位置のモデルと並べます。
出典:Artificial Analysis のモデルの一覧・DeepSeek V4.1 Flash 1017 のページ(2026年10月19日確認)。公開直後で、同じサイトの別のページに前の版の値が残っているところもある。値は今後変わりうる。
ここから言えることは3つです。
- 前の版から6点上がり、1回の作業の費用はほぼ半分になった。Artificial Analysis のページでは、評価をひととおりこなすのに使った出力が 210M トークンでした。比べたモデルの中央値(140M)よりは多く、同サイトは「very verbose(とても冗長)」と評しています。
- 点も費用も Claude Haiku 5.5 とほぼ同じ帯。同じ45点の GLM-5.3 や44点の Kimi K3 と比べると、1回の作業の費用は約8分の1です。
- Sonnet 5.5・Opus 5.5 とは10点以上の差がある。費用は約20分の1なので、難しい作業を任せるか、量の多い作業を安く回すかで選び方が変わります。
速さは、DeepSeek の API で毎秒約225トークン、最初のトークンが出るまで約1.1秒でした(同じページ)。前の版とほぼ同じ速さなので、「作業が早く終わる」は出力が短くなった分と考えられます。SWE-bench や Terminal-Bench の公式の一覧での 1017 の結果は、10月19日の時点ではまだ見つかりませんでした。
5. 料金——日本の日中はピーク料金
| deepseek-flash(100万トークンあたり・米ドル) | ピーク以外 | ピーク |
|---|---|---|
| 入力(キャッシュに当たった分) | $0.003 | $0.006 |
| 入力(キャッシュに当たらない分) | $0.15 | $0.30 |
| 出力 | $0.60 | $1.20 |
出典:Models & Pricing(DeepSeek API Docs、2026年10月19日確認)。1017 への更新で料金は変わっていない(Change Log)。
出典:Models & Pricing・Search & Fetch・Context Caching・DeepSeek-V4.1-Flash-1017(DeepSeek API Docs、2026年10月19日確認)。
DeepSeek の公式の API 以外でも使えます。OpenRouter などの中継サービスには 1017 が載っていて、公式と同じ単価のところも、もっと安いところもあります。ただし安い経路の多くは重みを軽くした(量子化した)版で動かしていて、答えの質や速さが公式と同じとは限りません。データの扱いも、その会社の規約によります。
6. 安全性——評価が無いこと、わかっていること
1017 について、有害な依頼への応じ方・脱獄への強さ・エージェントの乗っ取られにくさを測った評価は、DeepSeek からも第三者からも出ていません(2026年10月19日確認)。発表・モデルカード・9月の技術報告にも、安全性の評価の節はありません。わかっているのは、次のような前の世代や会社全体についての事実です。どれも 1017 にそのまま当てはまるとは限りません。
出典:CAISI Evaluation of DeepSeek V4 Pro(NIST、2026年5月)、CAISI Evaluation of DeepSeek AI Models Finds Shortcomings and Risks(NIST、2025年9月30日)、AlphaSignal(安全機能を外した版の報道。数字は公開者の自己申告)。2026年10月19日確認。
Claude Code のようなエージェントから使うときに効くのは、モデルの安全性の評価を待つことより、エージェントに任せる範囲を利用者の側で絞ることです。自動で承認する設定を使わない、秘匿値のファイルを読ませない、Web から取ってきた内容に書かれた指示を信用しない、の3つが基本になります。
7. データの送り先と各国の対応
DeepSeek の公式の API やアプリを使うと、送った内容は DeepSeek のサーバーに届きます。DeepSeek のプライバシーポリシー(日本語版・最終更新日2026年2月10日)は、収集した情報を「中華人民共和国にある安全なサーバーに保存します」と書き、使う目的の1つに「機械学習モデルやアルゴリズムなどの当社の技術のトレーニングおよび改善」を挙げています。開発者向けの規約(2026年4月29日施行)は、個人情報の扱いをこのポリシーに任せ、準拠法を中国本土の法としています。API で送った内容を学習に使わないという約束は、どちらにも見当たりませんでした。
出典:DeepSeek プライバシーポリシー・DeepSeek Open Platform Terms of Service(2026年10月19日確認。プライバシーポリシーは日本から開くと日本語版が表示される)。
| 国・機関 | 対応 |
|---|---|
| 日本(個人情報保護委員会) | 2025年2月3日に「DeepSeekに関する情報提供」。データは中華人民共和国のサーバーに保存され、中国の法令(個人情報保護法・サイバーセキュリティ法・データセキュリティ法・国家情報法など)が適用されることに注意を促した。民間の利用を禁じるものではない。 |
| 米国(国土安全保障省) | 2026年10月19日、DeepSeek の製品と DeepSeek を使った第三者のサービスを連邦の文民機関の IT システムから外させ、調達も禁じる命令を出したと報じられた。連邦官報には10月20日に掲載される予定。命令の本文と対象の範囲は、この記事を書いた時点では確かめていない。 |
出典:DeepSeekに関する情報提供(個人情報保護委員会、2025年2月3日・3月5日更新)、US Moves to Bar DeepSeek From Federal Agencies and Contracts(Bloomberg、2026年10月19日)、DeepSeek Blocked In US Federal Agencies(BankInfoSecurity)、Federal Register の掲載予定の一覧。
8. 使い方の選び方——API・Claude Code・手元で動かす
まとめ
- DeepSeek V4.1 Flash 1017 は2026年10月17日公開の V4.1 Flash の改訂版。API の名前 deepseek-flash のまま中身が替わり、料金は据え置き。
- DeepSeek の発表では11の評価すべてで前の版を上回ったが、比べた相手は一世代前のモデルで、測った条件も細かくは書かれていない。
- 第三者の Artificial Analysis では45点(前の版は39点)。Claude Haiku 5.5(43点)とほぼ同じ帯で、Sonnet 5.5・Opus 5.5 には10点以上届かない。
- 1回の作業の費用は $0.49 から $0.26 に下がった。単価は入力 $0.30・出力 $1.20(ピーク時)で、日本の平日の日中はピーク料金。
- Claude Code などから使う検索と取得は、日本時間11月1日1時から成功1,000回ごとに $0.75 かかる。
- 1017 の安全性の評価はまだ無い。前の世代は脱獄や乗っ取りに弱いと評価された。データは中国のサーバーに保存され、米国は連邦の文民機関での利用を禁じたと報じられた。
FAQ
Q. 前の V4.1 Flash を使い続けることはできますか?
A. DeepSeek の公式の API ではできません。deepseek-flash も古い名前 deepseek-v4-flash も、中身は 1017 になりました。前の版を使いたい場合は、公開されている前の版の重みを自分で動かすか、前の版を載せている中継サービスを探すことになります。
Q. 料金は上がりましたか?
A. 単価は変わっていません。出力が短くなったので、同じ作業の費用は下がる方向です。Artificial Analysis の測定では、1回の作業の平均が $0.49 から $0.26 になりました。ただし11月1日(日本時間)から、Claude Code などから使う検索と取得に別の料金がかかります。
Q. 仕事のコードを送っても大丈夫ですか?
A. 公式の API に送った内容は中国のサーバーに保存され、学習に使わないという約束は規約に見当たりません。仕事のコード・顧客のデータ・秘匿値は、勤め先の許可が出るまで送らないのが安全です。
Q. 日本で使うことは禁止されていますか?
A. 2026年10月19日の時点で、民間の利用を禁じる日本の措置は見つかりませんでした。個人情報保護委員会は、データが中国のサーバーに保存され中国の法令が適用されることに注意を促しています。
出典
- DeepSeek API Docs:DeepSeek-V4.1-Flash-1017・Change Log・Models & Pricing・Thinking Mode・Search & Fetch・Context Caching
- Hugging Face:DeepSeek-V4.1-Flash-1017・DeepSeek-V4.1-Flash
- DeepSeek の規約:プライバシーポリシー・Open Platform Terms of Service
- Artificial Analysis:DeepSeek V4.1 Flash 1017・モデルの一覧
- NIST:CAISI Evaluation of DeepSeek V4 Pro・CAISI Evaluation of DeepSeek AI Models Finds Shortcomings and Risks
- 個人情報保護委員会:DeepSeekに関する情報提供
- 報道:Bloomberg・BankInfoSecurity・AlphaSignal