新しいモデルが出るたびに、開いているセッションを1つずつ開いてモデルとエフォートを切り替える。セッションが数個なら苦になりませんが、プロジェクトごとにセッションを分けていると、あっという間に数十になります。2026年9月22日に Claude Opus 5.5 と GPT-6 Sol・Luna が同じ日に出たときも、まさにこの作業が発生しました。

結論から言うと、Claude Code のデスクトップアプリ(以下 Claude Code Desktop)と Codex のどちらでも、「全部のセッションを○○に変えて」とアシスタントに頼めば、利用者が1つずつ操作しなくても変更できました。画面に「全部まとめて変える」ボタンがあるわけではなく、アシスタントが裏で1件ずつ変えていく形です。ただし届く範囲、変わるタイミング、確認の仕方は2つでかなり違います。

この記事では、2026年9月24日に筆者の環境で実際に変更し、元に戻したときの記録と、各社の公式ドキュメント(Claude Code の Desktop・Model configuration、Codex の Models・Config basics・Slash commands)をもとに、手順と落とし穴を整理します。なお、ターミナルで使う Claude Code(CLI)はこの記事では扱いません。

先に結論——どちらも「頼めば一括」、ただし中身は1件ずつ

出典: 2026年9月24日の実測(Claude Code Desktop 2.7032.0 と同梱の Claude Code 2.1.280/Codex デスクトップ 26.917.6896.0)と各社の公式ドキュメント

Claude Code Desktop

頼めば他のセッションを変更

メッセージを送らずに変わる。次のターンから反映、アプリを再起動しても保持された。自分が話しているセッションだけは変えられない。

Codex

頼めば既存のチャットも変更

筆者の環境にあった既存のチャット115件をすべて変えた。ただし公式の手段ではなく内部の仕組みを使い、開いていた2件にはメッセージを1通送った。新しいチャットの既定値は設定ファイルで。

共通の注意

確認は画面と保存値で

モデル自身に「今のエフォートは?」と聞いても当てにならない。変更前の値を残し、変更後に全件を読み直す。

1. なぜ「全部まとめて」変えたくなるのか

Claude Code Desktop も Codex も、モデルとエフォートをセッション(チャット)ごとに覚えています。新しいモデルが出て「これからは全部これで」と決めても、既存のセッションは前のモデルのまま動き続けます。

  • Claude Code Desktop——公式ドキュメントは、モデルは送信ボタンの横のメニューで選び、セッションの途中でも変えられると書いています。変えるのは開いているそのセッションです。
  • Codex——公式の Slash commands では、/model と /reasoning はどちらも「現在のチャット」のモデルと推論の深さを選ぶコマンドです。設定ファイルで既定値を変えても、既存のチャットに保存された値は変わりません(後で説明します)。

エフォート(推論にかける深さ)も同じです。たとえば Opus 5.5 は既定のエフォートが「中(medium)」になり、使う量と結果のバランスを見直した人も多いはずです(詳しくはOpus 5.5 の記事とエフォート設定の記事)。料金面でも、エフォートを上げると推論に使うトークンが増えるので、「高いまま放置されたセッション」が利用枠を静かに削ることがあります。

そこで「セッションを1つずつ開いて切り替える」代わりに、アシスタントに「全部こう変えて」と頼むというのがこの記事のやり方です。利用者の操作は依頼の1回で済むので、この記事ではこれを「一括」と呼びます。

2. Claude Code Desktop——アシスタントに頼めば変えてくれる

公式ドキュメントに書かれていること

Claude Code Desktop の公式ドキュメントには、「Work across sessions」という節があります。Claude は Code タブの他のセッションを一覧し、何をしていたかを読み、メッセージを送れる、名前の変更やアーカイブも頼める、という内容です。

ただし、2026年9月24日時点でこの節に挙がっている操作は、一覧・読む・メッセージ・名前変更・アーカイブで、モデルやエフォートの変更は書かれていません。一方、アプリがアシスタントに渡している道具には、他のセッションのモデルを切り替えるものと、エフォートを変えるものが含まれていました。以下は、その道具を実際に使った結果です。公式ドキュメントに手順として載っている機能ではないので、版が変わると挙動が変わる可能性があります。

実際に変えてみた

検証は、実行中でない2つのセッションで行いました。どちらも Opus 5.5・エフォート中の状態から、Sonnet 5・エフォート低に変え、確かめてから元に戻しています。

Claude Code Desktop で確かめたこと

出典: 筆者の実測(2026年9月24日、Claude Code Desktop 2.7032.0・同梱の Claude Code 2.1.280、Windows 11)

① 頼む

別のセッションから「この2つを Sonnet 5・低にして」と依頼。対象のセッションにはメッセージを送っていない。

② 保存値を確認

アシスタントがセッションの情報を読み直し、2つとも Sonnet 5・low になったことを確認。「次のターンから適用」と表示。

③ 画面で確認

対象のセッションを開くと、入力欄の表示が「Sonnet 5・低」に変わっていた。

④ 再起動しても保持

アプリのプロセスを終了して起動し直しても、表示は Sonnet 5・低のまま。最後に2つとも元の Opus 5.5・中に戻して確認。

1つ気をつけたいのが確認の仕方です。変更後のセッションで「今のエフォートは?」と聞いたところ、「エフォートは10」という、どの段階にもない答えが返ってきました。モデルは自分のエフォートを正しく知らされているとは限りません。確かめるときは入力欄の表示か、アシスタントに保存値を読み直してもらう方法を使ってください。

変更のルール

アプリがアシスタントに渡している道具の説明と、今回の動きから分かったルールは次のとおりです。

  • 反映は次のターンから——実行中のターンは、今のモデルのまま最後まで動く。途中でモデルが入れ替わるわけではない。
  • 選べるモデルは、モデルメニューに出ているものだけ——メニューにない名前を指定すると、選べる候補が返ってくる。
  • エフォートは low・medium・high・xhigh・max の5段——画面では「低・中・高」などの日本語で表示される。モデルによって上限が違う。
  • 自分が話しているセッションは変えられない——「セッションが自分の料金を黙って変えてはいけない」という理由で拒否される。依頼したセッションだけは、自分でモデルメニューから切り替える。
  • 確認を求められることがある——道具の説明では、他のセッションを変えるとき、とくに高いモデルや高いエフォートに上げるときは、アプリが利用者に確認を求める。筆者の検証は、確認を出さない Bypass permissions(権限の確認をスキップする)モードで行ったので、確認カードは出ていない。既定のモードでは、セッションの数だけ承認が必要になる可能性がある。

3. Claude Code Desktop で届く範囲・届かない範囲

「全部」と頼んでも、アシスタントに見えていないセッションは変えられません。公式ドキュメントの Work across sessions は、見える範囲を次のように書いています。

セッションの種類頼んで変えられるか補足
Code タブの手元(ローカル)のセッション変えられる今回の検証の対象
Code タブの SSH・WSL のセッション見える範囲には入る一覧には出るが、モデルの変更は試していない
クラウドセッション見えない公式ドキュメントに明記(切り替えはクラウドセッションの側で)
ターミナルの CLI・VS Code 拡張で始めたセッション見えない同じプロジェクトのフォルダでも見えない
依頼しているセッション自身変えられない一覧にも出ない(自分でモデルメニューから切り替える)
アーカイブ済みのセッション頼めば対象にできる既定では一覧から外れる

もう1つ大事なのが、既定で見えるのは直近に動いた20件までという点です。公式ドキュメントにそう書かれていて、アプリの道具も既定では20件を返します。「全部」と頼むときは、「20件で止めずに全件を一覧して」と言い添えてください。筆者の環境では、アーカイブ済みを除いても数十件のセッションがありました。

副作用も1つあります。モデルやエフォートを変えた瞬間に、そのセッションの「最後に動いた時刻」が現在の時刻になりました。サイドバーを「最近の順」で並べている場合、並び順が変わります。数十件をまとめて変えると、普段の並びが崩れるので、気になる人はピン留めやグループで整理しておくと安心です。

4. Codex——既定値は設定ファイル、既存のチャットは頼んで1件ずつ

Codex では、「これから作るチャット」と「すでにあるチャット」で方法が分かれます。

これから作るチャット:設定ファイル(公式の方法)

公式の Models のページは、手元の既定モデルを config.toml の model で指定すると説明しています。エフォートは model_reasoning_effort です。デスクトップアプリ・CLI・IDE 拡張は同じ設定ファイルを読みます。

model = "gpt-6-sol"
model_reasoning_effort = "medium"

ファイルは ~/.codex/config.toml(Windows なら C:\Users\<ユーザー名>\.codex\config.toml)です。すでに同じキーがあれば、追記せずに値を書き換えてください。同じキーが2つあると、設定ファイルとして正しく読めなくなります。

注意したいのは優先順位です。公式の Config basics によると、起動時のオプション、プロジェクトの .codex/config.toml、プロファイルのほうが、ユーザーの設定ファイルより優先されます。プロジェクト側でモデルを指定していると、ユーザーの設定を変えてもそのプロジェクトでは効きません。

また、Codex のクラウドのチャットは既定のモデルを変えられません(公式の Models のページに「現在は変更できない」と明記)。手元の設定ファイルはクラウドには届きません。

すでにあるチャット:公式の一括手段は見つからなかった

既存のチャットを変える公式の方法は、そのチャットを開いて入力欄の下のメニューで選ぶか、/model・/reasoning を使うことです。どちらも今開いているチャット1件が対象で、全部のチャットをまとめて変えるボタンや手順は、公式ドキュメントでもアプリでも見つかりませんでした。

そこで筆者は、Codex に「他のチャットも含めて全部 GPT-6 Sol・標準(medium)に変えて」と頼みました。Codex はアプリ内部の仕組み(App Server)を使い、チャットを1件ずつ読み込んで設定を書き換えていきました。

5. Codex で115件を変えたときに起きたこと

115件は、筆者の Codex にあった既存のチャットの数です(アーカイブ済みを除く)。これを全部 GPT-6 Sol・medium に変えるよう Codex に頼みました。

Codex が作業後に残した記録をもとに、流れを整理します(2026年9月24日、Codex デスクトップ 26.917.6896.0・CLI 0.155.0-alpha.16)。

Codex が115件を変えた5つの段階

出典: Codex の作業記録(2026年9月24日)

① 控えを取る

設定ファイルとチャットごとの保存値を、戻せるように保存。

② 対象を数える

一覧を最後のページまで取得。アーカイブ済みでない通常のチャット115件を対象に。

③ 既定値を変える

config.toml の2つのキーを書き換え、読み直して一致を確認。

④ 1件ずつ変える

112件はメッセージを送らずに変更。アプリで開いていた2件と作業中のチャットは、短いメッセージを送って変更。

⑤ 全件を照合

最初に数えた115件すべての保存値を読み取り専用で確認。115/115が Sol・medium。

メッセージが1通飛んだチャットがある

④の中身が、Claude Code Desktop との大きな違いです。停止中のチャットは、読み込んでから設定だけを書き換えられました。ところが、アプリが今読み込んでいる2件は「すでに別の書き手がいる」という理由で外から読み込めませんでした。

Codex はそこでロックを外したり保存データを直接書き換えたりせず、アプリの「別のチャットにメッセージを送る」機能にモデルとエフォートを添えて、確認だけの短いメッセージを送りました。これで設定は変わりますが、そのチャットでは1ターンが実際に動きます。つまり、Codex の一括変更は、状況によって一部のチャットに1通ずつメッセージを残すことがあります。

設定ファイルだけでは既存のチャットは変わらない

③で既定値を変えても、既存のチャットにはチャットごとに保存されたモデルとエフォートが残っています。既定値の変更は新しいチャットにしか効かないので、④の作業が別に必要でした。

公式の手段ではない、という前提

Codex が使ったのは、インストールされた版に含まれる内部の仕組みです。公開ドキュメントの本文では見つからず、将来の版で同じように動く保証はありません。Codex 自身も記録の中で、保存データ(データベースや会話ログ)を直接書き換える方法は勧めないと書いています。画面の状態・保存履歴・次のターンの設定がずれる恐れがあるためです。また、アーカイブ済みのチャット、子エージェント、定期実行、クラウドのチャットは対象外でした。アプリ全体の再起動後の表示や、115件すべての画面での確認まではしていません。

6. 2つを並べると

比較Claude Code DesktopCodex
頼めば既存を一括で変えられるかできた(2セッションで検証)できた(115件で実施)
使われた仕組みアプリがアシスタントに渡している道具(公式ドキュメントに手順なし)アプリの内部の仕組み(公式の手段ではない)
メッセージは送られるか送られない基本は送られない(開いているチャットには1通送って変えた)
いつ反映されるか次のターンから次のターンから
依頼したチャット自身変えられない(自分で切り替える)メッセージを送って変えた
既定で見える件数直近20件(頼めば全件)一覧をページ送りして全件
対象外クラウド、CLI・VS Code で始めたセッションクラウドのチャット、アーカイブ済み、子エージェント、定期実行
新しいセッションの既定値この記事では扱わないconfig.toml の model・model_reasoning_effort(公式)
副作用並び順が変わる(最後に動いた時刻が更新される)一部のチャットに確認のメッセージが残る

違いを一言でまとめると、Claude Code Desktop は「アプリがアシスタントに変更の道具を渡している」、Codex は「アシスタントがアプリの内部を操作して変えた」です。どちらも利用者から見れば頼むだけですが、Codex のほうが版の変化に弱く、途中で止まったときの影響も大きくなります。

7. 頼み方の例と、失敗しないための4つの確認

頼み方の例

Claude Code Desktop なら、たとえば次のように頼みます。

アーカイブ済みを除く全セッションを、Opus 5.5・エフォート中にして。
20件で止めずに全件を一覧して、実行中のセッションは飛ばして。
変更前のモデルとエフォートを一覧で残して、終わったら全件を読み直して確認して。

Codex なら、たとえば次のようになります。

新しいチャットの既定値と、既存のチャット全部を GPT-6 Sol・medium にして。
変更前の設定を控えてから始めて、一覧は最後のページまで取って。
開いているチャットに送るメッセージが必要なら、先に件数を教えて。
最後に最初に数えた全件を読み直して、一致を確認して。

失敗しないための4つの確認

  1. 変更前の値を残させる——戻したくなったとき、元の値が分からないと1件ずつ思い出すことになる。セッションによって意図的に違うモデルにしている場合は特に大事。
  2. 対象の範囲を言葉で決める——アーカイブ済みを含めるか、実行中を飛ばすか、特定のプロジェクトだけにするか。Claude Code Desktop では「20件で止めない」も忘れずに。
  3. 最後に全件を読み直させる——途中の「成功」の返事を数えるのではなく、最初に数えた対象の全件を読み直して一致を確かめる。Codex が115/115と言えたのはこの照合があったから。
  4. 自分で1つ開いて見る——入力欄の表示が変わっているかを、少なくとも1件は自分の目で確かめる。モデルに自分のエフォートを聞く方法は当てにならない。

もう1つ、依頼したセッション自身は Claude Code Desktop では変わらないので、最後に自分でモデルメニューから切り替えるのを忘れないでください。

まとめ

2026年9月24日時点で、Claude Code Desktop にも Codex にも「全セッションのモデルを一括で変える」ボタンはありません。それでも、アシスタントに頼めば、利用者が1つずつ開かなくても全部を変えられることを、両方で確かめました。

Claude Code Desktop は、アプリが渡している道具でメッセージを送らずに変わり、再起動しても保持されました。ただし見えるのは手元のデスクトップのセッションだけで、既定は直近20件、依頼したセッション自身は対象外です。Codex は、新しいチャットは設定ファイルで、既存のチャットはアシスタントが内部の仕組みで1件ずつ変えました。開いていたチャットには、メッセージが1通ずつ送られています。

新しいモデルが出るたびにセッションを開いて回るのは、もう必要ありません。変更前の値を残す、範囲を決める、全件を読み直す、1つは自分の目で見る。この4つを依頼に添えるだけで、一括変更はぐっと安全になります。

FAQ

Q. Claude Code Desktop の画面に一括変更のボタンはありますか?

A. 2026年9月24日時点では見当たりません。モデルとエフォートは、開いているセッションの入力欄のメニューで1件ずつ選ぶ形です。この記事の方法は、アシスタントに頼んで他のセッションを変えてもらうものです。

Q. 変更すると、そのセッションに何か送られますか?

A. Claude Code Desktop では送られませんでした。セッションは次に使ったときから新しい設定で動きます。Codex では、アプリで開いているチャットに限り、設定を変えるために確認の短いメッセージが1通送られ、1ターンが実際に動きました。

Q. 作業中のセッションのモデルも途中で変わりますか?

A. 変わりません。どちらも反映は次のターンからで、今動いているターンは元のモデルのまま最後まで進みます。

Q. モデル自身に「今のモデルとエフォートは?」と聞けば確認できますか?

A. 当てにならないので勧めません。筆者の検証では、エフォートを低に変えたセッションが「エフォートは10」と答えました。入力欄の表示を見るか、アシスタントに保存値を読み直してもらってください。

Q. クラウドセッションや CLI のセッションもまとめて変えられますか?

A. Claude Code Desktop のアシスタントからは見えないので変えられません。公式ドキュメントも、クラウドセッションとターミナルの CLI・VS Code 拡張で始めたセッションは見えないと書いています。Codex のクラウドのチャットも、既定のモデルは現在変更できません。

Q. 高いモデルに一括で上げても大丈夫ですか?

A. 変更自体はできますが、すべてのセッションが上位のモデルと高いエフォートで動くと、利用枠の減りが速くなります。Claude Code Desktop のアプリも、高いモデルや高いエフォートへの変更では確認を求める作りです。普段の出発点をどこに置くかは、エフォート設定の記事とGPT-6 Sol・Luna の記事も参考にしてください。