Claude Code を使い続ければ、必ず詰まります。この章はエラーの辞書ではありません。症状から原因へ降りていく切り分けの順序を身につけるための章です。

順序さえ持っていれば、初めて見るエラー文でも「これはどの系統か」が判断できます。個別の対処記事はその後に読めば足ります。

エラー文を検索する前にやること

詰まったとき、多くの人はエラー文をそのまま検索します。それも有効ですが、先に3つ確認したほうが早いことがほとんどです。

CHECK 1
さっきまで動いていたか

動いていたなら、原因は環境ではなく直前の変化です。長くなった会話、追加した設定、切り替えたネットワーク。

CHECK 2
毎回か、たまにか

毎回なら設定か環境。たまになら混雑か回線で、あなたの側に原因が無いことも多い。

CHECK 3
どこまで進んでいたか

起動時か、指示を送った瞬間か、応答の途中か。止まった位置が系統をほぼ決めます

CHECK 3 がいちばん効きます。第1章で見た収集→実行→検証のどこで止まったかが分かれば、候補は一気に絞れます。

5系統に切り分ける

Claude Code のエラーは、原因の場所で5つに分かれます。まずどれかを判定してください。

起動はする? いいえ → アプリ自体の問題(後述のおまけへ) はい ↓ 指示を送れる? いいえ、拒否される → ① 認証系 はい ↓ 応答が返る? いいえ、届かない/途中で切れる → ② 接続系 「上限」と言われた → ③ 利用上限系 「長すぎる」と言われた → ④ コンテキスト系 はい ↓ 外部ツールを使う場面で失敗する → ⑤ ツール・拡張系

この分岐で当たりを付けてから、下の該当節へ進みます。系統ごとに対処の型が違うので、混ぜて試すと時間が溶けます。

① 認証系 ― 本人確認が通らない

症状は「ログインしていない」と言われる、あるいは認証情報が無効だと拒否される、です。指示を送る前に止まるのが特徴です。

よくある原因

セッションの期限切れ/別アカウントで入っている/APIキーとサブスクの取り違え/会社のネットワークが認証の通信を遮っている

試す順序

ログインし直す → どのアカウントで入っているか確認 → 別回線(テザリング等)で試す。3つ目で直るなら②の接続系です

この系統は再ログインで直る率が高いぶん、直らなかったときに深追いしがちです。2回試して駄目なら②を疑ってください。認証の通信もネットワークを通ります。

② 接続系 ― 届かない・途中で切れる

いちばん誤解されやすい系統です。あなたの設定が悪いとは限りません

症状は3つに分かれます。

そもそも繋がらない

プロキシ・TLS・企業ネットワークの遮断。環境側の問題で、別回線で切り分けられます。

混雑で弾かれる

サービス側が混んでいる状態。待つのが正解で、設定をいじると副作用だけ残ります。

応答の途中で切れる

長い応答の最中に接続が落ちる型。出力を短く区切ると再現しなくなることがあります。

それぞれ 接続・プロキシ・TLSエラーの対処529 Overloaded/500エラーConnection closed mid-response で個別に扱っています。

混雑系を設定で直そうとしない。 「たまに失敗する」を再現しようとして設定を10か所いじると、直ったのか時間が解決したのか分からなくなります。まず時間を置いて再試行して、毎回起きるかを確かめてください。

③ 利用上限系 ― 枠を使い切った

「上限に達した」と言われる系統です。エラーではなく仕様なので、直す対象は設定ではなく使い方になります。

ここで押さえるべきは、枠が1種類ではないことです。短い周期の枠と、より長い周期の枠が別々に存在します。片方が回復しても、もう片方が残っていれば止まったままです。「さっき復活したのにまた止まった」の正体はたいていこれです。

詳しくは usage limit reached の対処 と、週次の枠を実測で検証した 週次上限の早期リセットの真相 にまとめています。消費そのものを減らす話は第7章です。

④ コンテキスト系 ― 入力が長すぎる

「長すぎる」と拒否される系統です。第1章のコンテキストウィンドウの話が、そのまま症状として出たものだと考えてください。

会話が伸びた場合

履歴を畳むか、区切って新しく始める。作業の切れ目で畳むのが基本です。

一度に渡しすぎた場合

巨大なファイルやログを丸ごと貼らない。該当箇所だけ渡すか、探させます。

症状としての対処は Prompt is too long エラーの原因と対処、いつ畳むかの判断は /compactは手動でやるべきか にあります。

なお、出力が方針違反として止められるケースもあります。長さの問題ではないので混同しないでください。こちらは別の型です。

⑤ ツール・拡張系 ― 繋いだものが動かない

MCP サーバーや外部ツールを足したあとに出る系統です。切り分けは簡単で、外せば直るかを見ます

拡張を全部外す → 直る : 原因は拡張。1つずつ戻して犯人を特定 → 直らない: 拡張は無関係。①〜④へ戻る

拡張が原因と分かったら、MCP接続エラーの原因と対処 へ。設定の書式、起動コマンドのパス、権限のどれかであることがほとんどです。

ここでClaude 側の賢さを疑わないこと。拡張が繋がっていなければ、Claude はそのツールが存在しないものとして振る舞います。「言ったのにやってくれない」の原因が接続だった、はよくあります。

おまけ ― アプリ自体が起動しない

ターミナル版ではなくデスクトップアプリを使っている場合、Claude Code に到達する前で止まることがあります。5系統のどれでもないので、切り分け表から外してあります。

Windows で修復が必要になる型は 「このアプリを開くことができません」の修復手順、描画まわりで固まる型は GPU process gone で固まる原因と対処 にあります。

それでも抜けないときの5手

系統が分からない、あるいは分かっても直らないとき。上から順に試してください。安いものから並んでいます。

1
セッションを切り直す

コンテキスト由来の不調はこれで消えます。いちばん安い手。

2
時間を置く

混雑と上限はこれだけで解決します。設定を触らない。

3
回線を変える

これで直れば、原因は環境側のネットワークだと確定します。

4
拡張を全部外す

⑤の切り分け。戻すのは1つずつ。まとめて戻すと意味がありません。

5
最小の再現を作る

空のディレクトリで同じことを試す。再現しなければ、原因はプロジェクト側。

一度に1つだけ変える。 詰まっていると焦って複数同時に変えたくなりますが、そうすると何が効いたのか分からないままになり、次に同じ症状が出たときにまたゼロから始めることになります。効いた手を1つ特定するほうが、長期的には圧倒的に安い。

個別のエラー文から引きたい場合は よくあるエラーと解決法まとめ が索引になっています。

まとめ

  • エラー文を検索する前に「さっきまで動いていたか」「毎回か」「どこで止まったか」の3つを見る
  • 原因は認証・接続・利用上限・コンテキスト・ツールの5系統に分かれる。混ぜて試さない
  • 混雑と上限は待つのが正解。設定をいじると副作用だけが残る
  • 枠は1種類ではない。短い周期と長い周期が別々にあるので、復活してもまた止まることがある
  • 拡張系は全部外して直るかで一発で切り分けられる。戻すときは1つずつ
  • 抜けないときは安い順に5手。そして一度に1つだけ変える

詰まりを抜けられるようになったら、次は「どこまで任せるか」を決める番です。次の 第5章「権限と安全」 へ進みましょう。