2026年6月18日、Anthropic は Claude Code Artifacts を発表した(ベータ)。これは ターミナルでのコーディングセッションを、チームで共有できる“ライブなWebページ”に変える機能だ。Claude Codegit diff やログを延々とテキストで流す代わりに、注釈付きのPRウォークスルー・自動更新されるダッシュボード・インシデントのタイムラインなどを、1枚のページとして公開してくれる。

本記事では、Artifacts とは何か・2024年の claude.ai Artifacts との違い・使い方・制約・利用条件を、公式ドキュメントに基づいて整理する。先に要点を3つ。① セッションの出力を、claude.ai 上の“非公開URL”を持つ単一ページとして公開し、作業の進行に合わせて中身が更新される/artifact のような専用コマンドは無く、自然言語で頼む(「このPRを注釈付きで解説するページを作って」)。③ 現状は Team / Enterprise プラン限定のベータで、/login でサインインしたセッションでのみ使える(API キー利用では不可)。

CLAUDE CODE · ARTIFACTS (BETA)

セッションを“共有ページ”に変える

— ターミナルの出力を、見て・触れるライブページへ

claude code — session
> 先週のデプロイ失敗を
  サービス別にまとめて
  artifact にして
deploy-failures.html を公開…
claude.ai/code/artifact/…
Deploy failures by service
● 組織内のみ・進行に合わせ更新

公開先は claude.ai の非公開URL(組織メンバーのみ閲覧)。
更新するたびに同じURLの新バージョンになり、開いた人の画面もその場で更新される。

1. Claude Code Artifacts とは

公式ドキュメントの定義はこうだ:「Artifact とは、Claude Code がセッションから claude.ai 上の非公開URLへ公開する、ライブで対話可能なWebページ」。ブラウザで開くと、セッションが進むにつれてその場で内容が更新される。ページは 「セッションが触れられるあらゆるもの——コードベースや、接続したツール(MCP コネクタ)経由で取得したデータ——から構築」される。

ポイントは 「ターミナルのテキストでは伝わりにくい成果を、見て・触れる1枚のページにする」こと。たとえば長い調査タスクの最中に、インシデントのタイムラインが少しずつ埋まっていくページや、チェック項目が作業の完了に合わせて自動でチェックされていくリリースチェックリストを、チームに共有できる。公式は 「チームが“状況共有”に費やす時間を減らし、作るほうに時間を使えるようにする」協働ツールだと位置づけている。SkillsMCP と並ぶ、Claude Code の新しい出力手段だと考えるとよい。

2. 2024年の「claude.ai Artifacts」との違い

「Artifacts」と聞くと、2024年に claude.ai のチャットに登場した サイドパネル(キャンバス)の Artifacts を思い浮かべる人も多いだろう。名前と系譜は共通だが、今回の Claude Code Artifacts は別の“面”だ。混同しやすいので整理しておく(※この対比は本記事による整理で、Anthropic が公式に並べて比較しているわけではない)。

claude.ai Artifacts(2024)Claude Code Artifacts(2026)
どこに出るclaude.ai チャット横のキャンバスターミナルのコーディングセッション由来の独立ページ
内容の元チャットの会話セッション全体(コードベース・コネクタ)
閲覧者向けの自動更新なし(チャットで作り直す)あり(公開すると開いた画面もその場で更新)
共有範囲公開も可能組織内のみ・公開不可

一言でいえば、2024年版は「チャットの中に成果物を描く」、2026年の Claude Code 版は「ターミナルのコーディングセッションを、自己更新する組織共有のWebページに変える」。名前は同じでも、使う場面と共有のされ方が違うと覚えておけばよい。

3. 何に使えるのか

公式が挙げる用途は、まさに「テキストで読むより、ページで見たほうが速い」ものばかりだ。

USE CASES

テキストより“ページ”が効く場面

PRウォークスルー
差分を注釈付き・重要度で色分けして解説。レビュー依頼が一目で伝わる。
ダッシュボード
セッションのデータからフィルタ・ソートできる表やグラフを生成。
インシデントのタイムライン
長い調査の最中に時系列が埋まっていく。共有しながら進められる。
リリースチェックリスト
作業の完了に合わせてチェックが自動で入る
アーキテクチャ/データフロー図
サービス構成やデータの流れを図解。新人の理解が速くなる。
監査・コスト・トリアージ
依存ライセンス監査、クラウドコストマップ、「プロンプトとしてコピー」ボタン付きの分類ボード等。

共通する判断軸:「行ごとに読むより、見て・触れたほうが速い成果物か?」

4. 使い方

最大の特徴は /artifact のような専用コマンドが無い」こと。自然言語で頼むか、出力がページ向きだと Claude が自分で提案してくる。流れはこうだ。

# 1) セッション中に自然言語で依頼(例)
このPRを、差分をインライン注釈付きで解説する artifact にして
先週のデプロイ失敗をサービス別にまとめたダッシュボードの artifact を作り、調査しながら更新して

# 2) Claude が .html(または .htm / .md)をプロジェクトに書き出し、公開許可を求める
#    「"Deploy failures by service"(deploy-failures.html) を claude.ai の非公開ページに公開しますか?」→ Yes

# 3) URL が表示され、ブラウザで開く。直近の artifact は Ctrl+] で再表示
#    自動で開かないようにするには CLAUDE_CODE_ARTIFACT_AUTO_OPEN=0

更新は、「ここを直して」と頼むだけ。Claude がファイルを編集して 同じURLに再公開し、各公開が新しいバージョンとして記録される(古い版への復元も可能)。別のセッションから更新したいときは、その artifact のURLを貼る(貼らないと新しい artifact が作られる)。共有は、ページ上部の 「Share」から特定の人または組織全体に許可する——新規の artifact は最初はあなたにしか見えない。閲覧者は 同じ組織のメンバーとして claude.ai にサインインしている必要があり、閲覧専用(共同編集ではない/書き手はあなただけ)だ。全 artifact は claude.ai/code/artifacts のギャラリーで一覧できる。

5. 制約——「アプリ」ではない

公式ドキュメントは 「Artifact は“作業のキャプチャ”であって、アプリケーションではない」と明言している。ここを誤解すると期待外れになるので、制約を押さえておこう。

主な制約(公式)

・バックエンドが無い:単一の静的ページ。フォーム入力の保存・閲覧時のAPI呼び出し・複数ルートはできない(ページ内アンカーのみ)。

・外部リクエスト不可:厳格な CSP により外部スクリプト/CSS/フォント/画像、fetch・XHR・WebSocket をブロック。CSS/JS はインライン化、画像は data URI で埋め込む。

・ファイル種別とサイズ.html / .htm / .md のみ。レンダリング後 16 MiB 以下(巨大画像が公開失敗の主因)。

・トークン消費:インラインCSS/JSやdata URI画像のぶん、ターミナルのテキスト出力よりトークンを多く消費する。

つまり Artifacts は 「動くアプリを作る機能」ではなく、「セッションの成果を、見やすく共有できる1枚に固める機能」だ。外部と通信する本格的なツールが欲しいなら、別途デプロイする通常の開発に進む。組織の外に出したいときは、Claude に生のHTMLファイルを出してもらう(共有は組織の境界で止まる)。

6. 利用条件と管理

2026年6月時点の利用条件は、ベータゆえに範囲が限定されている(最新は公式で確認を)。

項目内容
プランTeam / Enterprise のみ(Pro/Max は対象外)。Team は既定でオン、Enterprise は管理者が有効化
状態ベータ(2026年6月18日公開)
使える場所Claude Code CLI、または Claude デスクトップアプリ(v1.13576.0 以降)。Agent SDK / GitHub Action / MCPサーバ文脈では既定オフ
認証/login で claude.ai にサインイン必須。API キー・ゲートウェイトークン・クラウド資格情報では公開不可
モデル提供元Anthropic API のみ(Amazon Bedrock / Google Vertex / Microsoft Foundry は非対応)
組織ポリシーCMEK・HIPAA・ゼロデータ保持(ZDR)が有効な組織では無効

管理面では、組織レベルのオン/オフ、ロールベースのスコープ(Enterprise RBAC)、保持ポリシー、監査ログ(claude_artifact_*)、コンプライアンスAPIが用意されている。ユーザー側で無効化したい場合は、設定の "disableArtifact": true、環境変数 CLAUDE_CODE_DISABLE_ARTIFACT=1、または Artifact 権限の拒否で止められる。なお認証で詰まったら 認証・ログインエラーの対処を参照。

まとめ

Claude Code Artifacts(2026年6月18日・ベータ)は、ターミナルのコーディングセッションを、claude.ai の非公開URLを持つ“ライブな共有ページ”に変える機能だ。PRウォークスルー・ダッシュボード・インシデントタイムライン・チェックリストなど、「テキストで読むより見たほうが速い成果物」を、組織内に共有できる。2024年の claude.ai のキャンバス型 Artifacts とは別物で、セッション由来・自己更新・組織内限定が特徴。/artifact コマンドは無く自然言語で依頼し、Claude が .html を書き出して公開、更新するたび同URLの新バージョンになる。

ただし 「アプリではなく作業のキャプチャ」——バックエンド無し・外部リクエスト不可(CSP)・単一ページ・16 MiB 以下という制約がある。利用は Team / Enterprise のベータで、/login サインインが必須(API キーでは不可)、Anthropic API のみ(Bedrock 等は非対応)。状況共有のコストを下げたいチームには強力な選択肢だ。関連:Claude Agent SkillsMCPClaude Cowork

FAQ

Q. 2024年の claude.ai の Artifacts と同じものですか?
A. 別物です。2024年版は claude.ai のチャット横のキャンバスに成果物を描く機能。今回の Claude Code Artifacts は、ターミナルのコーディングセッションを、claude.ai の非公開URLを持つ独立ページに変える機能で、セッション全体(コードベースやコネクタ)から構築・自己更新・組織内限定という違いがあります。名前と系譜は共通ですが、使う面と共有のされ方が異なります。

Q. どうやって作るのですか?専用コマンドはありますか?
A. /artifact のような専用コマンドはありません。セッション中に自然言語で「〜の artifact を作って」と頼むか、出力がページ向きのとき Claude が自分で提案します。Claude が .html(または .htm / .md)を書き出し、公開してよいか許可を求め、許可するとURLが表示されます。直近の artifact は Ctrl+] で再表示できます。

Q. 作ったページは誰でも見られますか?公開できますか?
A. 組織内限定で、一般公開はできません。新規の artifact は最初はあなたにしか見えず、ページ上部の Share から特定の人や組織全体に閲覧を許可します。閲覧者は同じ組織のメンバーとして claude.ai にサインインしている必要があり、閲覧専用です。組織の外に渡したいときは、Claude に生のHTMLファイルを出してもらいます。

Q. 動くWebアプリを作れますか?
A. 作れません。Artifact は公式に「アプリではなく“作業のキャプチャ”」とされ、バックエンド無し・外部リクエスト不可(CSP で fetch/XHR/WebSocket をブロック)・単一ページ・16 MiB 以下という制約があります。フォーム保存やAPI呼び出しが要るなら、通常の開発でデプロイしてください。Artifacts は「成果を見やすく共有する」用途に特化しています。

Q. 自分のプランで使えますか?
A. 2026年6月時点では Team / Enterprise プランのベータ限定です(Pro/Max は対象外)。Team は既定でオン、Enterprise は管理者の有効化が必要。/login で claude.ai にサインインしたセッションが必要で、API キー・クラウド資格情報では公開できません。提供元は Anthropic API のみ(Bedrock/Vertex/Foundry は非対応)。範囲は変わりうるので最新は公式で確認してください。