Google は、Gemini の Gem(指示を保存しておく自分用のアシスタント)をやめて、スキルに置き換えます。個人の Google アカウントでは 2026年11月に Gem が終わり、そのとき残っている Gem は自動でスキルに作り直されます。この記事では、Google のヘルプと発表の原文(2026年10月21日確認)をもとに、いつ終わるか、何が自動で移って何が移らないか、先に自分で移す方法、スキルの作り方と使い方、スキルでまだできないことを整理します。

いつ

個人は2026年11月

仕事用(企業・非営利)は早くても2027年3月1日、学校用は早くても2027年6月1日に Gem が終わる。

Gem の中身

自動でスキルに移る

指示と、対応する形式の知識ファイルが移る。Google Labs の Gems は移らずに終わる。

スキル

どのチャットでも使える

「/」で呼び出すか、Gemini が関係のある場面で自動で使う。複数を重ねられる。無料でも使える。

1. Gem はいつ終わるのか

Gem が終わる時期は、Gemini アプリにどのアカウントでログインしているかで違います。

アカウントGem が終わる時期
個人の Google アカウント2026年11月(日付は公表されていない)
Google Workspace の企業・非営利向け2027年3月(早くても3月1日)
Google Workspace の教育機関向け2027年6月(早くても6月1日)、Google Classroom などの Gem も同時に終わる

Google Workspace の発表では、それより前の2026年11月17日に、Gem が Gemini アプリの「設定」の中へ移ります。この日以降も、Gem を作る・直す・使うことは続けられます。スキルそのものは2026年10月13日から Gemini アプリで順に使えるようになっていて、行き渡るのは11月中旬の見込みです。

出典:About the transition from Gems to skills(Gemini アプリ ヘルプ)・Introducing skills in the Gemini app and Workspace, plus what's next for Gems(Google Workspace Updates、2026年10月13日更新)。2026年10月21日確認。

2. 自動で移るもの・移らないもの

Gem が終わるとき、Google は残っている Gem を自動でスキルに作り直します。何もしなくても、Gem の中身が消えるわけではありません。

移る:Gem の指示名前・説明・指示がスキルになる。仕事用・学校用のアカウントでは「下書きのスキル」として移る。
移る:知識ファイルスキルが対応している形式のファイル(テキスト・PDF・画像など)は一緒に移る。
移らない:GitHub のファイル今はスキルが GitHub のファイルに対応していない。
移らない:Google Labs の Gemsミニアプリを作る Google Labs の Gems と Opal は、11月に終わり、スキルには移らない。
移らない:アプリをまたいだ同期Gemini アプリのスキルは、Gmail・ドキュメントなど Workspace の中のスキルとは同期しない。両方で使うなら、それぞれで作る。

Word や Excel のファイル(.docx・.xlsx)は、スキルにアップロードできない形式です。Gem にこうしたファイルを入れているなら、PDF やテキストにしておくと移したあとも使えます。

出典:About the transition from Gems to skills・Create & manage skills for Gemini Apps(Gemini アプリ ヘルプ)・Let skills in Gemini tackle your most repetitive tasks(Google)。

3. Gem とスキルの違い

どちらも「よく使う指示を保存しておく」ためのものですが、使い方が変わります。

違いGemスキル
使う場所Gem を開いて、その中で会話するふだんのどのチャットでも使える
呼び出し方一覧から Gem を選ぶ入力欄に「/」(いずれ「@」に変わる)と名前を打つほか、関係のある場面では Gemini が自動で使う
組み合わせ1つずつ1つのチャットで複数を重ねられる
形式Gemini の中だけSKILL.md という公開の形式で、ほかのサービスで作ったスキルも取り込める
過去の会話Gem ごとに一覧がある専用の一覧は無く、ふつうのチャットの一覧に並ぶ

SKILL.md は、Anthropic の Claude のスキルでも使われている形式です。Claude のスキルの仕組みはClaude Skills(エージェントスキル)とはで説明しています。

4. 先に自分で移す方法

11月を待たずにスキルを使い始めたいときは、パソコンのブラウザ(gemini.google.com)で次の順に作り直します。Google のヘルプに書かれている手順です。

  1. Gem を開いて、知識ファイルを保存するサイドバーを開いて[Gem]を選び、移したい Gem の編集アイコンを押す。[知識]にファイルがあれば1つずつ開いてダウンロードし、パソコンに新しいフォルダを作って入れる。フォルダの名前は、スキルの名前と同じく小文字とハイフンだけにする(例:weekly-report)。
  2. 新しいタブでスキルを作る別のタブで gemini.google.com を開き、[スキル]のページで[手動で作成]を押す。Gem の名前・説明・指示をコピーして貼り付け、[作成]を押す。名前は自動で正しい形に直る。ファイルが無ければここで終わり。
  3. ファイルがあれば、スキルを置き換える[スキル]のページで、作ったスキルの[スキル アクション]から[ダウンロード]を押す。届いた .zip の中の SKILL.md を、1で作ったフォルダに入れる。同じスキルの[スキル アクション]から[スキルを置き換える]を選び、そのフォルダをアップロードする。

[スキル]のページの場所は、ヘルプのページによって書き方が違います。移行の手順のページでは「サイドバーの[設定]→[スキル]」、スキルの作り方のページでは「サイドバーの[カスタマイズ](見当たらなければ[その他]の中)→[スキル]」です。見つからないときは両方を見てください。

出典:Gem からスキルへの移行について・Gemini アプリでスキルを作成、管理する(Gemini アプリ ヘルプの日本語版)。2026年10月21日確認。

5. スキルの作り方と使い方

スキルを使うには、18歳以上で、Gemini アプリにログインし、「アクティビティの保存」をオンにしている必要があります。Google AI の有料プランに入っていなくても使えます。使える場所は、今のところスマホのアプリ、Mac のアプリ、ブラウザ(gemini.google.com)です。

スキルの作り方は4つあります。

Gemini と話しながら作る[スキル]のページで[作成]→[Gemini で作成]。何をさせたいかを話すと、Gemini がスキルにしてくれる。
おすすめのひな形から作る[スキル]のページの[おすすめ]からひな形を選び、名前・説明・指示を直して[作成]。
空の状態から作る[作成]→[手動で作成]で、名前・説明・指示を書く。
ファイルをアップロードするSKILL.md、または SKILL.md を一番上に入れたフォルダか .zip を選ぶ。全部で100MBまで。

ふだんのチャットでも、「この指示をスキルにして」と頼めば作れます。

使い方は3通りです。

  • 自分で呼ぶ:チャットの入力欄に「/」を打ち、スキルを選ぶ
  • 自動で使われる:オンにしてあるスキルは、関係のある依頼のときに Gemini が自分で選んで使う
  • 重ねて使う:たとえば「文章の書き方」のスキルと「会社の表記の決まり」のスキルを同じ依頼で一緒に使う

作れるスキルの数に上限はありませんが、同時にオンにできるのは100個までです。勝手に使われたくないスキルは、[スキル]のページで無効にしておけます。有効・無効の切り替えと削除は、チャットの中ではできず、[スキル]のページでだけできます。削除は元に戻せません。

出典:Create & manage skills for Gemini Apps・About the transition from Gems to skills(Gemini アプリ ヘルプ)。

6. よいスキルの書き方——Gem の指示をそのまま移す前に

Gem の指示は、その Gem を開いたときだけ読まれる前提で書かれています。スキルは違います。Google のヘルプによると、Gemini はまずスキルの名前と説明だけを見て、いまの依頼に関係があるかを決めます。関係があると判断したときだけ指示の全文を読み、添付のファイルは必要になったときに開きます。だから、Gem の指示をそのまま貼っただけだと、説明があいまいで使ってほしい場面で使われないことがあります。

名前は「何をするか」の動詞から小文字とハイフンで、することを表す。helper・tools・data のような広い語は避ける(例:recipe-data ではなく plan-meal-from-recipe)。
説明は「いつ使うか」を具体的に1〜2文で、何をするスキルかを三人称で書き、続けて「Use when…(こういうときに使う)」と使う場面を並べる。説明は1,024字まで。
指示は「早見表」にする一般論の長い説明は要らない。手順、出力の形の決まり、避けてほしい間違いだけを短く書く。
1つの作業だけでなく、同じ種類の作業に効く書き方に「火曜のスパゲッティの買い物リスト」ではなく「好みから献立と買い物リストを作る方法」を教える。
正確さが要る作業ほど手順を細かく企画のアイデア出しは大まかでよい。数字の転記や議事録の形式のように、少しのずれも誤りになる作業は手順を1つずつ書く。
出力のひな形と「よくある間違い」を入れる報告の見出しの並びや投稿の型を、そのまま書いておく。「個人情報を入れない」のような禁止事項は、別の節にまとめる。

たとえば、週報の下書きに使っていた Gem をスキルに移すなら、次のように書き直します(Google のコツに沿ってこの記事で作った例です)。

名前draft-weekly-report(「下書きする」という動詞から始める)。
説明箇条書きのメモから、決まった形の週報を下書きする。Use when 週報を書くとき、1週間の作業メモをまとめるとき、上司への進み具合の報告を作るとき。
指示見出しは「今週やったこと」「来週やること」「困っていること」の3つ。各項目は1行で、数字は元のメモのまま変えない。メモに無いことは足さない。
よくある間違いメモに無い成果を書き足す。社外の人の名前やメールアドレスを入れる。

反対に、スキルにしなくてよいものもあります。Google は、一度しかしない作業、何も指示しなくても Gemini がうまくこなす作業、手順がすぐ変わる作業はスキルにしなくてよいとしています。使っていない Gem まで全部スキルにすると、関係のない場面で自動で使われる候補が増えるだけです。

指示の書き方そのものは、ChatGPT・Claude・Gemini のカスタム指示の書き方も参考になります。

出典:Write effective skills for Gemini Apps(Gemini アプリ ヘルプ)。2026年10月21日確認。

7. スキルでまだできないこと

Google は「数週間のうちに Gem の機能をスキルにもそろえる」としていますが、2026年10月21日の時点では、次のことがスキルではできません。

一部の機能と組み合わせる動画の生成、音楽の生成、Canvas、Deep Research、ガイド付き学習は、スキルと一緒に使えない(Gmail などの接続アプリとは使える)。
人と共有するGem のような共有は、これから対応する予定。
Google ドライブのファイルを足すドライブのファイルや Gemini Notebook のノートを足す機能も、これから。今はアップロードしたファイルだけ。
ネットにつなぐスクリプトスキルに入れたスクリプトは、外のサイトにアクセスできない。
Windows のアプリヘルプが挙げる使える場所に、Windows のアプリは入っていない。Windows ではブラウザで使う。

Canvas や Deep Research と組み合わせて Gem を使っているなら、11月までにスキルで同じことができるかを試しておくと安心です。

出典:About the transition from Gems to skills・Create & manage skills for Gemini Apps(Gemini アプリ ヘルプ)。

8. 11月までにやっておくこと

  1. 使っている Gem を数える本当に使っている Gem だけを移せば十分。使っていないものは、自動の移行に任せるか、その前に消しておく。
  2. 知識ファイルの形式を見るWord・Excel のファイルや GitHub のファイルは移らない。PDF やテキストにしておく。
  3. よく使う Gem を1つ、先にスキルにしてみる「/」で呼べるか、自動で使われるかを確かめる。自動で使われすぎるなら、説明の「いつ使うか」を絞る。
  4. Google Labs の Gems・Opal を使っているなら、別の手段を考えるこの2つはスキルに移らずに終わる。
  5. 仕事用・学校用のアカウントは管理者の案内を待つ終わるのは2027年。教育機関向けは、自動の移行の30日以上前に管理者へ案内が来る。

Gemini のほかの機能や料金は、Google Gemini とはとGemini の料金と無料でできることにまとめています。

まとめ

  • Gem はスキルに置き換わる。個人のアカウントは2026年11月、仕事用は2027年3月、学校用は2027年6月に Gem が終わる。
  • 残っている Gem は、終わるときに自動でスキルに作り直される。Google Labs の Gems と Opal は移らない。
  • スキルはどのチャットでも「/」で呼べて、Gemini が自動で使うこともある。複数を重ねられ、無料でも使える。
  • 先に移すなら、Gem の指示をコピーしてスキルを作り、知識ファイルはフォルダごとアップロードする。
  • Gemini は名前と説明だけを見て使うかを決める。移すときは説明に「いつ使うか」を具体的に書き直す。
  • 今はまだ、Canvas・Deep Research・動画の生成と一緒に使えず、共有もできない。

FAQ

Q. 何もしないと Gem は消えますか?

A. 消えません。Gem が終わるときに、Google が自動でスキルに作り直します。ただし Google Labs の Gems は移らずに終わります。

Q. スキルは有料プランでないと使えませんか?

A. 無料でも使えます。Google のヘルプには、スキルは Google AI の有料プランが無くても使えると書かれています。18歳以上で、アクティビティの保存がオンであることが条件です。

Q. Gem でやっていたことは全部スキルでできますか?

A. 2026年10月21日の時点では、まだです。共有や Google ドライブのファイルの追加はこれから対応する予定で、Canvas・Deep Research・動画の生成とは一緒に使えません。

Q. 移したスキルが使われないときは?

A. 説明を見直します。Gemini は名前と説明だけを見て、そのスキルを使うかを決めます。「こういうときに使う」という場面を具体的に書き足すか、入力欄で「/」を打って自分で呼びます。

Q. スキルが勝手に使われて困るときは?

A. [スキル]のページでそのスキルを無効にします。無効のスキルは自動では使われず、「/」で呼んだときに有効に戻すかを聞かれます。

出典