AIエージェントが当たり前になり、次の課題は「エージェント同士をどう連携させるか」に移った。MCPがエージェントを"道具"につなぐ標準なら、A2A(Agent2Agent)はエージェントを"別のエージェント"につなぐ標準だ。異なるベンダー・フレームワークで作られたAI同士が、共通の作法で会話し協力できるようにする。
本記事では、A2Aとは何か・なぜ必要か・MCPとの違い・Agent Cardとタスクの仕組み・現状と実装までを初心者向けに整理する。
MCPは縦(道具)、A2Aは横(仲間)
— AI同士が共通の作法で会話・協力する
MCP=縦の接続
1体のエージェントを、ツールやデータにつなぐ。
A2A=横の連携
エージェント同士をつなぎ、仕事を任せ合う。
1. A2Aとは
A2A(Agent2Agent)とは、AIエージェント同士が、作られた枠組みを超えて互いを発見し、通信し、協力するためのオープンな標準(プロトコル)だ。Googleが2025年4月に公開し、同年6月にLinux Foundationへ寄贈、2026年にv1.0へ到達した。特定の企業に縛られない"共通言語"として整備が進んでいる。
イメージは「会社間の業務提携の作法」だ。社内の人が道具を使うのがMCPなら、A2Aは別会社(別のAI)に仕事を依頼し、結果を受け取るための共通ルール。相手が何で作られていようと、決まった手順で「これをお願い」「できました」とやり取りできる。
💡 ひとことで:A2A=「AIエージェント同士の共通会話プロトコル」。MCPが"道具との接続"を担うのに対し、A2Aは"仲間との連携"を担う。
2. なぜ必要?エージェント連携の時代
2026年のAIは、1体が何でもこなすのではなく、得意分野の異なる複数のエージェントが分担・協力する形へ向かっている。たとえば「旅行を手配して」という依頼を、計画エージェント → ホテル予約エージェント → 決済エージェントがリレーで処理する、といった具合だ。
だが各エージェントが別々のベンダー・技術で作られていると、つなぐたびに独自の対応が要る。そこで共通プロトコル=A2Aが効く。共通の作法さえ守れば、マルチエージェントを"組み合わせて使える部品"にできる。これはMCPがツール接続の共通規格として広まったのと同じ流れだ。
3. MCPとの違い(縦と横)
A2AとMCPは競合ではなく役割が違う。よく「縦と横」で説明される。両方を重ねるのが2026年の標準構成だ。
エージェント ↔ ツール
1体のエージェントを、DB・API・ファイルなど道具やデータにつなぐ。「能力を足す」接続。
エージェント ↔ エージェント
エージェント同士をつなぎ、仕事を依頼し合う。「仲間と協力する」連携。
覚え方はシンプル。「道具につなぐ=MCP、仲間につなぐ=A2A」。実際のシステムでは、各エージェントがMCPで自分の道具を持ちつつ、A2Aで他のエージェントと連携する——縦のMCP+横のA2Aという2層構成が、企業のエージェント運用の既定路線になりつつある。
4. 仕組み:Agent Cardとタスク
A2Aの肝は「Agent Card(エージェントカード)」だ。これは各エージェントが公開する"名刺"のようなJSONで、「自分は何ができるか」「どこに話しかければよいか」「認証はどうするか」を記す。置き場所も /.well-known/agent-card.json と決まっている。
発見(Agent Card)
相手の名刺を読み、「何ができるか」を把握する。
依頼(Task)
「タスク」を送る。進行中・要入力・完了など状態を持つ。
結果(Artifact)
成果物を受け取る。長時間タスクは途中経過も配信できる。
通信は HTTP・Server-Sent Events(SSE)・JSON-RPC 2.0 という広く使われた技術の上に作られている。重要なのは「相手の内部を見せ合わない」点だ。各エージェントは中身(使うツールや思考)を隠したまま、タスクと結果だけをやり取りする。だから企業をまたいでも安全に連携できる。
⚠️ セキュリティは別途必須:エージェント連携は便利だが、外部エージェントを信用しすぎない設計が要る。ガードレールや権限管理と組み合わせて使おう。
5. 現状と実装
A2Aは急速に普及している。Linux Foundationの発表(2026年4月時点)では、150を超える組織が本番採用、GitHubスター22,000超、SDKは5言語(Python・JavaScript・Java・Go・.NET)で提供される。Microsoft・Salesforce・SAP・ServiceNowなど大手も参加し、業界標準の地位を固めつつある。
実装面では、各言語のSDKを使えば「Agent Cardを公開する側(サーバー)」と「他エージェントに依頼する側(クライアント)」を比較的簡単に作れる。まずは単体のエージェントを作り、慣れてきたらA2Aで他エージェントと連携させる——という順序がおすすめだ。SkillsやMCPと同じく、「共通フォーマットで部品化する」発想が土台にある。
※数値・仕様は各種公表資料の引用(2026年6月時点)。プロトコルは進化中で、最新はLinux Foundation/公式仕様を確認のこと。
まとめ
A2Aを3点に整理する。
- 正体:AIエージェント同士が枠組みを超えて発見・連携するためのオープン標準。Google発→Linux Foundation管理。
- 違い:MCPは縦(エージェント↔ツール)、A2Aは横(エージェント↔エージェント)。両方を重ねるのが標準。
- 仕組み:Agent Card(名刺)で発見→Task(依頼)→Artifact(結果)。内部を隠したまま安全に協力。
1体のエージェントから、複数が協力する"チーム"へ——A2Aはその橋渡しだ。まずはMCPやマルチエージェントとあわせて読むと、2026年のエージェント連携の全体像がつかめる。
FAQ
Q. A2AとMCPはどちらを使えばいい?
A. 二択ではありません。エージェントを道具・データにつなぐならMCP、エージェント同士を連携させるならA2A。実際のシステムでは「各エージェントがMCPで道具を持ち、A2Aで協力する」と両方を重ねて使います。
Q. Agent Cardって何?
A. エージェントの"名刺"です。「何ができるか・どこに話しかけるか・認証方法」を書いたJSONで、/.well-known/agent-card.jsonに置きます。相手はこれを読んで、依頼できるか判断します。
Q. 別の会社のAIとも連携できる?
A. それがA2Aの狙いです。共通プロトコルなので、異なるベンダー・フレームワークのエージェント同士でも連携できます。各エージェントは内部を隠したまま、タスクと結果だけをやり取りします。
Q. 個人開発でもA2Aは必要?
A. エージェントが1体だけなら不要です。A2Aが効くのは、複数の独立したエージェントを連携させたいとき。まずは単体のエージェントを作り、連携が必要になった段階で導入すれば十分です。