目次
Claude Code の「プロジェクト」は、1本の会話の中で Claude が仕事をスレッドに切り分け、クラウドで並列に進めてくれる機能です。仕組みと使える条件はプロジェクト機能とはで整理しました。この記事はその続きで、実際に1つの Web サイトをまるごと作らせてみた記録です。
試したのは2026年9月26日から28日で、プロジェクト機能は公開ベータの段階でした(Pro・Max 向けに順次配布中。公式ドキュメント)。画面や挙動はこれから変わる可能性があります。ここに書くのは、その時点で実際に起きたことと、画面・使用量レポート・リポジトリの記録から確かめた数字です。
先に結論——使ってみて分かったこと
2026年9月26〜28日の実測(プロジェクトの使用量レポートとリポジトリの記録)
作ったもの
PR 11本
スレッド10本・約2.3万行。人間が寝ている間も進んだ。
かかった時間
約20時間
作成から最後のマージまで。うち約7時間は夜間。
使ったトークン
約1.9億
97.7%はキャッシュの読み取り。作業量あたりは手元の Claude Code と同程度。
仕上がり
8割の叩き台
公開前に、分担の隙間の穴と実データでの不具合が見つかった。
一言でまとめると、開発は驚くほど放っておいても進む。ただし出てくるのは完成品ではなく叩き台で、SSH でしか入れないサーバへの公開では行き詰まる、です。以下、良かった点も悪かった点も、起きた順に書きます。
1. 何を作らせたか——条件と、最初に正直に書いておくこと
題材は、ローカル LLM の「必要メモリ」を調べられるデータベースサイトです。「このモデルは自分の PC で動くか」に答えるために、Hugging Face から量子化ファイルのサイズを集め、コンテキスト長ごとの必要メモリを計算し、GPU や Mac のメモリ量から逆引きできるようにします。小さすぎず、並列に分けられる部品(データ収集・計算・ページ・逆引き・SEO)がそろっているので、プロジェクト機能の試験台に向いていました。
| 項目 | 今回の条件 |
|---|---|
| 作るもの | ローカル LLM の必要メモリ DB(日本語のサイト)。 |
| 技術 | Laravel 13・PHP 8.5・MySQL 5.7。公開先は SSH でしか入れない共有レンタルサーバ。 |
| リポジトリ | github.com の非公開リポジトリ。プロジェクトのスレッドは Claude GitHub App が入った github.com のリポジトリしか扱えないため、Claude 専用の GitHub アカウントを新しく作った。 |
| プラン | Max(20x)。 |
| モデル | スレッドは Sonnet の中程度の effort を基本にし、レビューや計算など間違えると困る作業だけ配り役が Opus を選んだ。配り役(コーディネーター)は既定の Opus・低。 |
⚠️ 最初に書いておくこと:前半は「縛りすぎ」だった
最初のプロジェクト指示には、「スレッドを始める前に提案して了承を待つ」「同時に走らせるのは3本まで」「main へのマージは人間が承認する」といった、人間の承認を細かく挟むルールを入れていました。安全のつもりでしたが、これは「Claude に配らせて進めさせる」というこの機能の持ち味を自分で止める設定でした。途中で指示を書き換えて任せる形にしたので、4章でその前後を比べます。前半の使いにくさの一部は、機能ではなく指示のせいです。
2. 始めるまでの手順と、つまずいた5か所
始める手順そのものは短く、デスクトップアプリの Code タブで「プロジェクト」→「新規」を選び、名前・目標・リポジトリを入れて作成するだけです。ただ、その前後で次の5か所につまずきました。
① GitHub App の範囲
許可画面は最初から「All repositories」が選ばれている。専用アカウントでないなら「Only select repositories」に絞るべき。スレッドは同じ持ち主のリポジトリを自分で足せるため。
② 作った瞬間に1回動く
最初のプロジェクトは、作成と同時に Claude がリポジトリを読むスレッドを自分で立てる。指示を貼る前に動くので、おすすめのスレッドは英語で出てきた。
③ 既定は Opus
スレッドの既定モデルは Opus(今回の画面では effort が中。公式ドキュメントは high と説明)。枠の減りが最も速いので、作ったらすぐ設定 →「一般」でスレッドのモデルを見直す。
④ ネットワークの許可
既定の許可リストに Hugging Face やメーカーのサイトは無い。*.nvidia.com はサブドメインにしか当たらず、nvidia.com 本体は別の行が必要だった。
⑤ 変更は走行中のスレッドに届かない
環境やプロジェクト指示の変更は、新しいスレッドから効く(公式ドキュメントにも明記)。止まったスレッドは、配り役に新しいスレッドで続けさせた。
②について補足すると、作成直後の会話には「Up to $100 of initial usage, including the automatic setup, won't count towards your usage limits」という案内が出ていました。最初の利用のうち $100 分までは通常の利用枠に数えないという意味で、使用量の画面にも「プロジェクトセットアップクレジット(有効期限まで約24時間)」として表示されました。この特典は、9月28日時点で公式ドキュメントのプロジェクトのページには書かれていません。6章で実際の減り方を載せます。
環境の設定画面で迷ったのは、既存の環境を直すときです。「環境を追加」から入ると新しい環境の画面になり、最初は許可ドメインをセットアップスクリプトの欄に書いてしまいました。既存の環境は、一覧でその環境にマウスを乗せると出る歯車から編集します(公式ドキュメントの手順どおりですが、画面だけでは分かりにくい部分です)。
3. 約20時間の実録——寝ている間に何が起きたか
作成(9月26日の22時ごろ)から、最後の PR がマージされる(翌27日の17時半ごろ)までの流れです。時刻は日本時間です。
26日 22:10〜23:50 土台づくりとレビュー
土台のスレッド(Sonnet)が Laravel の雛形・DB 設計・ルールの文書を作って PR を出した。別のスレッドに Opus でレビューさせると、実際に MySQL 5.7 をコンテナで立ち上げて試し、記録用の時刻の列が行を更新するたびに現在時刻で上書きされる不具合を見つけた(MySQL 5.7 は最初の TIMESTAMP 列に自動更新が付くため。見本データのテストでは現れない)。CI の案もこのとき作られ、人間が承認して PR #1 をマージ。
27日 0:00〜7:30 夜間に3本が並列
データ収集(Opus)・必要メモリの計算(Opus)・SEO と共通レイアウト(Sonnet)の3本が同時に走り、朝には全部「レビュー待ち」になっていた。スレッド同士が配り役を通じて調整していたのが印象的で、計算のスレッドがレイアウトの使い方を問い合わせ、レイアウトのスレッドが答えていた。計算のスレッドが見つけた「利用規約への同意が要るモデルは設定ファイルが取れない(401)」という問題は、データ収集のスレッドに伝わり、そちらで対処された。
27日 7:30〜8:50 衝突の片付け
並行して同じファイル(ルーティングの定義)を書き換えていたため、先にマージした PR のあとで次の PR が衝突した。1回目は配り役がマージを検知して、自分から衝突の解消を指示した。2回目は配り役は動かず、スレッドのカードに「競合を解決する」ボタンが出て、それを押すと解消が始まった。反応が毎回同じではない。
27日 8:50〜11:30 届かないサイトで止まる
GPU・Mac の機種データを入れるスレッドが、メーカーの公式サイトにクラウドから届かず、推測でデータを埋めずに止まって、3つの選択肢のカードを出した(許可を広げる/人間が値を渡す/人間の PC で調べる)。許可リストを直し、新しいスレッドで続けさせると、公式ページから25機種を入れた。このとき、ページの要約機能が実在しない製品名を作っていたことにスレッド自身が気づき、以後はページの元の HTML を直接確かめる方法に切り替えていた。
27日 17:00〜17:30 任せたら自走した
プロジェクト指示を「任せる」内容に書き換えると、話しかけていないのに配り役が「新しい進め方の指示を読みました。ここからは次の作業を私が決めて進めます」と宣言し、残っていた PR のマージから、機種データの追加(2本)まで自分で決めて進めた。
もう1つ、良くなかった点も書いておきます。データ収集の土台を作るとき、スレッドは外部サービスの回数制限の仕組みを確かめるために、Hugging Face の API へ520回続けてアクセスしていました。レビューのスレッドが「妥当ではなかった」と判定して外部 API の利用ルールを文書にし、その後のデータ収集のスレッドは作業全体で8回しかアクセスしていません。放っておくと、外部への負荷の配慮までは自分からはしないので、指示に書いておく価値があります。
4. 細かく承認させた場合と、任せた場合
1章で書いたとおり、前半は人間の承認を細かく挟む指示で動かし、27日の17時に「任せる」指示へ書き換えました。挙動ははっきり変わりました。
| 場面 | 承認を細かく挟んだ前半 | 任せた後半 |
|---|---|---|
| スレッドの開始 | 1回目は「提案して待つ」を守らずすぐ始めた。「了承するまで始めないで」とメッセージで念を押すと守った。 | 配り役が自分で決めて始めた。 |
| マージ | 毎回、人間が GitHub で押した(7回)。 | CI が通ったものをスレッドが自分でマージ(4回)。 |
| 次の作業 | 人間が決めて頼んだ。 | 配り役が TODO から選んで新しいスレッドを立てた。 |
| 人間の出番 | マージ・衝突のボタン・環境の設定・中継で、画面の行き来が多い。 | ほぼ無し(環境の設定が要る場面だけ)。 |
任せるときに気をつけたいことが2つありました。1つは、書き換えた指示は、そのとき動いているスレッドには届かないことです。配り役自身が「このスレッドは指示を書き換える前に始まったので、新しい指示が見えていません」と説明していました。もう1つは、プロジェクトのメモリに残った古いルールを、スレッドが消せなかったことです。「マージは人間だけ」という古いメモを書き換えようとした作業が、安全の確認で止められました。古いメモは、人間が設定の「メモリー」から消す必要があります。
最終的に落ち着いた指示の骨組みは、次のとおりです。
このプロジェクトは〇〇を作って運用する。
進め方は任せる:スレッドを立てる・本数・モデル・順番は配り役が決めてよい。
CI が通った PR はマージしてよい。衝突は自分で解消する。
人間に聞くのはこれだけ:
- お金がかかること(有料 API・有料サービス)
- 秘密情報(API キー・パスワード)が必要なとき
- 本番へのデプロイ・本番データの変更
- 方針が分かれて、どちらでも筋が通るとき
- 必要なものに届かないとき(推測やダミーのデータで埋めない)
外部 API は回数制限を守り、調査のために大量にアクセスしない。
ただし、このあとで分かったことを踏まえると、「CI の設定・デプロイ用のスクリプトの変更は人間が承認する」を足しておくのがおすすめです。任せたスレッドは CI の設定も変えられるため、デプロイの仕組みと組み合わせると、確認なしに本番まで変わる経路ができるからです(7章)。
5. 公開して分かった品質——テストは全部通っていた
プロジェクトで作ったものを、いつもの手元の Claude Code に引き継いで本番に出しました。出した直後の感想は「なんか普通」でした。モデルのページが1件も無かったからです。原因を追うと、並列開発ならではの穴が見えてきました。
担当の境目に開いた穴——誰も「公開してよいか」を決めていなかった
データ収集のスレッド
「公開してよいかの判定は、ページ担当の仕事」と PR に書いて、判定は作らなかった
ページのスレッド
「公開不可のものは表示しない」側だけを作った
結果
公開可の印を立てる処理がどこにも無く、何件データを入れても表示は0件のまま
スレッド10本、百数十件のテスト、Opus のレビュー、CI のどれも、この抜けを見つけていません。どのスレッドも、自分の担当の中では正しかったからです。端から端までを通して見る役がいないと、分担の境目に穴が開きます。
実データを入れると、さらに2つの問題が出ました。
- 量子化の表に、本体ではないファイルが混ざっていた。先読み用の補助モデル(MTP・EAGLE など)や LoRA のファイルを本体の量子化として数えていて、ある 12B のモデルの表の先頭に「Q8_0 0.47GB」という行が出ていました(本物の Q8_0 は 12.7GB)。直したところ、56リポジトリの195件が補助扱いに変わりました。
- 最新で需要の大きいモデルで、必要メモリが「計算不可」だった。作った時点の計算式は、新しい世代のアーキテクチャ(層によって記憶の持ち方が違うものなど)に対応していませんでした。サイトの一番の売りが、一番見られるページで出ない状態です。
どちらも、テストが「見本データ」だけで組まれていたので、本番にデータを入れて初めて分かりました。手元の Claude Code で直した内容と、かかった時間は次のとおりです(9月28日17時21分〜22時54分・コミット13本)。
| 直した内容 | 見つかったきっかけ |
|---|---|
| プライバシーポリシーのページが無かった(広告を出す前に必須) | サーバ管理の担当のレビュー |
| 公開の判定(系列への紐づけ)の処理が丸ごと無かった | 本番で0件 |
| 本番で sitemap.xml がエラー(500)・エラー通知のメールが送れない | 本番での確認 |
| 問い合わせフォームに文字コードの違う入力が来るとエラー(500) | 本番での確認 |
| 補助モデルのファイルの混入・新しいアーキテクチャの必要メモリ | 実データのページの目視 |
一方で、良かった点もはっきりあります。表示は速く(主要ページは0.1秒前後)、ファイルサイズは Hugging Face の実際の値で、対応しているモデルの必要メモリは計算式と合っていました。タイトル・構造化データ・sitemap・llms.txt といった SEO の作り込みも最初から入っていました。骨格と細部はよくできていて、抜けていたのは「つなぎ目」と「実データ」、というのが総評です。
6. 使用量と料金——1.9億トークンの内訳
プロジェクトの設定の「使用量」画面には、スレッド別・モデル別のトークンが出ます。右上のボタンで、そのままテキストとしてコピーすることもできます。9月27日11時47分の時点のレポートでは、次のとおりでした。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| スレッド数 | 10 |
| トークン合計 | 1億9,180万(入力 31.7万/出力 57.4万/キャッシュ読み取り 1億8,740万/キャッシュ書き込み 350万) |
| キャッシュのヒット率 | 98% |
| コードの変更 | +23,531行/−302行(PR を出した8スレッド) |
| 配り役(コーディネーター) | 330万(全体の2%) |
| 最も使ったスレッド | SEO・共通レイアウト(Sonnet)5,050万(26%) |
1.9億という数字は大きく見えますが、97.7%はキャッシュの読み取りです。スレッドは操作のたびにそれまでの会話を読み直すので、1本が何百回も操作するとこの形になります。配り役の上乗せは2%で、管理のコストはわずかでした。
比較のため、「読み込んだトークン ÷ 出力したトークン」を手元の Claude Code(筆者の PC の直近3日分)と比べると、プロジェクトは約330、手元は約340でした。作業量あたりの消費は、手元のセッションとほぼ同じです。プロジェクトが重く感じるのは、並列で一気に進むので短時間に集中して減るからだと考えられます(作業の中身が違うので、目安の比較です)。
料金の面では、セットアップクレジット($100)の減り方をたどれました。
プロジェクトセットアップクレジット($100)の使用率
出典:デスクトップアプリの使用量の表示(2026年9月26〜27日)。この間、Max の週の利用枠は増えなかった。
このクレジットは、API の単価で数えた金額に近い動きをしていました。11時47分のレポートを Anthropic の公式の単価(Pricing:Sonnet 5 は入力 $2・出力 $10・キャッシュ読み取り $0.20、Opus 5.5 は入力 $4・出力 $20・キャッシュ読み取り $0.20/いずれも100万トークンあたり)で計算すると約$58〜65で、そのときの表示(78%=$78)とおおむね合います。つまり「$100 分」は、API で払えば $100 かかる量という意味で、Max の定額プランの中ではそれほど大きな量ではありません。なお、別に配られていたクラウドセッション用のクレジット(Max は $250)は、受け取り画面に「プロジェクトは対象外」とあり、実際に1ドルも減りませんでした。
7. 本番への公開で詰まった理由
一番苦労したのは、作ったものを本番に出すところでした。公開先が SSH でしか入れない共有レンタルサーバだったためです。
- クラウドのスレッドは、本番サーバに届きません(SSH の鍵は手元の PC にしかない)。
- 手元の PC で動かすには、プロジェクトの「ローカルで作業」を使います。中身は Remote Control で、デスクトップアプリの「このコンピューターをスマートフォンや claude.ai から使用できます」をオンにする必要があります。
- ところが、この設定の対象はそれまでに Claude Code で開いたフォルダの一覧で、自動で集まります。筆者の環境では22件あり、うち1件は数十のプロジェクトを中に含む親フォルダでした。オンにしている間は、それらが遠隔から作業を始められる対象になり、フォルダ名・パス・リポジトリの URL も Anthropic に送られます。1つのフォルダだけに絞るには、ターミナルでそのフォルダに入って
claude remote-controlを起動する別の方法になります。
そこで、公開の方法をいくつか検討しました。
| 方法 | 仕組み | 評価 |
|---|---|---|
| ローカルで作業(Remote Control) | 手元の PC で動くスレッドから SSH で公開 | 対象フォルダが広がる。毎回オンとオフを切り替えるのは手間。 |
| PC に常駐するランナー(GitHub Actions のセルフホスト) | main が更新されたら手元の PC で公開の処理が走る | スレッドがワークフローを書き換えてマージできる設定だと、手元の PC で任意の処理が動く入口になる。不採用。 |
| webhook でサーバに知らせる | GitHub からの通知を受けてサーバが取りに行く | 外から叩ける URL を新しく開けることになる。サーバ管理の担当のレビューで見送り。 |
| サーバが定期的に取りに行く | サーバの cron が GitHub を確認し、読み取り専用の鍵で取得して反映 | 外から入る口ができず安全。ただしこの時点で、手元のいつもの運用に移すことにした。 |
最終的には、プロジェクトはアーカイブし、作ったものは手元のいつもの Claude Code の運用に移しました。ほかのサイトと同じ公開の仕組みに乗せるほうが、新しい仕組みを増やすより安全だと判断したためです。
振り返ると、プロジェクト機能は「GitHub にマージしたら自動で公開される」ホスティングと組み合わせる前提で考えたほうがよさそうです。たとえば Vercel なら、GitHub と連携させるだけで公開まで流れるので、今回のような行き詰まりは起きません。ただし Vercel は、無料の Hobby プランが非商用に限られ、Google AdSense などの広告を載せるなら有料の Pro(月$20〜)が必要です(Fair Use Guidelines)。また、今回のような PHP と MySQL のサイトとは相性が良くありません。技術と公開先を、最初に一緒に決めておくのが大事です。
自分の PC を遠隔から操作させるときのリスクと、ふだんの Claude Code との違いは、別の記事で詳しく整理する予定です。スマホから手元のセッションを操作する使い方はRemote Control の記事で紹介しています。
8. 向いている仕事・向いていない仕事
向いている
- 新しく作るもので、独立した部品に分けられる
- 寝ている間・外出中に進めておきたい
- GitHub と連携して自動で公開できる公開先がある
- 任せる範囲を最初に文章で決められる
向いていない
- 公開に SSH が必要なサーバで、手元の鍵を使う運用
- 手元の検査ツールや独自の手順に深く依存する既存の作業
- GitHub 以外に置いているリポジトリ
- 1回のセッションで終わる小さな作業(クラウドセッションで十分)
始める前に確かめておきたいことを、今回の経験からまとめておきます。
- 公開先:GitHub にマージしたら自動で公開されるか。SSH が要るなら、サーバが取りに行く形などを先に決めておく。
- GitHub の権限:Claude GitHub App を入れる範囲。専用アカウントにするか、リポジトリを絞る。
- 任せる範囲:プロジェクト指示に、人間に聞くことだけを書く。CI とデプロイの設定の変更は承認制にする。
- ネットワーク:外部の API やサイトを使うなら、許可リストに本体のドメインとサブドメインの両方を入れる。
- 実データでの確認:見本データのテストが通っても安心しない。本番と同じデータを端から端まで流して見る役を、最後に1本立てる。
- 利用枠:スレッドの既定モデルを見直す。最初の24時間は $100 分のセットアップクレジットがある。
まとめ
プロジェクト機能は、「人間が配って、追いかけて、同じ前提を説明し直す」手間を本当に引き取ってくれる機能でした。夜のうちに3本の作業が並列で進み、スレッド同士が調整し、任せればマージや次の作業の判断まで自分でやります。作業量あたりのトークンも、手元の Claude Code と変わりませんでした。
一方で、出てくるのは叩き台です。並列に分けると、担当の境目に穴が開く。見本データのテストは全部通っていても、実データを入れると不具合が出る。そして、SSH でしか入れないサーバへの公開とは相性が悪い。使うなら、公開先を GitHub 連携のものにする、任せる範囲を最初に書く、最後に「端から端まで実データで確かめる」役を1本立てる、の3つを押さえておくと、今回のような回り道は避けられるはずです。
FAQ
Q. プロジェクトはいくらかかりますか?
A. 別料金はなく、Pro・Max の通常の利用枠から減ります。今回はそれとは別に、最初の約24時間は $100 分までを利用枠に数えない「セットアップクレジット」が付きました(画面の表示。9月28日時点で公式ドキュメントには記載なし)。スレッド10本・PR 11本の作業で約1.9億トークンを使い、このクレジットを使い切りました。API の単価に換算すると約$100に当たる量です。
Q. 本当に PC を閉じても進みますか?
A. はい。クラウドで動くスレッドは、PC を閉じてもスリープさせても進みました。今回も、夜間の約7時間に3本の作業が終わっていました。ただし「ローカルで作業」で手元の PC に立てたスレッドは、PC が起きている間しか動きません。
Q. GitHub 以外のリポジトリでも使えますか?
A. コードを扱うスレッドは、Claude GitHub App を入れた github.com のリポジトリが前提です。今回は自前の git サーバで管理していたため、Claude 専用の GitHub アカウントを作ってそちらで始め、最後に手元へ戻しました。
Q. 途中でプロジェクトの指示を変えたらどうなりますか?
A. 配り役にはすぐ反映され、話しかけなくても進め方が変わりました。ただし、そのとき動いているスレッドには届かないので、必要なら新しいスレッドで続けさせます。プロジェクトのメモリに残った古いルールは、人間が設定から消す必要がありました。
Q. 「ローカルで作業」は安全ですか?
A. 通信は PC から外へ向かう暗号化された接続だけで、受け付けるポートは開きません。ただ、デスクトップアプリの設定をオンにすると、利用履歴から集まったフォルダの一覧(今回は22件で、親フォルダの中の数十のプロジェクトも含む)が遠隔から作業を始められる対象になります。使う間だけオンにする、ログインに使うアカウントの2段階認証を確かめる、といった運用が必要です。
Q. 作ったものはそのまま使えますか?
A. 今回は、そのままでは使えませんでした。骨格や SEO の作り込みはよくできていましたが、担当の境目の処理が丸ごと抜けていて、実データで出る不具合もありました。公開の前に、実データを入れて全体を通して確かめる工程が必要です。